Bさん(30歳男性)とは、昨年暮れの──といってもつい9日前の12/27(日)のことですが──山本ケイイチさんのランニング会の後に開かれた朝食会で知り合いました。
会社の許可を得て堂々と週休3日(実働4日)のワークスタイルを実践していたり、昨年1年間で15kgの減量を実現していたり、美崎栄一郎さんに倣って自分なりに工夫したバインダーノートを愛用していたり(改めて取材したいくらいのデキ!)、といちいち感心させられるエピソードをご披露いただきました。
つまり、きちんと結果を出しているのです。いずれも『レバレッジ・リーディング』や『「仕組み」仕事術』、『いつまでもデブと思うなよ』や『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』などなど、このブログを読んでくださっている方であればおなじみの本ばかりですが、これらの本の内容を忠実に実践しただけだといいます。
すかさず、その秘訣をお聞きしました。
やらざるを得ない仕組みを作ってそこに自分を組み込む
↑結論から言えば、こういうことです。
以前、ピタゴラスイッチを例にこんな話を書きました。少し長いですが引用します。
いずれにしても、ゴールを設定し、ここに到達するためのプロセスを描き出したものが「タスク管理」ということになります。逆に言えば、はじめにゴールありき、ということです。ゴールが決まって初めてプロセス設計ができます。
これは、ピタゴラスイッチに似ています。ビー玉がどこから出発して最終的にどこに到達するのか、その全行程を描き出したものがタスクリストであり、ビー玉が滞りなくゴールにたどり着けるために行うのがタスク管理、と言えます。
ピタゴラスイッチのメタファーについては、以下のエントリーが初出です。
» シゴタノ! – 取りかかれない仕事対策1~何となく気が進まない場合
以上、「何となく気が進まない場合」に焦点を当てて「仕事に取りかかるコツ」をまとめてみました。一言でいえば、「ピタゴラスイッチ」(淀みなく流れる仕組み)を作るということになります。毎回一から考えるのではなく、決まった手順に沿って手を動かしていけば、いつも通りの成果が得られる仕組みを目指すわけです。
ちなみに「ピタゴラスイッチ」というメタファーは、佐々木さんの以下のエントリーにインスパイアされたものです。
「ライフハックス」とは?
ピタゴラスイッチでもドミノ倒しでもいいのですが、玉やドミノはただ、自然の法則に従っているだけなのに、様々な仕掛けが事前に施されているため、一度走り始めれば、自然法則に従って結果を出すことが可能です。
私自身もそんな自然法則に従って、わけも分からずに走る「玉」にすぎないのですが、事前に計画がうまく施されていれば、途切れたり滞ったりすることなく、最後まで行き着いて成果が出せる、というところを目指すわけです。
途切れたり滞ったりすれば、そこで「力」(自意識・精神力・根性)を必要とするわけですが、そこを減らす工夫をするのが「ライフハック」だと思いました。
つまり、可能な限り少ない力で、利用できる力はとことん利用して推し進めるのが「タスク管理」というわけです。
Bさんがきちんと結果を出すことができている背景には、このピタゴラスイッチがあるのではないかと想像されます。たとえば、Bさんは次のような“ピタゴラスイッチ”でもって、15kgの減量という偉大なゴールに到達したといいます。
- 会社の後輩に毎日その日の食事記録を提出し、ハンコをもらう
- 一日でもサボったら、その都度3000円おごる
- 30日間続いたら逆にその後輩に1000円おごってもらう
このたった3つのルール、一見シンプルに見えますが、その実、とてつもなく強力です。
一人でいれば、「まぁ、今日は飲み会だし、しょうがないかー」という言い訳とともにサボってしまうかもしれないところを、人に見られているというプライドと、お金がかかっているというプレッシャーを伴わせることで、そうした甘えをがっちりブロックしているわけです。
まるで、レールから外れずに勢いよくまっすぐに転がっていくビー玉のようです。
ところで、ここでもしレールから外れてしまったとしても、ビー玉は悪くありません。問題があるとすれば、レールの敷き方、仕組みのつくり方です。世の中を見渡すに、ビー玉に問題があると決めつけている向きが少なくないように感じます。
方法を身につけるより方向を見定めよう
ビー玉にとって転がりやすいレールを作ればいい。つまり、環境を整備してあげさえすれば、ビー玉はおのずとゴールに向かって転がっていくのです。
Bさんがダイエットに成功できたのは、まっすぐに転がるしかないという環境作りを真っ先に行ったからだといえます。多くの人にとって3000円は毎日払うのには大きすぎる金額でしょう。一方1000円は1回きりなら自分を支えてくれた人へのお礼として心置きなく支払える金額ではないでしょうか(むしろ安すぎるくらいかも)。
人にもよるかもしれませんが、このあたりの価格設定の妙も成功の要因の1つと考えられます。
何にしても大事なことは、ビー玉としての転がり方ではない、ということです。そうではなく、どちらに転がっていけばいいか、もしくはどちらに転がっていきたいか、をはっきりと認識すること。それに合わせてレールを敷き、無理のないダイヤグラムを組み上げること。
目的地をセットして初めて本領を発揮するカーナビと同じく、人もまたゴールを明確に認識できて初めて行動を起こすものなのではないか、と思うのです。
言い換えれば、ゴールさえはっきりとイメージできれば、その間に横たわる現実とのギャップを埋めるための手段や方法は走りながらでもおのずと思い浮かぶのです。
それでも「手っ取り早く方法(テクニック)を知りたい」というニーズは健在ですし、今後もなくなることはないでしょう。でも、だからこそ、自らの手で自分にぴったり合った方法を組み立てられるようになることが先決だと考えています。
魚を捕るより魚の捕り方を覚えた方が、のちのち苦労が少なくて済むからです。
2010年のシゴタノ!の方向性
ここで、今年2010年のシゴタノ!の方向性を見定めるべく、まずは昨年2009年にやってきたことをざっと振り返ってみます。
2009年にやってきたことと振り返り
- 仕事術系セミナー・講演
(13回:1/16、1/17、2/1、2/17、2/18、6/17、6/18、6/27、8/19、8/20、10/30、11/6、12/20) - ブログセミナー・講演
(11回:1/24、1/31、3/7、3/13、3/22、5/17、5/29、6/26、7/12、9/7、9/19) - ブログ相談会
(13回:3/3、3/6、3/10、4/4、4/23、6/9、6/24、7/4、7/26、8/25、8/30、10/7、10/31) - 英語講座
(12回:3/4、3/11、3/18、3/25、9/10、9/17、9/24、10/1、11/12、11/19、11/26、12/3) - ゲストセミナー
(4回:1/26、3/24、4/21、7/31) - シゴタノ!読書塾
(5回:4/17、6/1、7/1、8/4、9/14)
上記以外の時間は、連載やコラムの執筆、そして昨年2009年から始めたブログのコンサルティング(Skypeまたは対面)が占めていました。
総括すると、全体的にスピード感に欠ける1年でした。
仕事の数はこなしていますが、こなしながらも「もっとたくさんできるはずなのに…」という不足感が常に頭にあったからです。
スピードが上がらない理由は簡単で、長期計画がないから。言い換えれば、その都度レールを敷きながら走っているからです。これはフレキシブルではありますが効率的ではありません。注文を受けてから仕込みを始めるようなもので、「そんなに時間かかるんだったら、もうええわ!」というチャンスロスを招きやすいやり方なのです。
よく言われる「状況や環境の変化に即応してタイミングよく動く」というスタンスは、一見するとクールでスマート、しかもシンプルに見えますが、実は入念な準備と日頃からの鍛錬に支えられた綿密な仕組みがあって初めて成り立つものなのだ、ということを痛感しました。
その仕組みとは、自分というビー玉を迷わず素早く転がしていくためのピタゴラスイッチです。
そんな背景もあり、昨年の途中から次の2つの“レール”を導入しました。
- パーソナルビジネスコーチ(4月~)
- パーソナルフィットネストレーナー(9月~)
それぞれの詳細は長くなるので割愛しますが、共通点としては強制的に一定時間の「非日常」が確保できるために、“脱線”を防ぐことができる点です。
これまでにも様々なセミナーや研修にお金と時間を投じてきましたが、この2つの投資ほど成果と手応えを実感できたものはありません。
僕自身がもともと怠け者なところがあり、放っておくと楽な方へと漂流していくので、それを防ぐための碇(いかり)として、ブログを続ける、すなわち自らの活動を衆人環視下に置いているのですが、そのブログも所詮は自分だけの“城”ですから、その効力には限界があります。
そこで、信頼のおける外部の人に“本丸”まで入ってきてもらって、自分の甘いところを徹底的に潰してもらうわけです。
2010年のシゴタノ!の方向性
以上のような振り返りを踏まえて、今年2010年は次のような方向性で航行していきます。
- パーソナル志向
- プロデュース志向
▼1.パーソナル志向
パーソナル、すなわち一対一でのアクティビティは非常に効果的である、と身をもって体験したので、これを多くの方に伝えていきたいと考えています。
昨年、少人数(4名)のブログ相談会や一対一のブログのコンサルティングに力を入れてきましたが、今年はさらにこの「少人数カテゴリー」を拡大します。
また、仕事術系のセミナーについても、人数を絞り込み(最大20名)、参加者の方が抱える課題に個別に応えていけるような、そしてその場に集まった参加者の方同士が良好かつ有益な関係を築けるようなプラットフォームとして位置づけていきます。
スタイルも、一方通行のセミナーから双方向のワークショップに一新します。
▼2.プロデュース志向
ほかにしっくり来る言葉がないのでこの言葉を使いますが、その目指すところは発掘と発露です。パーソナルだからこそ、その人の持つ手つかずの本領を時間をかけて掘り出すことができます。
僕自身、ブログを書くことを通して、自分が本当にやりたいことに少しずつですが近づくことができています。ブログを書くことは自分とのパーソナルな対話といえます。
ブログを書くことを通してあなたの持つ、まだ発揮しきれていない本領を自ら掘り出して欲しい。掘り出すことができたなら、それをいかんなく発揮して欲しい。そう考えています。
具体的には、自身のビジネスの拡大であったり、新たな事業の開拓であったり、あるいは本領を活かしたセミナーの開催や本の出版かもしれません。
すでに、昨年からのクライアントであるIさんが今月から、これまでに類を見ない起業家養成セミナーをスタートさせます。英語講座の講師をお願いしている高島陽子さんも、本職はフードアナリストですが、発揮されずに眠っていた英語教育という別の本領が発掘されてカタチになった一例です。
他にも準備中の方が何人かいます。
こうした方々を中心に引き続きゲストセミナーを開催していきます。
また、今年は特に出版を目指している方のお手伝いができればと考えています。とはいえ、いきなり本を出すのはやはり敷居が高いので、まずはブログを書くことを通して、自分とのパーソナルな対話の場を作り、これを布石にして商業出版にリーチするという二段構えです。
あるいは、不定期かつ独断と偏見ですが、シゴタノ!の執筆陣に加わり、力を発揮していただくケースもあります。『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす』著者の池田千恵さんやブロガーの倉下忠憲さんがその一例です。
ちなみに「プロデュース」という概念を僕にとってこれ以上にないくらいしっくりくる形で提示してくれたのが『プロデュース能力』。本書は僕自身にとってターニングポイントとなった一冊といえます。
ということで、2010年のシゴタノ!はパーソナルとプロデュースの2つのPで、あなたのピタゴラスイッチ作りをお手伝いします。
本年もよろしくお願いいたします!
関連エントリー:
・自分の内に秘めた「すごい可能性」を解き放つための3つのポイント
・サイバーローグ研究所(ブログコンサルティングの詳細はこちら)
・シゴタノ!ブログ塾(同じページですが、無料メルマガのご登録もこちらからどうぞ)
昨年参加したセミナーの中で最も人におすすめしたいのが、僕自身が一方的にメンターとしてリスペクトしている福島正伸さんのセミナー。昨年は岐阜県まで聞きに行ったくらいです。
今回は東京で聞けるチャンスがなんと2回もありますので、ご紹介します。
2月3日(水) 超人気コンサルタント養成講座
- 日時:2009年2月3日(水) 19:00~21:00
- 会場:ベルサール神田(地図)
- 定員:150名
- 参加費:15,000円(「大橋悦夫の紹介」と書き添えれば10,000円)
詳細・お申し込みはこちらから。
2月5日(金) 福島正伸~愛を語る~
- 日時:2009年2月5日(金) 19:00~21:00
- 会場:アパホテル 東京潮見駅前(地図)
- 定員:100名
- 参加費:8,000円(ペア割あり)
詳細・お申し込みはこちらから。