中山真敬さんの『たった3秒のパソコン術』には、少なくとも3通りの使い方があります。ショートカットキー中心に、「ワザ」がコンパクトにまとめられた、とても便利な本です。
1.自分で基本的な知識を確認
2.他人に聞かれたときに即答
3.他人に貸して啓蒙
1.自分で基本的な知識を確認
本書に集められている知識は、非常に基本的な内容で、知らないことよりも知っていることの方が多いかもしれません。だからといって、買って損をするということはないはずです。全て知っておいていい知識ですが、全ては知らないかもしれません。しかし、高くはない本だからです。
Ctrl+X(切り取り)
Ctrl+C(コピー)
Ctrl+V(貼り付け)
Ctrl+Z(元に戻す)
あたりはもちろんご存じだと思いますが、
Ctrl+N(新規作成)
Ctrl+W(ウィンドウを閉じる)
などは、知ってはいてもあまり使わないかもしれません。でもこれらをショートカットだけですませるようにすると、操作が百回千回と累積する間に、だいぶPC操作の疲れが減少します。もちろん時間も、累積的に節約できます。
(逆のことを考えると、このことがよくわかります。コピー&ペーストを全て、マウス操作にしてみる苦労を考えると、マウス操作の手間の大きさが実感されるでしょう)。
2.他人に聞かれたときに即答
もうひとつ、この本が手元にあると、周囲の人にごく基本的なことを尋ねられたときでも、手順についてページで示してあげるという方法が使えます。これが非常に便利です。
実は私も本書は、妻に「この本いい!」と言われたから買ったのです。本書の優れた点はどうやら、PCでやっとメールとインターネットができるくらいの人にとって、「知りたいことが全部書いてある」点にあるようです。
実際、何度か私が
Ctrl+X(切り取り)
Ctrl+C(コピー)
Ctrl+V(貼り付け)
について妻には教えたものですが、一度として頭に残らず、結局マウス操作を繰り返していました。しかし、本書を読んで即日、覚えて使いこなせるようになりました。
本書のどこがいいかというと、レイアウトがしっかりしていて、何度も同じページをすぐ参照する気になるところです。これは、他人に該当ページを示す際にも、とても重宝します。やたらと厚くないのも、探しやすくてよい点です。
3.他人に貸して啓蒙
というわけで私は、妻に本書を貸しています。明らかに本書を買う以前に比べ、妻に聞かれることは少なくなりました。これが本書を買った最大のメリットです。
少しでもPCに詳しいと、職場の「マニュアル君(さん)」にされてしまうことが少なくなく、いっこうに自分の仕事がはかどらなくなります。そんな場合、もっともいいのは自分で勉強してもらうことなのですが、なかなかそうしてもらうのが難しいこともあります。特に、上司が相手だったりすれば、困難です。
そんなことでお困りの方は、本書をさりげなく机の脇に置いておきましょう。ちょっと目をひく表紙のため、興味を示す人がきっと現れるはずです。とくにあなたが、職場でPC操作に詳しいがために一目置かれている(ためにとても迷惑している)ようであれば、本書はきっとあなたを助けてくれるでしょう。
まとめ
もう一つ付け加えますと、本書のすばらしい点は、キャッチーなようでタイトルに偽りがないところです。「たった3秒」にウソはなく、掲載されているほぼ全てのテクニックは、3秒で実行可能です(試してみました)。
「どうして君はそんなに仕事が速いの」と、これまたオビにはありがちな文句がありますが、結局ここに書かれているようなことをまったく知らない人は、少なくないものです。特に、最初の15項目を家族に徹底するだけでも、あなたの自由時間が増大する可能性があります。
このように、自由時間を「作る」ために自分の能力を高めたり、スケジュールをやりくりするのは尊い努力ですが、周囲の人の知識をほんの少し拡充してあげることで、自分の時間が増大することはよくあります。そんな可能性を探ってみるのも、悪くないかもしれません。
たった3秒のパソコン術―読むだけで別人! さらに「仕事が速い自分」「頭の回転が速い自分」 (知的生きかた文庫 な 30-3) 中山 真敬 三笠書房 2008-04-21 by G-Tools |