文章は、頭のなかで完成させてから書くべきか(発想七日!)
僕は典型的な「書きながら考える」派です。とにかく書き出して、それから切り貼りをして文章を整えます。書き終えた後には、使われなかった断片が文章の下に大量に発生しています。今のところそれで困っているわけではありませんが、もう一段いい文章を書くために何をしたらよいか、漠然と考えておりました。
僕自身も「書きながら考える」派です。
でも、ある程度長い文章を書く場合は、こちらでご紹介した「MindManager」というソフトで、いったんマップを描いて、マップ上で文章の構成を考えながら盛り込む要素を足したり引いたりして、「こんなところかな」というところまで行ってから、テキストエディタに向かうようにしています。
この方法のメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
- 1.文章の形になる前なので動かしやすい
- 2.関係のない要素が即座に分かる
他にもありそうですが、とりあえずこの2つについて掘り下げてみます。
1.文章の形になる前なので動かしやすい
一度文章の形にしてしまうと、大幅な修正が難しくなります。そして、ひとたび文章を書くと、それを削るのが惜しくなってしまうというメンタルな問題も生まれます。
「せっかく書いたのに削るのはしのびない」という気持ちが邪魔をして、本来削るべきところに大なたを振るうことができず、結果としてスッキリさに欠ける文章になりがちなのです(ある意味では大変自分らしい文章であるとは言えますが…)。
マップは文章と違って単なる図形の集まりであるために、どの要素についても平等に扱うことができます。もし平等に扱うのが難しく感じられれば、その要素に含まれている内容のレベルが他の要素のレベルと異なっているということですから、いくつかの要素に分解して大きさを揃えます。
こういった判断ができるのがマップ方式の利点だと考えています。
2.関係のない要素が即座に分かる
書こうと思っているテーマについて、その構成要素を追加したり、関連する要素同士を線でつなげたりといった操作を繰り返していくうちに、ポツンと孤立する要素が出てきます。
マップを描かずに頭の中で考えながら書いていたのでは、こういった孤立要素に気づきにくく、従って見落としてしまいがちなのですが、マップで整理することによってたちどころに発見できるわけです。
孤立要素が1つでもあると、文章全体の締まりが悪くなり、焦点がぼやけてきます。先にも書いたとおり、一度文章の形になってしまうと、手を入れるのに抵抗が生まれますし、全体の整合性を考えながらの修正になるため、思いのほか時間を取られることがあります。
そういう意味でも、マップの段階で“早期発見”できる方が望ましいわけです。
以前こちらで以下のようなことを書きました。
ただ、文章を書く場合は、頭の中に何のアイデアもない状態でおもむろに書き始め、書き進めるうちに、書き進めたことによって初めて見えてくる発想やアイデアに乗っかって、さらにどんどん前に進むことができる場合もあります。
つまり、実際に手を動かして頭の中にあることを目に見える形にすることで、頭で考えているだけでは湧いてこなかったような発想が生まれてくることがある、という話です。
ただ、「目に見える形」というのは何も文章だけではなく、マップでもいいわけです。
結局のところ、「はっ」と思ったときに、すなわち文章の終わりまでは見通せていないものの、良い着想が得られたときに、
- 1.いきなり文章を書き始める
- 2.マップの要素として書き留める
- 3.そのまま頭の中で文章を書き進める
という3つのうちのどの行動が、今の自分が置かれた状況に合っているか、ということのような気がします。
そういえば、先のエントリーでは大宅壮一氏の例をご紹介していました。
大宅壮一氏は、歩きながら頭の中で原稿用紙を広げ、そこに文章を“書いていた”と言われています。その状態で書斎に戻り、すでに頭の中で“書き上がった”原稿をリアルな紙の原稿に転記していくわけです。
書こうとしている内容が詳細にいたるまで思い浮かんでいない段階でもとりあえず、
- 1.文章の形になる前なので動かしやすい
- 2.関係のない要素が即座に分かる
などと箇条書きを先に書いてしまうと、それが良い意味での縛りとなって、続きを書きやすくなるのかな、とは思っています。ただし、これは箇条書きの項目が少ない場合に限ります。項目が増えてくると、もはや頭の中だけでは把握できなくなってしまうので、マップを描いて整理するわけです。
ただ、当然ですが、マップを描かなくても書ける程度の文章の方が書く方も読む方も気楽だろうなぁ、とは思います。。
#このエントリーは「頭の中で考えながら」書きました。