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「見える化」の実践から見えてくるもの

現在書店に並んでいる日経ビジネスアソシエの3月21日号の特集テーマは「見える化」。昨日の「タスクを“色別”する」とシンクロするところが多いため、少し深掘りしてみます。

「見える化」とは、文字通り目に見えるような状態にすることを指します。複雑な構造をもった対象をシンプルなパーツに分解し、把握しやすくします。

特集のトビラページにはこうあります。

もともと「見える化」は、トヨタ自動車で発祥したとされる言葉で、製造現場など“組織”の見えないものを見えるようにし、創造性や生産効率を引き上げる手法を指す。実は、この手法はビジネスパーソン“個人”の知的生産レベルの向上にも役立つ。

ということで、様々な分野の識者・専門家による記事が並んでいます。それぞれについては取り上げませんが、ざっと読んだうえで気になったポイントをまとめると以下のようになります。

 1.ゴールとなる「ありたい姿」を描く
 2.1に近づくうえでクリアすべき課題を設定する
 3.2を解決する上で必要な作業をリストアップする
 4.3のリストをスケジュールに落とす
 5.スケジュールに従って作業を行う

改めて起こしてみると、特に真新しいことはないことばかりですが、実際にやろうとすると数々の壁にぶつかります。

 1.どうすれば「ありたい姿」が描けるのか?
 2.どうすれば「ありたい姿」に近づくための適切な課題設定ができるのか?
 3.どうすれば課題を解決できる作業が導き出せるのか?
 4.どうすれば現実的なスケジュールが作れるのか?
 5.どうすればスケジュールから外れずに行動できるのか?

単に質問形式に置き換えただけですが、こうすることによって、「考える」と「行動する」の間に横たわる見えないミゾが顕在化されます。このミゾに気づき、埋めるための対策を施さない限り「考え」は「行動」に転化できないでしょう。

以下は、特集本文より。

ハーバード・ビジネススクールのジェラルド・ザルトマン名誉教授は、人間は脳の中で考えることの5%程度しか言語化できず、95%のイメージは無意識下に深く沈んだままであると指摘する。

上記のミゾはまさにこの95%にすっぽり含まれるものであると考えられます。そして、このミゾを明らかにする手段が「見える化」ということになります。

「タスクを“色別”する」では、タスクをそれが所属するProjectによって色分けをしていますが、実際のところは、タスク属性によって分けています。

例えば、ブログの更新は青、外出はピンク、ルーチン作業は黄色、ミーティングは緑、といった具合です。こうすることにより、1日の終わりにどのような属性の作業が多かったのかを「見える化」することができます。

レンジを広げて、1週間あるいは1ヶ月にわたって俯瞰することで、例えば週初めと週末とではどのような傾向があるか、月末と月初ではどうか、といった検討が可能になります。

この検討結果をベースに、アポイントを入れる時期をコントロールしたり、分散しているルーチン作業を一定期間に集中させるようにしたり、といったアクションを導き出すことができます。

何となく「月末は忙しい」とか「月曜日はばたばたする」といった「5%」なイメージをもとにするのではなく、「見える化」した「95%」の現状をもとにするほうが、より現実的で、潜在意識をも動員した判断ができるかも知れません。