今から3年前に100万部を超えるベストセラーになった『病気にならない生き方』を読みました。
全部で57項目におよぶ「病気にならない」ためのヒントや心がけが紹介されているのですが、その中から個人的に特におすすめしたい6項目を厳選。
1.その健康法は全体最適になっているか?(p.26)
2.そのクスリのリスクを把握しているか?(p.49)
3.ひとくちあたり30回以上噛んでいるか?(p.127)
4.食事の1時間前に水を飲んでいるか?(p.155)
5.こまめに5分の仮眠をとっているか?(p.181)
6.その運動は楽しみながら続けられるか?(186)
1.その健康法は全体最適になっているか?(p.26)
ある一部で効果を上げても、全体から見たら逆効果になっている、ということがあります。
たとえば、あなたは次のような健康法を信じて実践していませんか?
・腸のために毎日ヨーグルトを食べるようにしている。
・カルシウム不足にならないよう、毎日牛乳を飲んでいる。
・果物は太りやすいので控え、ビタミンはサプリメントでとるようにしている。
・太りすぎないよう、ごはんやパンなど炭水化物はなるべく控えるようにしている。
・高タンパク低カロリーの食事を心がけている。
・水分はカテキンの豊富な日本茶でとるようにしている。
・水道水は残留塩素を抜くために、必ず一度沸騰させてから飲んでいる。
これらの「健康法」について、これまでに30万件もの臨床例を見てきた筆者は一つ残らず「間違っている」と指摘し、その理由をわかりやすく解説します。
その上で、具体的にどうすればいいのかが提案されています。読み終えてすぐに思い浮かんだのが、これが本当のライフハック(=生命ハック)だ、という感想。
このように誤った情報を多くの人が信じてしまうのは、いまの医学が人間の体を全体として見ていないからだと思います。人間の体はすべてつながっています。一つの場所でよい働きをする成分が含まれているからといって、それが体全体にとってもよいとは限りません。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、食べ物も、そこに含まれる一つの成分だけを見て、体によいとか悪いとか決めることはできないのです。(p.30)
ちなみに、「人間の体」を「会社組織」に置き換えても、そのまま意味が通りますね。
2.そのクスリのリスクを把握しているか?(p.49)
僕自身、『LIVE HACKS!』でもセミナーでも「すぐに役に立つ勉強はすぐに役に立たなくなる」と主張していますが、クスリにも同じことが言えるようです。
これでわかったのは、効果が早く表れる薬ほど毒性も強いということです。薬を選ぶ際には、効果の強い薬、即効性のある薬は、それだけ体に害になるということを忘れないでください。
(中略)
どんな薬でも薬である以上、何らかのかたちで体に負担を強いているのですから、どんなリスクがあるのかきちんと知っておくべきです。(p.52)
3.ひとくちあたり30回以上噛んでいるか?(p.127)
ダイエットをしている方へ。
じつはよくかんだほうが、むしろダイエットにはいいのです。なぜならよくかむとそれだけ食事に時間がかかるので、食べているあいだに血糖値が上がり、食欲が抑制され、食べ過ぎを防ぐことができるからです。無理に食事の量を減らさなくても、よくかむことで自分にとって必要な量で満腹感を感じられるようになるということです。(p.129)
これ以外にも、よくかむことのメリットがいくつか紹介されていますが、何にしても「よくかむ」(筆者はひとくちあたり30〜50回かむようにしているそうです)くらいなら、すぐにでも実践できますよね。
僕自身、この本のこの項目を読んだ直後から「ひとくちあたり30回かむ」を実践しています。始めたばかりの新鮮さもあって、この2日ほどは続いていますが、30回という回数がいかに多いかに驚かされます。普段はほとんど丸呑みに近いのですね。
以下、だめ押し。
人間の腸壁が吸収できる大きさは、15ミクロン(1000分の15ミリ)で、それより大きな塊は吸収されずに、排泄されてしまいます。そのためよくかまないと、10食べても3しか吸収されないということが起こります。
このような話をすると、若い女性などは「吸収されないなら太らないからいいじゃない」といいますが、問題はそんな単純なことではすまされません。消化・吸収されなかったものは、過剰摂取した場合と同じで、腸内で腐敗や異常発酵が起きるからです。腐敗した結果、さまざまな毒素が生まれ、その解毒に大量のエンザイムが消費されてしまいます。(p.128)
「たばこを吸いすぎると肺がこんなになっちゃいますよ」と言われながら、どす黒い肺の写真を見せられたときのような気分になります。ちなみに「エンザイム」というのは本書全体を貫く最重要キーワードです。この言葉が理解できると、本書が一段と説得力に満ちたものに変わります。
4.食事の1時間前に水を飲んでいるか?(p.155)
食事直前でも食中でも食後でもなく、食事1時間前です。なぜか?
その前に、そもそも水を飲む効用とは。
口から入った水は胃腸で吸収され、血管を通って全身の細胞に運ばれます。その際、血液の流れをよくし、新陳代謝がスムーズに行われることを助けます。よい水は、血液中のコレステロール値や中性脂肪を減らすのにも効果があります。成人であれば、最低でも一日に1500〜2000cc、高齢者でも最低1000ccは飲むことをお勧めします。(p.156)
続いて、タイミング。
食事の直前に水を飲みすぎると、胃が水でいっぱいになってしまって食事が食べられなくなってしまいますし、食事中や食後では消化エンザイムが薄まり、消化・吸収の妨げになる可能性があります。食事中に水を飲むときは、コップ一杯(200cc)程度がいいでしょう。(p.156)
気になる「よい水」の定義ですが、次のようなヒントが書かれています。
・化学物質に汚染されていない、還元力の強い水
・カルシウムとマグネシウムの比率が2:1の水
・浄水器を通した水
ちなみに、僕自身は2年ほど前から「富士の湧水」にしており、成分も問題なさそうです。
「富士の湧水」は、バナジウムを多く含有する富士山北麓生まれ。
そのバナジウム含有量は脅威の78μg/L。
これは他の富士山北麓で採水される天然水のなかでも特に高い含有量です。
地元の方々の健康を何百年と支えてきたこの天然水が、今、現代人の健康意識から高い注目を集めています。
人工的な添加を加えない、あるがままの天然水なので、どなた様でも安心してお召し上がりいただけます。
あとは食事の1時間前に欠かさず飲む習慣をつけること。こちらも今のところ継続中です。
5.こまめに5分の仮眠をとっているか?(p.181)
環境が許す限り実践したいですね。
実際、眠いな、疲れたなと感じたときに、5分でも10分でも休むと、リカバリーはとても早くすみます。疲労や眠気を引きずったまま仕事を続けていても、能率は上がりません。最近は企業などでも昼寝の効用を認め、社内で仮眠できる場所を設けているところもあるほどです。(p.182)
以下のエントリーの考え方に通じます。
» 仕事に「ウェーブ」を取り入れる
» お腹がすいたらご飯を食べる
6.その運動は楽しみながら続けられるか?(186)
クスリ、食事、水分、睡眠、と来たので最後は運動について。
あまりストレスに感じない範囲で、楽しみながら毎日続けられる「あなたにとってモダレーションな運動」を心がけてください。運動も食事同様、継続することで大きな「力」となります。(p.186)
モダレーションとは、次の説明がわかりやすいです。
結局、人間の体の恒常性というのは、何かを「しすぎる」と崩れてしまうのです。何事も体にとっては「適当」がいいのです。この場合の「適当」とは、いいかげんという意味ではありません。個人個人の体力や生活、精神面まで含めたうえでの「最適の」運動ということです。これを英語では「モダレーション」といいます。(p.185)
運動といえば、以下の2冊。スロトレは4ヶ月継続中です。
» 『一生太らない体のつくり方』でエネルギーの“不労消費”を増やす
» 『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』、その答えは「仕組み」の先に
まとめ
57項目のうち6項目をご紹介したわけですが、最後まで迷ったのが以下の19項目。
・元気な百歳になる方法
・肉を食べてもスタミナはつかない
・胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる
・本当のことは体に聞かないとわからない
・牛乳を飲み過ぎると骨粗鬆症になる
・「ヨーグルト神話」に疑問を感じるこれだけの理由
・あなたはあなたが何を食べているかで決まる
・マーガリンほど体に悪い油はない
・市販の牛乳は「錆びた油」ともいえる
・白米は死んだ食べ物である
・人間の歯はなぜ32本なのか?
・肉食動物はなぜ草食動物を食べるのか?
・病気の大半は遺伝よりも習慣に原因がある
・便通がよくなる画期的な方法
・チャップリンが73歳で子供をつくれたワケ
・整理がなくなってからが、本当のハッピーセックス
・命には寿命をまっとうできる仕組みがある
・「今夜の焼き肉」より「十年後の健康」を選べ!
・「愛」は免疫力を活性化させる
いずれも、筆者が「患者の体に教えてもらったこと」をベースに説明しているため、納得性が高く、同時に「うわ、これはマズイ!」ということで、生活改善が進みます。
そう、結局は実際に改善をしなければ始まらないのです。
この本は、30万もの臨床例から私が学んだ「正しいこと」を書いたものです。でもこれを読んだだけでは健康になることはできません。あなたの健康をつくるのはあなた自身の日々の行動です。そしてその絶え間ない継続です。
よい習慣の継続はそれがいかに小さなものでも大きな力となっていくのです。よいことを始めるのに「遅すぎる」ということはありません。(p.236)
ということで、気になったものから始めてみることをおすすめします。
▼次にすること:
・『病気にならない生き方』を読んで、すぐにできることから始めてみる
▼関連:
・仕事のおいしさを考える
・睡眠を小刻みにとる効用
・ランチ後の仮眠だけでも
・仮眠とどうつき合うか