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朝一番に取りかかる順番を決めたら、可能な限りこの順番に沿って仕事を進めるのが最短ルートになる



大橋悦夫毎朝、その日に予定しているタスクすべてに目を通し、取りかかる順番に並び替えるようにしています。このタスクリストに沿って、上から順に書かれているタスクを1つとして飛ばすことなく実行していくと、その結果は「その日に予定しているタスクすべてをその日のうちに終えるための最短ルート」になります。

これを実行するためには、次の2つが要ります。

  • その日に予定しているタスクの一覧
  • 取りかかる順番を決めるための必要条件

その日に予定しているタスクの一覧

ゴールは「その日に予定しているタスクすべてをその日のうちに終える」ことなので、この一覧は朝一番の時点で「確定」させておく必要があります。

そういう意味では、この一覧は、路線バスの停留所一覧のようなものです。どのバス停にどの順番で停まるのかが予め決まっているため、コースもおのずと一意に決まります。

時間がないからといって、いくつかバス停を飛ばしたり、近道のために裏道を抜けたり、といったことはありません。

すなわち、「クローズ・リスト」ということになります。

クローズ・リストについては、『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版』で以下のように解説されています。

いつも同じ方法で優先順位をつければ、必ず同じような仕事がやり残しになります。緊急な仕事から始める人は、どんな仕事も緊急になるまでやらないし、大事な仕事を選ぶ人は、大事ではない仕事には目もくれません。

この問題を解決するには、仕事量を適切に保つしかありません。できない仕事を引き受けない方がよいのはそのためであり、それを実現するのが、この「クローズ・リスト」です。

1つの運行系統ですべてのバス停を回りきれないなら、いくつかの運行系統で分担することが“現実路線”ということになります。

取りかかる順番を決めるための必要条件

一覧のタスクすべてをその日のうちに終えるためには、一覧が「終えることができる順番」に並んでいる必要があります。

先のバス停の例でいえば、すべてのバス停をもれなく通過する一本の最短ルートが、その順番となります。

そのためには、以下のようなタスク間の前後依存関係が把握できている必要があります。

  • タスクDを実行するためには、タスクCが完了している必要がある
  • タスクCを実行するためには、タスクBが完了している必要がある
  • タスクBを実行するためには、タスクAが完了している必要がある

この場合、前後依存関係を満たす順番は、以下です。

  • タスクA
  • タスクB( ← Aが完了)
  • タスクC( ← Bが完了)
  • タスクD( ← Cが完了)

これとは別に、以下のようなタスクと実行時間帯の相性も考慮に入れる必要があります。

  • タスクEは午前中に取り組むのがもっとも効率よく進めることができる
  • タスクFはどの時間帯でも進めることができる
  • タスクGの着手は午後以降が望ましい

これらを考慮に入れた順番は、以下です(午前と午後の区切りを明確にするために「ランチ」というタスクを追加しています)。

  • タスクE( ← 午前中が効率がよい)
  • ランチ
  • タスクG( ← 午後以降が望ましい)
  • タスクF( ← どの時間帯でもOK)

さらに、先ほどの前後依存関係を満たす順番と合わせると、一覧は以下のようになります。

  • タスクA
  • タスクB( ← Aが完了)
  • タスクC( ← Bが完了)
  • タスクD( ← Cが完了)
  • タスクE( ← 午前中が効率がよい)
  • ランチ
  • タスクG( ← 午後以降が望ましい)
  • タスクF( ← どの時間帯でもOK)

この一覧が得られさえすれば、あとは上から順に実行していくだけです。

もし、朝の時点でこの一覧を目にしたときに「タスクAはどうにも気が進まない」と感じると、次にとりうる選択肢は以下のいずれかです。

  • タスクE( ← 午前中が効率がよい)
  • タスクG( ← 午後以降が望ましい)
  • タスクF( ← どの時間帯でもOK)

「タスクE」であれば「午前中」の条件を満たすのでまだ良いのですが、「タスクG」や「タスクF」に着手した場合は、「その日に予定しているタスクすべてをその日のうちに終える」というゴールの達成が難しくなります。

ルートが乱れるからです。

▼「タスクE」に最初に着手する場合(さほど問題はないかもしれない)

  • タスクE( ← 午前中が効率がよい)
  • タスクA
  • タスクB( ← Aが完了)
  • タスクC( ← Bが完了)
  • タスクD( ← Cが完了)
  • ランチ
  • タスクG( ← 午後以降が望ましい)
  • タスクF( ← どの時間帯でもOK)

▼「タスクG」に最初に着手する場合(一部が午後にズレこんでしまう)

  • タスクG( ← 午後以降が望ましい)
  • タスクF( ← どの時間帯でもOK)
  • タスクA
  • タスクB( ← Aが完了)
  • ランチ
  • タスクC( ← Bが完了)
  • タスクD( ← Cが完了)
  • タスクE( ← 午前中が効率がよい)

バス停の例でいえば、いくつかのバス停を飛ばすために、後からそれらのバス停に戻ってくることになるため、その分の移動がロスになるイメージです。

まとめ

もちろん、現実にはやむを得ない割り込みタスクが発生することもありますし、刻々と状況が変化するために、朝の時点の順番が終日ずっと「最適」とはいえないこともあるでしょう。

それでも、そういった割り込みや状況の変化がいっさいなかった場合の最適なルートを把握しておくことで、「本来はどういうルートを通るはずだったのに、現実にはどれくらいそこから脱線したのか、今後そういった脱線を防ぐにはどうすればいいか」といった再発防止のための対策を立てることができます。

最適なルートが把握できていない場合は、見通しのつかないままに常に波にのまれる毎日を過ごすほかなくなります。

参考文献:

» 仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版[Kindle版]