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タスクシュートを使い続けることで得られる3つのメリット

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大橋悦夫エンジニアのための時間活用術、第11回です。

前回は、日々使っている自作のタスク管理ツール「タスクシュート」について、その使い方を簡単にご紹介しました。

タスクシュートを使い始めたのは──必要に迫られて自分で作りながら使い始めたのですが──1998年の8月ですから、今年で21年目になります。改めて数えてみて我ながら驚いているのですが、使い続けることができているのには理由があります。

具体的には以下の3つです。

  • 1.時間の使い方を記録することができる
  • 2.時間の使い方を振り返ることができる
  • 3.望ましくない使い方をやめることができる

これらは、言い換えれば「タスクシュートを使い続けることで得られるメリット」ということになります。

そこで今回は、これら3つのメリットについて掘り下げてみます。

1.時間の使い方を記録することができる

タスクシュートを使い続けているのは、使い続けることで以下のような問いにおのずと答えられるようになるからです。

  • 今この瞬間以降に何をすればいいか?
  • それが終わったら次に何をするか?
  • そして、それとこれにはそれぞれどれだけの時間が必要なのか?

こういった疑問にいちいちその場で立ち止まって考えるのではなく、あらかじめ考え抜いておき、ピタゴラスイッチのように入り口から出口までの一通りの仕掛けを組み込んだうえで、仕事に取りかかる。このように、設計フェーズと実行フェーズを明確に分けることでパフォーマンスを向上させることができます。

これは、プログラミングに似ています。

繰り返し行う作業を自動化するために、一度時間をかけてプログラムを組んでしまう。そうすれば、次回以降は前提や目的が変わらない限りは、プログラムを呼び出して走らせるだけで、同じ効果を再現することができます。

つまり、タスクシュートは、未来の時間資産を適切に活用する助けとなってくれるのです。

とはいえ、実際に使い続けていると視点は未来だけでなく過去にも向けられることに気づきます。

  • 立てた予定に対して、結果はどうだったのか?
  • どんな想定外の事態に見舞われたか?
  • 見積もった時間に対して実際にかかった時間との差異は?
  • 次回に活かしたい教訓は?

こういった、決して消えることのない、未来を占うための“足跡”がツールの中に記録として残るのです。

ポイントは、記録を無意識に近い形で継続できる点です。

どこまで終わったのかを知るために、終わったタスクについてはツール上で「完了」扱いにします。こうすることで、かかった時間が自動的にツールに記録されますし、記録するたびにタスクを終えた達成感を実感することができます。そして、これが継続のモチベーションになっています。

言い換えれば、「記録をしなければいけないから」という外的強制力ではなく、「達成感を味わいたいから」という内的欲求を“動力源”にできるということです。

2.時間の使い方を振り返ることができ

記録が残ることによって、自分の時間の使い方を客観的に振り返ることができます。第5回でドラッカーの『プロフェッショナルの条件』という本から次の言葉をご紹介しました。

私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、その結果得られた時間を大きくまとめる。すなわち、時間を記録し、管理し、まとめるという三つの段階が、成果を上げるための時間管理の基本となる。(p.119)

タスクシュートは、まさにこの記録と管理とまとめるという3つを担ってくれているといえます。

時間というのは、感覚では正確に掴むことの難しいものです。「30分くらいでできたかな」と思っていても、実は1時間以上かかっていたということは少なくないでしょう。

タスクシュートに自分の仕事の記録を時間とともにストックし続けていくことによって、どのような仕事にどれだけの時間がかかるのか、すなわち自分の仕事のスピードがわかるようになります

また、記録をする際にも、明らかに早くできた時は、そのスピードを次回以降も再現するためにも、どんな工夫をしたのかを簡単に書き添えておくとなお良いでしょう。

タスクシュートには「タスク実行後のコメント」という、その名のとおり実行直後にメモを残すよう、入力を促す機能があります。

この機能は設定でオフにすることもできますが、できればオンのままが推奨です。

なぜなら、「あぁ~、ここはこうすべきだった!」という生々しい感情の動きは実行直後に記録に残さない限り、時間とともに失われやすいからです。

このあたりについては以下の記事で詳しく書いています。


3.望ましくない使い方をやめることができる

第1回で、家計簿でお金の使い方を記録するのと同じように、時間管理簿を使って時間の使い方を記録することで、自分がどれだけの時間を必要としているのかがわかる、ということを書きました。


これに加えて、記録することで「自分にとって望ましくない使い方」をもあぶり出すことができますから、家計簿で節約が促されるのと同様に、時間管理簿を続けることによっておのずと時間の使い方が改まる、少なくとも「改めなければ」というプレッシャーが得られることになります。

先述の通り、このタスクシュートは未来の見通しを得るために使っているのであり、記録という機能は副次的なものです。

つまり、未来に目を向けて使っているつもりでも、後から振り返るための材料となる記録は自動的に残っていく、ということです。

このように、目指すところと得られる成果とが常にずれた構造になっている、言い換えれば、常に「棚からぼた餅」が得られる仕組みになっているために、やればやるほど続ける意欲が湧いてくるというわけです。

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参考文献:

タスクシュートという考え方は、学生時代に読んだ『1日24時間をどう使うか』という本に強く影響を受けています。

「基本的なこと」ばかりが書かれている本書ですが、改めてエッセンスをピックアップしてみると、「これらの基本をすべてをきちんと実行できれば、時間に追われるようなことはないはず」と思えるものばかりです。

  • やるべきことをリストアップし、所要時間を決める
  • リストに優先順位をつける
  • リストアップしたすべての仕事について、いつやるかを決める
  • 色分けで一目でわかる予定表を作る
  • 一日の計画を立てる時間を設定する
  • 時間を配分し、見積もりは正しかったか検討する
  • スケジュールを絶えず検討する
  • 時間を分割し、その枠内で仕事を仕上げる

これらの「基本」を外すと、以下のような“叱責”が飛んできます。

毎日の仕事を、スケジュールを組み、重要性の度合いを測り、上手にコーディネートすることができずに、仕事の量が多すぎるのだと勘違いしている人が多い。

彼らはつまらぬ仕事を山ほど背負い込み、脇道にそれているのだが、自分のしていることがさほど大事でないことに気づかず、どうでもいいような問題ばかりに目を奪われ、毎日バタバタ暮らしている。



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