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「何もしない」というタスク

日々のスケジュールを立てる上では、タスクリストは役に立ちますが、このリストの内容を「マスト」だらけにしてしまうと、しんどくなります。「今日中に終えないといけない」タスクばかりでは、テンションの高い朝であればまだしも、日が傾き始めた頃になると「もう無理…」という弱気になってしまいかねません。

そこで、普段からリストの中に「必要かもしれないタスク」を入れておくようにしています。

例えば、

 ・メールの返信:30分
 ・クリップした情報の整理:15分(ブックマークや「あとで読む」のメール)
 ・何もしない:15分〜1時間

などです。特に最後の「何もしない」は日が傾き始めた頃になると効いてきます。タスクリストに「何もしない」という項目を入れる──実際には、「休憩」というタイトルですが──のは、馬鹿げているように感じられるかもしれませんが、マストなタスクに追われている時に、「何もしない」という作業項目があると、非常に助かることが多いのです。

例えば、予定していたタスクが想定以上に時間がかかってしまった場合は、この「何もしない」というタスクが持っている時間を分けてもらいます。これは、タスクリストという限られた箱に緩衝材を入れておくようなものです。つまり、最初から目いっぱい詰めないようにすることになります。後から追加したくなれば、緩衝材を取り除いていけば、まだ詰め込む余地が生まれます。

一番わかりやすい“緩衝材”はランチタイムでしょう。時間に追われていれば、外に食べに行くのではなくコンビニで弁当を買ってきて、仕事をしながら食べれば、ランチタイムを仕事の時間に替えることができます。

でも、これはある程度は想定可能なことであり、慢性的に忙しくなってくると、最初からランチタイムを当て込んだスケジュールを作るようになります。もはやランチタイムは“緩衝材”たり得なくなってしまうのです。

そこで、やはり「何もしない」が重要になってきます。食事を取る、という明確な目的のあるランチタイムと違って、「何もしない」は特定の目的がないプレーンなタスクですから、あらゆるタスクに振り替えることができます。疲れていれば休憩、眠ければ仮眠、遅れていれば補填、といった風にです。

とは言え、これができるようにするためには、タスクが並んでいるだけのタスクリストでは足りません。

例えば、以下のようなタスクリストでは、「何もしない」は真っ先に無視されるでしょう。

 □メールチェック
 □会議資料の作成
 □何もしない
 □会議
 □ランチタイム

ここに必要なのは、すべてのタスクに必要な総合計時間です。仮に午前中だけに限定すれば、

 □メールチェック(30分)
 □会議資料の作成(30分)
 □何もしない(30分)
 □会議(90分)
 □ランチタイム(60分)
 ───────────────
 合計:240分

240分(4時間)という具体的な数字が得られます。これがわかって初めて“箱詰め”ができます。

「今日はこれとこれとこれをやらないといけないから」という必要に沿ってリストアップをしただけでは、実際に箱に収まるかどうかは分かりません。「やらなければならない」あるいは「やりたい」という“マストリスト”や“ウィッシュリスト”のままでは、確実な“出荷”は見込めないわけです。

もちろん、明らかに“箱”に収まる程度の分量であれば、わざわざタスクごとに時間を見積もるまでもないでしょう。タスクリストを作るまでもなく、やり仰せてしまえるかもしれません(これが過信の源泉)。

でも、一日のタスクの量が増えてくると、1つ1つのタスクにかけられる時間を厳しく管理していかなければ、少しの遅れが後になって取り返しのつかないギャップを生み出してしまう場合が増えてきます。

タスクごとに想定時間と実際にかかった時間とを比較しながら作業を進めていれば、常に残りのタスクをすべてやり終えるのに具体的にどれぐらいの時間がかかるか(残必要時間)を把握できることになります。

一日の終わりに近づいているにもかかわらず、まだたくさんのタスクが後に残っている、という状況に追い込まれても、「残必要時間」がタイムリミットまでの時間よりも少なければ、パニックに陥ることなく、淡々と仕事に取り組むことができるはずです。

さらに、残っているタスクの中に「何もしない」があれば、ここぞとばかりにそのタスクを消し込むことで、ないと思っていた時間が生まれることになりますから、“箱詰め作業”は楽になるでしょう。

つまり、スケジュールを作る際には、

 ・詰まっているように見せかけて、実は振り替えができる

という“混載”をすることで、飛び込み仕事があってもフレキシブルに対応できるようになるわけです。

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