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取りかかりにくい大きな仕事を期限通りに終わらせるための見通しの立て方



大橋悦夫エンジニアのための時間活用術、第15回です。

前回までに2回にわたって、タスクシュートを導入することによって得られる次の2つの効用についてご紹介しました。

タスクシュートが持つ役割や機能そのものから得られる効用もさることながら、それ以上にタスクシュートを使うことによって知らず知らずのうちに認識や行動が改められることこそがタスクシュートを使う意義と言えるわけです。

さて、今回からは切り口を少し変えて、僕自身が時間管理をするうえで苦労したり失敗したことを通して身につけた各種手順をご紹介していきます。

最初に取り上げたいのが「見通しの立て方」です。しかも、「取りかかりにくい大きな仕事」についての。

取りかかりにくい大きな仕事を期限通りに終わらせるための見通しの立て方

仕事には期限がつきものですから、要求されるレベルをクリアできたとしても、期限に間に合わなければ取り合ってもらえません。

抱えている仕事がたった1つだけなら、困ることはほとんどないでしょう。

問題は、種類の異なる複数の仕事を掛け持ちしているケースです。

それぞれに期限がずれていたとしても、依頼作業などは前倒しで取りかかった方が良いですし、逆にあまりに早く取りかかり過ぎると手戻りを発生させてしまう場合もあります。

そうなると、抱えている複数の仕事をそれぞれの期限までに滞りなく片付けるためのマネジメントが必要になってきます。

具体的には、次の2つを明らかにすることです。

  • A.立てた予定通りにゴールにたどり着くためのコース取り
  • B.途中で息切れすることなく走り抜けるためのペース配分

A.立てた予定通りにゴールにたどり着くためのコース取り

どんなに大きな仕事も、電話をかけたりメールを書いたり、あるいはファイルに名前をつける、といった小さなタスクに分解することができます。そうなると、仕事の見通しを立てることというのは、次の3つのステップを踏むことになるでしょう。

  • 1.仕事を構成するタスクを漏れなく洗い出す
  • 2.洗い出したタスク群を取りかかるべき順番に並びかえる
  • 3.それぞれのタスクに取りかかるタイミングを決める

以下の図のように、各タスクを1回ずつだけ通る一筆書きで“コース取り”ができることが理想です。

一部、ほかの人に依頼するタスクもあるでしょうから(図中の「外部」の囲みがこれに該当します)、厳密には一筆書きにはなりませんが、一度通ったところを二度、三度と通らないように、あたかも上から下に水が流れ落ちていくように設計するのがコース取りのコツです。



コース取りは、紙に書きながら考えることをおすすめします。あるいは、WorkFlowyのようなツールを使うのも良いでしょう。

コースが描けたら、さっそく走り出したい気持ちを抑えて、まずは最初のタスクから1つ1つたどっていき、抜けているタスクがないかをチェックします。

次に、最後のタスクが完了すべきタイミングを決めます。

具体的には、その仕事の期限です。実際の締め切り日にしてしまうとギリギリのスケジュールになってしまうため、1日以上の余裕を持っておきたいところです。

それが決まれば、あとは順にさかのぼっていき、最初のタスクに取りかかるべきタイミングを割り出します。

B.途中で息切れすることなく走り抜けるためのペース配分

コースさえ決まれば、あとは走るだけです。

とはいえ実際に走るとなるとコースが分かっているだけでは不十分です。どれぐらいのスピードで走るかを決める必要があるのです。

実はここがもっとも難しいポイントとなります。やるべきことはわかっているのに、時間が足りないせいで、結局「やっつけ仕事」になだれ込んでしまう、ということが往々にして起こるからです。

では、これを防ぐためにはどうすれば良いでしょうか。言い換えれば、途中で息切れして、制限時間内にゴールにたどり着けなくなる事態を防ぐ方法です。

それは、マラソンと同様に、無理のないペース配分で臨むことです。

とはいえ、そもそも「無理のないペース配分」がわからないから苦労しているということはあるでしょう。そこで、3日間だけ自分がやっている仕事にかかる時間の記録をとってみることをおすすめします。

そして、記録対象となる3日間の中で繰り返し行われる仕事に注目します。内容も分量もほぼ同じくらいの仕事を異なる環境や時間帯にやってみて、それぞれでかかった時間をチェックするわけです。

そして、これらの数字の平均を「無理のないペース配分」とするようにします。

人は目標があいまいなままだとなかなか積極的に行動できません。だからこそ具体的な「無理のない制限時間」を数字で把握しておくことが必要になります。「よし、あと15分で終えられればいつものペースだ」といった手応えがあれば、おのずとやる気も出てくるはずです。

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