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続・やろうと思っていることを確実に実行する仕組み

By: Christian SengerCC BY 2.0


前回は、やろうと思っていることを確実に実行するために、メールチェックしなくても、オフラインでいる時でも、必要なタイミングになれば、割り込んできて教えてくれるタフなリマインダーをご紹介しました。

これと似たようなことをすでに実行している方もいらっしゃるでしょう。でも、1つ問題があります。

リマインダーシンドローム

それは、少しやってみればわかることですが(あるいは、やらずとも想像してみればわかるかも知れませんが)、ほどなくして、画面はリマインダーだらけになってしまうことに気づくでしょう。

なぜか?

それは、リマインダーは律儀に指定された日時にお知らせをしてくれるだけであって、その後のことはあずかり知らぬものだからです。つまり、たとえそのタスクが「今」やるべき必要なものだったとしても、そのための時間の確保は引き続き自分でやっておかなければならないからです。

つまり、忘れていてもいいが、ソノ時が来たらソノための時間はリザーブできていなければならないわけです。

それができなければ、結局リマインダーにまみれてしまい、あえなく先送りをするか、あるいは埋もれたまま見逃してしまって、せっかくのリマインダーが無駄になってしまいます(これを繰り返すうちにリマインダーをセットする習慣もすたれていくでしょう)。

このようなリマインダーシンドロームとでも言うべき事態を防ぐには、リマインダーに加えて、もう1つ仕組みが必要です。

トリアージの時間を確保する

それは、時間の在庫管理です。仕事の種類と量が少ないうちは「明日は午前中は会議で午後は客先訪問があって、夕方に企画書作り」というざっくりとした形で、それこそ手帳などのツールを使わなくても“丸腰”のままでも問題は生じないでしょう。

でも、仕事の種類と量が増えるにつれて、

  • 1.どの仕事をいつまでに仕上げなければならないか(トリアージ
  • 2.事前に必要な問い合わせをしておくべき相手は誰か(段取り
  • 3.あるタスクを行う上での前提となるタスクはどれか(前後依存

といった、いわゆるタスク管理というタスクが発生します。つまりこのための時間も予め必要になってくるわけです。

ちなみにトリアージとは、もともと医療用語で、以下のように説明されています。

多数の傷病者が一度に発生する特殊な状況下において、現存する限られた医療資源の中で、まず助かる可能性のある傷病者を救命し、社会復帰へと結びつけること

仕事においても、一度に多数のメールを処理しなければいけない状況において Email Triage という言葉が使われることがあります(関連論文:Exploring the Dynamics of Email Triage)。

まず、時間在庫を把握する

メールの場合は、そもそも届くメールの量を減らすことができれば、根本的な解決ができそうです。メールの優先順位付けをしなければならないほどの、すなわち一日で読み切れないくらいの分量が届くことがそもそもの元凶だからです。

一方、仕事の場合は、仕事の量を減らすことはできるかも知れませんが、メールと比べると容易ではありません。なぜならそこにお金が密接に絡んでくるからです。減らせばラクになるが売上に響くことを考えると…、というジレンマに陥ります。そして、一度減らした仕事を元に戻すことも、やはり難しいでしょう。

そう考えると、仕事を増やす前の段階で、自分の“時間在庫”を把握しておき、増やす際には引き当て可能な量を厳しくチェックするという慎重さが求められることになります。

売上目標の管理も大切ですが、瞬間風速的に目標を達成することができても、それによってリソースが疲弊して後が続かないのでは意味がありません。むしろ限られたリソースでできる範囲の仕事を確実にこなしていく方が長期的に見たときにより多くのメリットが得られるのではないでしょうか。

在庫管理の肝は言うまでもなく在庫数の正確な把握です。倉庫があちこちに分散していたり、積み方に無駄があれば、それらが積もり積もって経営を圧迫します。同様に、時間在庫の実体であるタスクリストがあちこちに分散していたり、時間の見積もりが正確さを欠いていれば、「今」を乗り越えるための足かせになりえます。

そこで、タスクのシーケンシャル管理という一元管理を取り入れることで、必要な時間を“見える化”し、早い段階で“過少在庫”を察知し、“生産調整”をかけるわけです。

このように、適切な時間の在庫管理の仕組みが機能して初めて、リマインダーという“カンバン”がうまく回るようになるはずです。