最近読んで興味深く感じた、「TIME」の“Help! I’ve Lost My Focus”という記事は以下のような問いで始まっています。
Do the devices that make it possible to do so many things at once truly raise our productivity or merely help us spin our wheels faster?
「一度にたくさんのことが同時にこなせるようにするツール類というのは、本当に我々の生産性向上に寄与しているのだろうか? それとも単に目の回るような忙しさを助長しているだけなのか?」
この記事を、気になった部分を抜粋しながらご紹介します。
●大量のメールやタスクにさらされると優先順位が付けられなくなる
●その結果、注意が散漫になったり必要以上の焦りを感じるようになるだけでなく、
●罪悪感や物足りなさ(あるいは“不完全燃焼”感)を覚えるようになる
●こういった状態が続くと、それは経済的な損失を生み出す
●調査によると、1日のうち2時間、ウィークデーの28%が無駄になっているという
この2時間というのは、単に作業の手が止まっている時間だけでなく、止まった作業を再開するために必要な時間も含んでいるそうです。そして、ある調査によると、メール対応や電話や上司からの呼び出しなどによって中断した作業に戻るためには、平均25分もかかるそうです。
●適度な刺激や興奮は仕事の生産性を向上させる上では“クスリ”になるが、
●行きすぎると逆効果を生み出す
●例えば、複数の仕事を同時進行させることは刺激的だが、多すぎると停滞を呼ぶ
ある程度仕事が忙しい方が充実感が感じられるということは確かにあります。電話やメールで次々と必要な連絡をこなしていると、なんだか自分がとても有能な人間であるかのような錯覚を起こすことがありますが、この時の心境に近いでしょう。
その忙しさも、ある一定ラインを超えると途端に体と頭が拒否反応を返してきます。このバランスをいかに取るかは常に課題。
●生産性の高い人に共通する特徴は、過剰な外部刺激を脳に与え続けないこと
●例えば、携帯電話の電源やBGMを切り、沈思黙考する時間を持つようにする
●多忙を極める人ほど一度に一つの作業しかしない
●メールが届いてもすぐに読みに行かない
●調査によると、55%の人がどんなに忙しくても届いた途端にメールを読みに行っている
連絡が来ればいつでも対応できる状態というのは、周囲の人からすれば非常にありがたいことですが、この状態をキープし続けることは相当なストレスだと思っています。実際に連絡が来なかったとしても、「もしボールが飛んで来たらすぐに落下点に走っていける」という外野手の“中腰”状態を保たなければならないからです。
それだけでも大変なのに、メール通知のアラートがあれば、現在没頭している仕事を放り出してでもそのメールを読みに行ってしまうという行動は冷静に考えると不可解です。
また、メールだけでなく話しかけられることでも作業を中断させられます。
●一番やっかいな邪魔は、デジタルではなくアナログ
●仕事が煮詰まっている時に同僚に話しかけられると、ついうれしくなって対応してしまう
こういった状況を回避するために、何か1つの仕事に没頭している間は、ホテルのドアノブにかける「Don’t Disturb」カードのように、「邪魔して欲しくない」目印として帽子をかぶるというアイデアを採用しているオフィスがあるそうです。
●あるオフィスでは、邪魔して欲しくない時間帯には特定の色の付いた帽子をかぶる
このルールが徹底されていれば、(そのつもりがなくても)お互いに足を引っ張り合ってしまう事態を防ぐことができそうです。
仕組みやアイデアに頼るのもいいが、普段から自分の行動を律することも必要ということで、以下のような「クギ」も。
●いろいろな作業に同時に手を出さないようにする
●「ほんのちょっとだけだから」というもっともらしい理由でメールチェックをしない
●現在取りかかっている仕事が一段落するまでは脇目をふらない
最後はアドバイスで締めくくられています。
●人間である以上、休みなく作業をし続けることはできないことを悟る
●1日に30分程度をじっくり考えたり、リラックスするための時間として確保する
●親しい人と会って時間を過ごす
月並みながら、人間らしさを失わないことが大切だなぁ、と改めて思いました。
原文はこちら。