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ブログを読み返すことの効用

先日、ヘアサロンに行ったときのこと。現在美容師を目指して修行中という24歳になるK君にシャンプーやマッサージをしてもらったのですが、合間合間の雑談が非常に充実していました。

K君は、高校生の頃から髪を染めたり脱色をしたりパーマを掛けたりと、自分の髪の毛をいじるのが大好きで、同級生たちが床屋に行くところを彼はヘアサロンに通っていました。

そこで出会った美容師さんが(おおげさですが)彼の人生を決定づけたようです。髪の毛いじりが好きな自分の未来の姿を目の前にいる美容師に見出したのでしょうか、高校を卒業すると専門学校に入り、そして現在のヘアサロンで修行をしている由。

ヘアサロンにはK君のような修行中の段階にいる人がそれこそわんさかいるわけですが、そんな中から本当に(自分の店を持つところまでいかずとも)美容師として一人前になれる人はごくわずかでしょう。

そこで、美容師になれる人となれない人との差はどこにあるのか、という疑問が浮かびました。

決められたことを決められた通りにやるだけであれば、勘が良かったり要領が良い人が有利になります。でも、決められたとおりの正しいこととお客が求めることとは必ずしも一致しないもの。

いくら美容師が「このスタイルの方がカッコイイ」と思っていても、お客がそれを求めなければ、顧客満足は得られないでしょう。

そう考えると、つけるべき差は別のところにありそうです。

K君と雑談をしていて感心したのは、彼のヘアケアに対するこだわりや、髪の毛に対するいたわりの気持ちの強さ。シャンプーをするときの注意点はもちろん、彼自身が実際にどのように自分の髪の毛をケアしているか、そして彼のやり方を実行するとどのようなメリットが得られるのかを具体的に解説してくれます。

さらに、話を聞きながら疑問に思ったことを質問すると、的確な回答が返ってきます。

結局、彼イチオシのトリートメントを購入して帰ることになりました。でも、「無理矢理に買わされた」という感覚は一切なく、むしろ納得ずくで、最後は自分の意志で買う決断ができたので、何の引っかかりもありませんでした。

K君が髪の毛に対するこだわりをとうとうと語ったり、髪の毛について聴かれた質問に即妙に答えるのは、そう決められているからというより、彼自身がそれを人に話して聞かせること自体に楽しさを感じているからではないか、と感じました。

人に話せば、相手から何らかの反応が得られます。「なるほど!」という理解や納得の時もあれば「どうしてそうなるの?」「こういう場合は?」という質問の時もあるでしょう。このような反応によって、自分の知識が試され、磨かれ、洗練されていくはずです。営業の仕事で言えば、トークが磨かれる、という感じでしょうか。

メルマガ「えのさんのeの素」に以下のようなエピソードが紹介されています。

聞かすより話させる

創業の頃は朝7時に始業していた。9時まではお客さんや仕入先からも電話がないので、勉強してきたことや気付いたことがあると、突然社員を集めては、一方的に話していた。

最近、思うことだが、聞いたことではなく話したことだけ記憶に残るのではないだろうか。教え好きの私は、何かに気付くと、とにかく人にしゃべりたがった。そこで知識が蓄積されていったような気がする。

同じ経験を社員にもさせてあげなければと思った。聞かせるのではなく、話させる。教育の基本としたいと思う。

確かに、人に説明することによって理解が進んだり、あいまいにしか理解していなかったこと気づくことがあります。そして、書くことにも、同じような効果があるのではないか、と感じています。

いざ書こうとすると、考えていたことが思うように書けなかったりしますし、改めて文字にしてみると、書く前に想像していたのとは別の切り口が見えてきたり、といった体験ができます。

さらに、書き残しておけば、後で読み返すことができます。読み返すことは、書いた時の思考をなぞること。例えば、ブログを読み返すことは、過去の自分(=他人)の行動をなぞる行為と言えます。

その時は未解決であったことでも時間がたって他人になった自分なら解決できるかも知れません。少なくとも別のアイデアが浮かぶ可能性は十分にあるでしょう。そして、この「なぞる」行為は、未来に同様な事態に直面した時を想定したシミュレーションをすることになります。つまり、次回の本番のための準備をすることができるわけです。

えのさんが書いているようにアウトプットすることはインプットの質、さらには行動の質を磨くことにつながります。いくらたくさんの本を読んだり、人から話を聞いても、それを人に話して聞かせたり、文章で書き起こすことをしなければ、いずれ忘れてしまうでしょう。

K君が自身で実践している髪の毛の手入れの仕方について熱心に語るのを聞きながらそんなことを考えました。