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ひとり事業を始めるときの自分なりの「バリュー」の見つけ方

ひとり事業を始めるときの自分なりの「バリュー」の見つけ方

ひとり事業で重要なのは、その人がどんな価値を提供できるかです。ここでは価値を「バリュー」と表現していますが、ひとり事業を続ける上で、大橋さんが自分のバリューをどう見つけたかを紐解きます。

そのヒントは、日記や日誌、人との違いにありました。日常の出来事に対する解像度や気づき力を高めながら、バリューを見つけるヒントをお届けします。

▼音声はこちらから

もくじ
  • 自分の強みを誰もが見つけたがっている
  • 大橋さんが自分のバリューを見つけたきっかけ
  • 精算を溜める社員と即やる自分を対比した
  • 分刻みのスケジュールを効率化しようとログを取り始めた
  • 記憶は勘違いもあるけど、記録は事実だけが残る
  • 日記と日誌の使い分けがカギに
  • 自分のスキルを体系化する機会を得た
  • 大橋さんが独立したきっかけ
  • 得意なことを言語化し、手を挙げる
  • 出版をしたい。すぐに行動してみたら……
  • 迷わずチャンスをつかみ取るタイミング
  • 記録を取って振り返るとお金が増える
  • ポートフォリオの組み替えとABテストの連続
  • 「明日もこれをやりたい」と思えるかどうか

自分の強みを誰もが見つけたがっている

大橋:大橋です、こんにちは。このポッドキャストは、ひとり事業を実践している大橋とまてぃの2人実体験、特に失敗体験をもとに、ひとり事業を楽しくするヒントとアイデアをお届けします。

ということで、まてぃさん、今日のテーマは何でしょう。

まてぃ:前回、ひとり事業をする上で、バリュー・システム・クレジットの仕組みの解説と、それに基づいた大橋さんご自身のひとり事業を作ってきたお話を伺っています。

今回は、ひとり事業をするにあたって自分なりのバリューの見つけ方がテーマです。まずそこを見つけていかないとひとり事業を始められないと思うので、どうやって見つけていくかというお話をしていけたらなと思っています。

なぜこの話題を出したかと言いますと、私の会社は「個別コンサル」というメニューを持っているんですけれども、無料モニターを募集したんです。そこではウェブのこともそうなんですけれども、ひとり会社とか自分でお仕事をされる方のアドバイスも、ご希望の方がいれば引き受けますみたいな感じで出していまして。

応募してくださった方の大半が、自分の強みをどうやって見つけたらいいかとか、自分の情報発信をしていくにあたって何を発信すれば自分らしさを伝えられるか相談したいというお話が多かったんです。

ちょうど前回、「バリュー・システム・クレジット」の話題で大橋さんご自身の経緯を伺いましたが、自分の強みはこれで、その結果、こういうふうにクレジット、つまり信頼を積み上げてきたお話があったので、大橋さん自身がバリューをどう考えているのかを皮切りに、今日はお話しできたらなと思っています。

大橋さんが自分のバリューを見つけたきっかけ

大橋:はい、わかりました。前回の少しおさらい的なところなんですけれども、「バリュー・システム・クレジット」この考え方は本を読んで知ったんですけど、自分がこれまでやってきたことを整理するとこの3つでわかりやすく体系化ができると気づいたんですよね。

起業してから試行錯誤している中では、このバリューとかシステムとかクレジットという言葉では認識していなかったわけです。

まてぃ:はい。

▼前回のおさらいはこちら


大橋:自分なりのバリューをどうやって見つけたかというと、会社員時代はプログラムを書く仕事を主にしていたんですけれども、そういった方々の多くは「ドキュメントを作りたくない」「プログラムのコードを書くのはいいけれど、仕様書を作ったり、そういった仕事は後回し」と、毛嫌いしている傾向があることに気づいたんですね。

一方で僕は全然苦にならなくて、プログラムを書くのも日本語のドキュメントを作るのも結構好きだったので、なんでみんなこんなに楽しい仕事を毛嫌いするのかなと不思議だったんです。そのときに「そうか」と。人が嫌がるけど自分が楽しくできることを見つけられると、それがバリューになるのかなと気づいたんです。

なので、「自分が当たり前にできていることを他の人が必ずしもそうはではない」ことを見つけることが、まずはバリューに気づく第一歩なのかなと思います。

まてぃ:なかなか難しいですよね、それに気づくのって。会社勤めしていると、みんなで争奪性になる仕事と嫌がられる仕事が分かれやすいものもありますよね。嫌がられる仕事に勝機があるって私も感じてたことがあるんですけど、ちょっとずるい視点で考えて、人が嫌がる仕事をいち早く大量に片づけたら評価が上がるだろうって。そういういやらしい考えしかなかったですよね(笑)。

大橋:それもひとつの戦略というか、結果が見えているというか。これをやれば絶対褒められるとか得ができるって目算があるから打ち込めるのもあるでしょうし、それをやったことで相手から好んでもらえるとか、選んでもらえることがわからなかったら、たぶんなかなかやれないと思うんですよね。

まてぃ:そうですね。

精算を溜める社員と即やる自分を対比した

大橋:僕が会社員時代に不思議だなと思っていたのが、経理で。多くの方が経理部の方を恐れてたんです。経理の女性の方がすごい怖い人で、月末が近づくと「早く交通費の領収書を出してください」って内線をかけてきて。電話を取った人がガミガミ言われているのを見て、「領収書なんてその日に出せばいいのになんで貯めるんだろう」と僕は不思議だったんですよ。

なのでそういうときに、そうか、こういうのを自分は難なくできるけれども、普通は溜めてしまう、ということもひとつの発見でした。

まてぃ:ほんと、気づく力が高いですよね、大橋さんって。

大橋:それは記録を取っているからだと思うんですよ。例えば外回りで電車に乗ったりするので、帰ってきたらすぐにエクセルにどこからどこまでいくら電車代を入れるエクセルのシートを自分で作っていて、帰ってきたら習慣的にそこに入れるのが当たり前になってたんですよね。

その日のことだから大体覚えていますし、記憶が新鮮なのですぐ入れられるんですけれども、何日か溜めてしまうと、「この日ってどこから乗ったんだっけ?」と調べ始めることになるから、めんどくさくなるんですよね。なので、その日にやるのがいちばん楽だとに気づいて、帰社したらすぐやる癖がついたんです。

「なんでみんなこれやらないんだろう」って。すぐやらない人にやったほうが楽だよって教えるんですけど、「そりゃわかるんだけどさ」とか言ってやらないんですよ。だから、「自分のこういうところは強みにするのもいいな」と思ったんです。当時会社員だったので、それが何か仕事になるかというと当然なってはいないんですけど、そういう傾向は誰にもあるだろうなと思いますね。

まてぃ:なるほど。

分刻みのスケジュールを効率化しようとログを取り始めた

まてぃ:記録を取ってた話がさっきあったんですけれども、そもそも大橋さんがログを取り出したのはいつからですか。会社員の時から細かいログを取ってたんですか?

大橋:分単位の記録みたいなことで言うと、大学時代からですかね。割と授業にちゃんと出なきゃいけない学部だったので、朝9時からの授業もあって。授業あり、アルバイトあり、そして部活もありで、やってみたら分刻みの毎日を過ごしていたんです。

どうやったら授業の予習復習もちゃんとできて、バイトも最大限空いている時間を入れられて、かつ部活も休まず出られるか考えたら、もう記録を取って無駄を省くしかないというところに行き着きまして、結果こうなったのはありますね。

当時まだデジタルの時代じゃなくて、あってザウルス程度だったんですよね、デジタルツールって。ザウルス、PI-4000だったかな。それで時間管理の、時間の記録を大学生のときから取っていて。

まてぃ:2016年に大橋さんのタスクカフェに参加したとき、すごく記憶に残っているのは、「ログは羅針盤になる」みたいな話で、いろんな意味でショックを受けたんですよ。何それどういうこと? と。

私はもともとメモはよく取るんですけど、取ったものは必要なときにしか見返さなかったのが変わったきっかけは、大橋さんなんですよ。羅針盤を持たないで砂漠を歩いても、砂漠を出られないですよねって。でもちゃんと自分の行きたい場所が決まってたら地図を持っていて、その地図を歩くための羅針盤がログなんだ、と。

砂漠を歩くときにやみくもに歩いたら迷うけど、羅針盤をもってどうやって歩けばいいかわかっていれば、思った通りの道は歩けるし、願った通りの未来の実現ができる……という話をされていて、すごい衝撃を受けたんですよ。

私は砂漠をノープランであちこち歩き回っている!!!! と。それで、そこから私も熱心にログを取るようになったんです。

大橋:もともとタスクカフェの前から日記は書かれてたわけじゃないですか。

まてぃ:書いてました。

大橋:それは羅針盤ではなかったんですか?

まてぃ:自分のためのエンターテインメントでしたね、今考えると。

記憶は勘違いもあるけど、記録は事実だけが残る

まてぃ:自分の願う未来を描いたものを「青写真」って言いますけど、私は青写真を持ってずっと仕事をしているんですね。イメージする未来がなかったら、結果的に人から与えられる未来(=受動的な働き方)を受け入れることになるので、自分主導で動けないなって思ってたんです。

やりたいことはたくさんあるし、実現したいこともたくさんあるので、その地図やビジュアルイメージを頭の中にもっていたくて。それを書く訓練に日記を使ってたんです。

大橋:なるほど、そうか。それは個人的には新鮮で、日記を書いてる人がみんな同じように、日記というものを捉えていると思い込んでいましたけど、当然いろんな捉え方があるわけですよね。

まてぃ:ですね。ちょっと話を元に戻すと、大橋さんがログを取り始めて、気づく力というか、どの辺からご自分で「自分は振り返りによって、道を整備している」みたいな認識を持たれたんですか? そもそもそういう認識ってありました?

大橋:朝何時に起きてどこそこに行くとかも記録に残っていくんですけど、起きたときに鍵になるのが睡眠時間なんです。起き抜けで眠かったら、その日、その時点でやる気なくなってしまうじゃないですか。そうなると何時に起きるのがいちばんいいのかを、まさに記録を残すことでフォーカスして、特定ができるわけです。

仕事が残っている、やることがまだ残っているのに寝てしまうと翌朝つらい。けど、かといって、全部やり切ってから寝たほうがいいのかってやってみないとわからないですよね。だからABテスト的な感じですよね。

いろんなテストを繰り返すことで、このぐらいまでの時間には寝たほうが良くて、起きたときにこの順番でやるのが良さそうという無数の記録を取って、テストしていることになるんだなと、今考えると。それが原点にあって。

それが記録ではなく、記憶に基づいていると、だいたい勘違いするというか、思い込みで補正されてしまうんですよね。記録同士をぶつけないと判断を誤るので、記録が当然必要になってくる。

まてぃ:事実だけを記録してきたのは、ずっと続けていらっしゃるんですよね。大学生のときから。そこからタスクシュートの考えに至ったんですよね。

大橋:そうですね。

日誌と日記の使い分けがカギに

大橋:同じ記録でも内容によって呼び方を分けていて、日誌は事実だけを書く記録で、何時から何時にメールチェックをしたとか、やったことを書く。それに対して、感じたことがあったり、心を動かされることがあれば日記と使い分けるようにしたんです。

データベースで言えば、開始時刻・終了時刻・やったこと・その後の感想みたいに、フィールドが分かれていて、何も書かないときは何も書かないんですけど。

そうなると、実際の日誌の記録に加えて、日記の感想を併せ読むことで、同じ記録からどういう印象をそこから持ったのかという、後で行動に繋がるような発見がそこに書かれることになって、そこが行動改善に繋がるんだと気づいたんです。

日誌そのものにあまり価値がないとは言わないですけど、それよりも日記に書かれる感想の方が、より行動を改善するパワーがあるなと気づいて、なるべくまめに書くようになったのが、ここまで続く力を育てる役割をもっていたのかなと振り返っています。

まてぃ:なるほど。それを明確に認識して仕事に生かし始めたはいつ頃からか記憶はありますか?

大橋:記録を取り始めた学生時代に不動産屋さんでデータ入力のアルバイトをしていて。何時に行ってもいいんですけど、入力件数に応じてお金がもらえるわけですよ。そうなったら、件数をなるべくたくさん入力できたほうがいいので、どうやったら短い時間で効率よく入力できるかを、まさにストップウォッチで、測りながらやってたんですね。

そのときにまさにそれは、もらえるお金に直結するので、こういうふうにやると早いとか、こういうふうにやると効率が悪いとか、というのをメモっていました。

まてぃ:大橋イズムは学生時代から確立してたんですね。

大橋:でも、これはみんなやってるだろうなと思ってたんですよ。だってお金増えるわけじゃないですか。

まてぃ:増えますね。

自分のスキルを体系化する機会を得た

まてぃ:大橋さんとログの関係性を振り返りながらお話を伺ってるんですけど、大学時代から始まって、気づきの力や日記・日誌の使い方が今に繋がっていますが、ログを味方にして自分の強みとして認識したのは、働き出してからですか?

大橋:そうですね。

まてぃ:明確に仕事に使えるスキルとして認識したのは、どんなときですか?

大橋:そうですね。会社に入ってから、相変わらず手帳を使ったりしながら記録魔をやってたんですけど、周りを見回したら、そういうことをやってる人が少なかったんですよね。

そうしたときに、「あ、そうか、これみんなやってないんだ」って気づいて、みんなやればいいのにと思いながらも、でも、勧めてもやらないし、「いや、俺はいいよ」と大体言われて。でも、「これはたぶん価値になる」と何となく思ってました。

まてぃ:価値になると思ったときに、それが仕事になるかもしれないって考えていました?

大橋:そういう意味では、会社に非常に感謝していることがあって。社内研修という仕組みがあり、毎月1回全社会議というイベントがあって、午前中は全社員が集まって1ヶ月間のレビューする会議で、午後は社員が社内セミナーをやるんです。

例えばプログラミング言語とか、いろんな技術の知識を持っている人が社内にいるので、そういう人が社内セミナーを企画をして、私はこれを教えられますと人事部に企画を提出すると、「こういうセミナーをやってください」と調整してくれるんです。

そこでExcel VBAのセミナーとか、発表する場があると、自分が持っていて得意にしていることをわかりやすく教えたり、知識をまとめる機会になるじゃないですか。

まてぃ:はい。

大橋:社内で研修の講師をしても無料の講師ですけど、その場で賞賛してもらえるし(笑)、自分の知識を整理する場にもなるので、その体験は大きかったですね。「これでちゃんと喜んでもらえるんだな」とわかったので。

まてぃ:そういう場があったのがすごいですね。

大橋:そうです。これは本当に会社に感謝しています。

大橋さんが独立したきっかけ

まてぃ:そういう場がなかったら、人前に出ることはなかったかもしれないですよね。

大橋:そうですね。技術系の人は特に教えたがりな人が多いので、そういう職業的な気質も影響していたと思います。社風もあるとは思いますけど。

まてぃ:エンジニアの方ってテックブログとかを書いたり、社内で勉強会されたりとかよくされてますもんね。

大橋:はい。

まてぃ:会社員のときに社内でセミナーをやったり、研修で自分の強みを表に出したり、知識を体系化して資料を作って人に話すことで、自分でも自分の強みを認識されたじゃないですか。そういうのがあったから独立されたんですか? あるいは、仕事にしようと思ったきっかけが何かあったんですか?

大橋:会社を辞めようと思ったのはあまりにも激務だったんですよね。いちばんピーク時は朝9時から17時45分が定時なんですけど、帰れるのは早くても24時、遅いと27時とか28時とか、もう明け方3時4時ですよね。そんな時間まで会社にいたので、これはさすがにちょっとね。

まてぃ:そうですね(汗)。

大橋:当時はまだ睡眠4時間5時間でもなんとかなったんですけど、もうこれこのまま続けたらまずいなと。実際腰と背中を痛めたんですよね。ずっと同じ姿勢でパソコンに向かっているので。

これで体まで壊してしまったらさすがにまずいので辞めようと思ったんですけど、まずは辞めることが最優先で、次どうしようって全く考えられなかったんです。

実際に辞めてみて、改めて何をしようかと思ったときに、自分が得意でできることを教える道があることを思い出して、その方向に行こうと思った感じですかね。

まてぃ:その状況はもう辞めるしかなかったと思いますけど、自分の得意なことが分かって辞められたのは、最大の不幸中の幸いでしたよね。

大橋:そうですね。

得意なことを言語化し、手を挙げる

まてぃ:大橋さんの強みをすぐにビジネスにして、それで食べていこうとしても、すぐにはお金にならないじゃないですか。そこはどうやって今に至る仕組みを作ったんですか。

大橋:会社を辞めてすぐにやったことは、人材派遣会社に訪れたことです。そこで仕事を紹介してもらったんです。今は普通のことですけど、当時は2000年、まだ派遣で仕事をすること自体があんまりメジャーじゃなかった。

派遣会社でドキュメントを作るのが得意という話をしたんです。書類とかマニュアルを作るのが得意ですと。そうしたら、ちょうどシステム開発の仕事があって。システムを作ったらユーザーの方に使ってもらうためにマニュアルが必要になりますよね。その仕事ではシステム開発の現場に入って、マニュアルを同時に作ってほしいと。

それでその仕事をすることにしたんですけど、これは前回の話で行くところの「システム」、お金を作る仕組みは、派遣会社に提供してもらったわけですよね。

だから、ドキュメントを作る役割で現場に入りましたけど、システム開発をする現場って忙しいので、テストをする人手が足りないから手伝って欲しいという要望があればそのお手伝いもしていましたね。そういう意味では、いろいろできると役に立てるんだなという発見もありながら、仕事をしていたのはありますね。

まてぃ:派遣のお仕事の後は、知り合いの方に声をかけていただいて、会社でお仕事されてたんでしたよね。

大橋:はい、そうですね。一方で会社に入るときに思ったのが、本を出してみたいという気持ちがあったんですね。出版をしたいと。

出版をしたい。すぐに行動してみたら……

大橋:出版するのはどうしたらいいか考えて、まず人脈だなと。ちょうど「ライターになろう」という社会人向けの夜開催のセミナーがあったので、そのセミナーに参加したんです。ライターを目指している人や将来出版したい人が集まっていて、その中に編集プロダクションの社長と知り合いという人が来てたんです。

名刺交換した後に、その編集プロダクションを紹介してもらったんですけど、僕が住んでいる場所の近くに事務所があったので、すぐに行ったんです。行ったら、たまたまですね、著者が体調を崩して進行が止まっている出版企画があって、「大橋さん、この人と共著になるけど、この企画を進めてもらえませんか」と言われて。

まてぃ:ええっ。

大橋:その休眠している企画をリブートする形で、その出版企画に乗ることができたんですよ。会社を辞めたのが4月だったんですけど、8月にはその本が出たんですよね。

なので、これは非常にビギナーズラックではあるんですけど、行動したことで結果が出たと。ここで言えるのは、こういうふうにすれば必ず効果が出るというよりは、必ずどこかにそういうチャンスがあるってことなんですよね。

迷わずチャンスをつかみ取るタイミング

大橋:よく芸能人の自伝や有名人のウィキペディアを読むんですけど、よくあるのが、舞台の主演俳優が突然体調を崩したりとか、舞台に行くのに渋滞で捕まって出演できないときに、たまたま控えだった人が出演して、チャンスをものにするみたいな話ってあるじゃないですか。

まてぃ:ありますね。

大橋:そういう類のチャンスは、自分のバリューを見つける以上に、タイミングを逃さずうまく掴めればうまくいくこともあるので、そういう機会にもし出会ったら、迷わずつかみ取るしかないと思うんですよね。どうやったらチャンスを見つけられるかの再現性はないんですけど。

まてぃ:その出版の話、すごいですね。

大橋:出版できたことは本当にたまたまだったんですけど、それによって編集者さんとつながって、また次の本も出すことができたんです。当時、派遣の仕事もやって、本の仕事もしたので、いろんなことをやって外れもあれば、当たるものもあったという。全部は成功しないので、とにかくできることはいろいろ試して、種をまいておくという感じですね。

まてぃ:そうですね。大橋さんが出版されたのって、ブログを始めた後だと思っていたんですけど、ブログよりも本の方が先だったんですか。

大橋:そうなんです。最初の本はそんなに売れなかったので、僕の中では暗黒時代として封印してるんです…。

まてぃ:ブログはどのタイミングで始めたんですか。

大橋:最初の本を出したのが2000年の8月で、ブログは2005年に始めたので、5年間のタイムラグがありますね。その後のブログ経由で出版が決まったのが2006年。だから公式には2005年以降に本を出したと僕は表で話すことにしていて(笑)、それより前の時代はあまり話さないようにしています(汗)。

まてぃ:まだまだ突っ込みたいところはいろいろあるんですけども、ちょっと今日この辺でまとめに入りますかね。

大橋:はい。

記録を取って振り返るとお金が増える

まてぃ:今日のテーマは、どうやって自分なりのバリューを見つけるかです。今の大橋さんのスタイルの原点は、大学時代のスケジュール管理からということですが、ご自身としてはどこで自分のバリューを見つけたと思いますか。

大橋:いちばんわかりやすいのは、入力のバイトの話をしましたけども、やればやるほどお金が増えるわかりやすいご褒美があったから夢中になったと思うんですけど、やればやるほど何か結果がついてくるという何かがあるときは、それに打ち込むことなのかなと。

つまり、結果が確認できないと、たぶん次もがんばろうって気持ちにならないですよね。アルバイトなんてまさに仕組みの中に組み込まれることになるんですけど、そういう限定された実験環境の中で自分を試すことをしてみるのがいいのかなと思います。

まてぃ:ですよね。大橋さんは、何かひとつに集中するってこと、あまりされないですよね。大橋さんは種まきをたくさんされている印象がずっとあるんですけど、今日は「え、そんなに前から種をまいてたんだ」って驚きました。

大橋:そういう意味では、大学の授業もちゃんと出て、部活もやって、バイトもやって。でもいちばん身になったのがバイトだったわけですよね。

本当は大学院に行こうと思ってたのを辞めて就職したんですけど、それはやっぱり「記録を取って振り返るとお金が増える」という成功体験の影響があったんだろうなと。

ポートフォリオの組み替えとABテストの連続

大橋:僕は社交ダンスをやってたんですけど、社交ダンスをやってる人って高校時代はそんなにいないから、大学からみんなスタートライン一緒で始めるんです。4年間ダンスをやって、そのままプロになる人もいるんですよ。僕はプロにはなれなくて、まぁ、なるつもりもなかったですけど、ダンスも授業もそんなに身にならなかったけど、バイトはある意味、種が実ったと。たぶん、これも種まきなんでしょうね。

まてぃ:そうですね。ABテストの連続ですよね。

大橋:そうか、当時はそうは思ってなかったけど、結果的にそうだったんですね。

まてぃ:ですね。私は割と一本に集中してやるタイプなんですけど、大橋さんはいわゆる分散投資。種まきを多くして、上がってきたものを上がったタイミングでうまくすくい取って、そこでもABテストをやって、次を増やしていくみたいな感じ。そういうやり方がすごく上手なんだなって思いました。

大橋:ポートフォリオを組み替えてるわけですね。

まてぃ:そうそうそうそう。

大橋:なるほど、そうか。確かに投資の本を読んでるとそういうことがよく出てきますもんね。

まてぃ:ポートフォリオの組み替えとABテストの連続ですね。

大橋:でも、ちゃんとお金を稼いでる、成功してる人は完全にすごいリスクのある株にガチで投資をして稼いでるわけなので、それは真似できないんですよね。人によってタイプが違いますし。

「明日もこれをやりたい」と思えるかどうか

まてぃ:今日は自分なりのバリューをどうやって見つけていくかをお話ししてきたんですけれども、これからそれを探したい方には、どんなところに気をつけるとバリューを見つけられるかのポイントがあれば。

大橋:1日の終わりにその日にやったことを振り返って、できればその日にやったことを書き出してある状態がいいんですけど……例えば5つ、今日何かやりましたと。

そのうち、「明日もこれをやりたい」と思えるもの、「いちばんやりたい」と思えるものが、たぶん、自分にとってバリューになる可能性の高いものだと思います。そうやって簡易的なテストはできると思います。

「何かやらなきゃいけないから」とか「頼まれたから」とか「やるべきだから」やったことって、「明日もやりたい」とは思わないですよね。そうやってバリューになりそうなものを選別していく感じじゃないでしょうか。

まてぃ:日々のやったことそのものが、ABテストですね。

大橋:あんまり短期間だと見誤る可能性もあるので。

まてぃ:振り返りの期間が定期的にあると良さそうですよね。週次とか月次とか年次とか。タイミングは人それぞれだと思いますけど。

大橋:フリーランスの場合、収入が一定ではないじゃないですか。だから今月の売上がいくらかを毎月僕は集計していたんですけど、売上の金額は高いものも低いものもあって、金額が高かったとしても同じような仕事を来月もやりたいかどうかが非常に重要なレビューになっていたんです。

その観点が、その仕事を自分のバリューとしていいかどうかの見極め基準になるかなと思います。

ということで、今日はこれで終わりたいと思います。何かご質問等ありましたら、ハッシュタグ「#シゴタノキャスト」、もしくは、問い合わせフォームからお送りいただければ幸いです。ありがとうございました。

まてぃ:ありがとうございました。

▼編集後記:
川俣沙織


この原稿をまとめている最中にLISTENの書き起こしに自動で目次が付き、かつ句読点が入って読みやすく進化。すごくいいですね、これ。