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「仕事ができる人」になるための筋トレ5原則

By: Lin MeiCC BY 2.0


仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書 や)前回に引き続き、『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』について。

今回は、前回触れることができなかった本書のキモである「筋力トレーニングの5つの原則」を掘り下げます。

  • 1.目先の利益を追っていないか?──意識性
  • 2.今の仕事に「ウェーブ」はあるか?──全面性
  • 3.常に新しい“手応え”を用意しているか?──漸進性
  • 4.相手の課題を言語化できるか?──個別性
  • 5.跡がつくまで繰り返したか?──継続性

筋力トレーニングの5つの原則

1.結果を意識して行動せよ──意識性

意識がなければ、そもそも適切なトレーニングメニューを選ぶことができない。また、一つひとつの動作の際に、「これは○○の筋肉を鍛えるためにやっている」「これは脂肪燃焼のためにやっている」「これは有酸素運動である」といった意識がなければ、それに応じた効果も上がってこないものなのだ。(p.69))

仕事においても「今やっていることは何の役に立つのか?」と自問することは、行動における費用対効果をアップさせることにつながります。

2.バランスをとりながら鍛えよ──全面性

たとえば体重を落としたいとき、「痩せたいから食事をしない」という方法は間違っている。栄養のバランスをとりながら食事による摂取エネルギーを減らす、有酸素運動によって消費エネルギーを増やしつつ、筋肉を減らさないためのトレーニングも行う、といったように、全面的にバランスをとっていかないと、健康的に痩せることはできない。(p.71)

仕事においては、専門性を究めること、すなわちあえてアンバランスにシフトすることによって付加価値が生まれます。でも、短期間ならともかく、慢性的に“没入”することは、そこから期待通りの満足のいく成果が得られなかった場合、即バーンアウトしてしまうでしょう。入れ込み過ぎると燃え尽きやすくなる、ということです。

「ウェーブ」を取り入れることの意義がここにあります。

» 仕事に「ウェーブ」を取り入れる 

このように欲求や衝動に逆らうことなく、言い換えれば心の赴くまま、気の向くままに、行動するということになると、それはずいぶんと身勝手で奔放な印象を受けます。でも、自然の流れを無視したり逆らったりすれば、身体がストレスにさらされることになるため、結局長続きしなくなります。

ゴールへの道のりがたとえ一直線に描けたとしても、人間は直線的にゴールに向かうのではなく、直線を中心に少しずつ左右に振れながら進んでいくのではないでしょうか。ちょうどバイクが急勾配を登坂する時に似ています。まっすぐに登坂するのではなく、蛇行しながら登る方が少ない負荷で登り切ることができます。


3.常に新しい刺激を与えよ──漸進性

トレーニングを続けるにあたっては、運動メニューを少しずつ変化させ、負荷を大きくしていく必要がある。同じ運動を続けていくと体が負荷に慣れ、ラクにこなせるようになってしまい、トレーニング効果が頭打ちになるからだ。(p.72)

人は常に手応え(フィードバック)を頼りに生きているところがあります。手応えが薄くなれば、それにともなってこちらからの働きかけも弱まりがちです。いくら毎朝元気に挨拶をしても、相手からの反応が薄かったり無視されたりすれば、モチベーションは下がる一方でしょう。

すっかり慣れきってしまった仕事にはもはや刺激や手応えは期待できません。続けるには、やり方を変える、同じ成果をより短い時間で出せるよう工夫する、人にやってもらう、などの“やる気刺激策”が必要になってきます。常に新しい“手応え”を用意するわけです。

4.個性に合った方法を考えよ──個別性

人はそれぞれ違う。同じゴールを目指していても、そこへ至るには、それぞれ別の方法、別の答えがある。それを理解しないと、目の前の現実に対して納得がいかず、自分が苦しむことになる。これを認めないと、人生が辛くてしょうがない。(p.73)

例えば、あるツール(文房具やソフトウェア)を使ってみたところ便利だと感じたとしても、別の人にとっても同じように便利だとは限りません。同様に、ほかの人が熱烈に勧めてきたツールであっても、それが自分の環境や状況にフィットする保証はない、ということです。

こうしたミスフィットをなくすには、自分が便利だと感じるのはどんな要因が影響しているのか、そしてほかの人が興奮している理由はどこにあるのか、つまり属人的な部分に注目することでしょう。自分を含め人がどんな課題を抱えているのかを明らかにすることです。それがわからなければ“溝”は埋まらないでしょう。

5.変化が定着するまで続けよ──継続性

いかに質の高いトレーニングであっても、三日坊主だったら何の意味もない。もちろん、たとえ1回のトレーニングでも細胞レベルでの変化はある。「痛い」と感じるのだって、変化の1つだ。しかし、たった1回で終わらせてしまったら、変化は定着せず、何の効果も見込めない。

これは、一休さんの教えに通じます。

この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一歩が道となる、迷わずゆけよ、ゆけばわかる。

歩き続けることで、轍(わだち)ができれば、それがガイドとなって継続を後押ししてくれるというわけです。跡がつくまで繰り返すことによって、続ける負荷は下げられるのです。

行動を改めるために

以上ざっと5原則をなぞってきましたが、いずれも「まぁ、そうだよね…」と思えるものばかりではないでしょうか。そこで、以下のエントリーでご紹介した方法を適用してみます。


» 「いい」と思った本の内容を確実に身につける方法 

そこで、このように本を読んでいて「自分の生活や仕事に取り入れたい!」と思える記述にぶつかったら、質問化するようにします。そして、この質問に答える形で行動を変えていくわけです。

これは、「意識して何かをする」キャパシティを超えるための工夫といえます。「意識して何かをする」のは手間がかかります。手間がかかることは敬遠されがちです。だから、続かないのです。

「無意識にできる」ようになれば、そもそも手間とは無縁の世界ですから、気づいたら続いている、ということになるでしょう。

ということで、「筋トレ5原則」を質問に変換してみました。

  • 1.目先の利益を追っていないか?──意識性
  • 2.今の仕事に「ウェーブ」はあるか?──全面性
  • 3.常に新しい“手応え”を用意しているか?──漸進性
  • 4.相手の課題を言語化できるか?──個別性
  • 5.跡がつくまで繰り返したか?──継続性


この5つの問いを日々自分に課し続けようと思います、少なくとも跡がつくまでは。



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