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始めることが最も痛みの少ない苦痛なのだ



大橋悦夫昨年、『人間は自分が考えているような人間になる』という本を夢中になって読みふけっていました。多くの示唆と前に進むための後押しが得られました。

中でも心に突き刺さった一文は以下。

自分が望んでいるにもかかわらず実行せずにいることを、正当化する口実などありはしない。(p.181)

さらに畳みかけます。

すなわち、本が書けないだとか絵が描けないだとかのロ実を設けるのは、感動的な本を書けない、素晴らしい絵を描けないということの言い訳になるのだ。

ともすると、素晴らしい成果をあげるために必要な努力や苦痛などよりも、うまいロ実を設けるのに費やした努力と無力感からくる苦しみのほうが、ずっと多くなりがちなのである。(p.201)

ふと、ブラックマヨネーズ(お笑い芸人)の初期のコントが思い出されます。

相方に悩み相談をしつつ、「ほな、こうしたらええんちゃう?」という提案を一つ受けるたびに「でもなぁ~」と、その提案を潰す理由を即座に返して、結局その悩みを抱え続けることになるという「あるある」がテーマです。

このやり取りが笑いを誘うのは、誰しも思い当たるフシがあるからで、「自分だけじゃないんだ♪」という安心感から、つい頬がゆるんでしまうのでしょう。

でも、それは一時的な痛み止めに過ぎず、根本的な解決にはつながりません。

それでも、迷う

とにかく始めることが最善だ、というのは頭では理解できます。

でも、

  • 本当に今なのか?
  • もっと良いタイミングがあるのではないか?
  • あるいは別のもっとラクな方法があるのではないか?

などなど、考え始めるとキリがない。

決められない。

苦しい…。

どうすればいい?

迷っていることを、書く

ここから抜け出す方法は1つしかありません。「書く」こと、しかも、それを誰かの目に触れるところに「出す」ことです。

今ならブログ(FacebookやTwitterではなく)ということになります。

書き続けるうちに、次にすべきことが見つかります。
たいていは「調べる」だったり「探す」だったり。

「調べる」や「探す」であれば、そのまま突き進めば良いでしょう。調べた結果「分かった!」が得られたり、探した結果「見つかった!」が得られれば、それがさらに前に進むための原動力になるからです。

でも、書き続けるうちに「これをそのまま続けるべきなのか?」とか「自分なんかがこれをやっていていいのか?」といった袋小路に迷い込むことがあります。

このような袋小路に迷い込むのは、たいてい人と比べているときが多いもの。

  • あの有名な○○さんも、最初はこんな感じだったのだろうか? もっとすごかったんじゃないか? それに比べて自分は…
  • いま書いていることは、すでに多くの人がとっくの昔から書いていることじゃないか? 今さら自分が書く意味があるのか?
  • そもそも自分はいったい何者なのか?

などなど、特に自分の小ささに気づいたときに、周囲に高い壁がそびえ立っていることに気づくのです。

そんなとき、『人間は自分が考えているような人間になる』の次の言葉が効きます。

仲間からはずれまいと、わざわざ自分のペースを落としているような人間は、ばかである。自分の生き方を崩さないこと。自分の生きたいように生きよ。稼ぎたいだけ稼ぎなさい。やりたいことをやりなさい。自分自身の人生なのだから、他人がどう思おうが気にすることはない。(p.205)

ただ、これを読んで、奮起できる人もいれば、「いやいやいやいや、そんなごう慢な生き方は自分にはできない」と尻込みしてしまう人もいるかもしれません。

尻込みしてしまう人には次の言葉。

成功する人間は、自分の力で人生という車の運転をするし、成功できない人間は、運転を他人に任せ、自分は後部座席に座ったままでいるのである。(p.324)


「当たり」が出るまで引き続ける

「いやぁ、まぁ、でも、やっぱり後部座席でいいです…」という人もまたいるかもしれません。

実は、書き続ける過程で、仮に「後部座席」に甘んじようとする自分に気づいたとしても、それはそれで1つの成果だと思うのです。

さまざまな可能性がある中で、いま書き続けてみたテーマが自分にとっては「後部座席」だったことがわかった、という成果。

時間のある限り、くり返し引き続けることができる「くじ引き」のごとく、また別のテーマで書いてみればいいのです。

かなり早い段階で「当たり」を引く人もあれば、「はずれ」をすべて引き尽くして最後に「大当たり」をものにする人もいます。

20代で起業して上場させてしまう人もあれば、52歳になるまでうだつの上がらない日々を過ごしたのちに満を持して世界的なハンバーガーチェーンという成功を手にする人もいます。

書かずに考えているだけでは、引いた「はずれ」くじを箱に戻すようなもので、同じ「はずれ」を引き続けてしまうことになりかねず、しかもそれに気づかないかもしれません。堂々巡りに陥ってしまうのです。

だから、まずは書いてみる。

セルフイメージを高める

最後に、「始める」と「続ける」を絶やさないうえでもっとも重要なこと。

それはセルフイメージを高めること。

実は、つい最近まで僕自身もこの「セルフイメージ」というものについてあまりよく分かっていませんでした。

それが、以下の記事でもご紹介した本田健さんのメールマガジンで、以下のような記述を見つけて「そういうことか!」とスッと理解できました。

» 本を選ぶときに参考にしているメルマガ2誌


少し長いのですが引用します。

セルフイメージが高い人とは、私は何をやってもう まくいくと自然に信じている人です。無理して信じているわけでは ありません。

例えば私の知り合いで、武道館をいっぱいにするようなアーティストがいます。先日、コンサートの後に控室へ行くと、花束を持っている女性陣がいました。

その女性ファンたちは彼が出てくると、キャーッと言うわけです。そして彼女たちが「世界一ステキだと思います」と言ったのです。私がそのようなことを言われたら、「そんなことないですよ」と言うだろうと思いました。

でも彼はふっと遠くを見て、「俺もそう思う」と言ったのです!

これこそ、セルフイメージが高いことだと思いました。

「世界一カッコイイ。俺もそう思う。俺も世界一カッコイイ」

ということなのです。

顔がいいとか、そういうことではないのです。自分が自分のことを素晴らしいと思うのが、高いセルフイメージなのです。

高いセルフイメージの人がそんなこと言ってしまうのを聞くと、自分はそこまでではないにしろ、もう少し自分を褒めてあげようという気持ちになります。

「素晴らしい本ですね」と言われたら、「そんなこと言わないでください」と言わずに、「ありがとうございます」と言えるようになりました。

そうやって、私のセルフイメージは高まりました。自分は何を書いてもベストセラーになると思っている人と一緒にいると、自分もそのような気分になるのです。

そうすると、どんどん理想の自分が近づいてくる感じになります。例えば、余裕で年収1億円を稼いでいる人たちと一緒にご飯を食べていたら、自分も当然いけるという感覚になるわけです。

だから、とにかくセルフイメージが高い人と付き合うことです。会社を経営しているのだったら、上場企業を何社も経営しているような人と会うと、会社はうまくいくのだとこちらも思えてくるのです。

これが大事だと思います。

ただ、「余裕で年収1億円を稼いでいる人たち」の知り合いなんていないので一緒にご飯を食べることなど不可能、ということもあるでしょう。

そこでおすすめなのが、自分との約束を守り続けること。つまり、「やる」と決めたことを「やり続ける」ことです。

実はこれは非常に簡単です。なぜなら、自分で決められるからです。「簡単にやり続けられること」を決めればいいのです。

例えば、僕は「毎日1ページ読む」とか「毎日1つだけ捨てる」といった、ごく小さな目標を設定することが多いのですが、そういう小さな目標は簡単に達成できるため、小さいながらも目標達成を毎日くり返すことができます。「今日も全部クリアできてる…」というほのかな満足感を味わうことができます。

もちろん、簡単にできることばかりなのですが、簡単にできることであれ、手を動かしたり、一瞬でも頭を使ったりする必要があるので、やるためにはそれなりの手間と時間がかかります。

一回一回はたいしたことはなくても、積み上げるとたいそうなものになるのです。

「気づいたら分厚い本を読破できていた」とか「いつの間にか本棚がカラになっていた」といった成果が得られると、「思ったよりできるヤツなんじゃないか?」と自分を見直すようになります。セルフイメージが一段高まった瞬間と言えるでしょう。

最後に『人間は自分が考えているような人間になる』の次の言葉で締めくくります。

新しい事業を始めようとする起業家は、多数の人間がしていることなら間違いあるまい、と勝手に決めこんでいる。どうして世間一般が正しいといえるのか。皆、大成功などしていないではないか。世間一般の人間と同じことしかしていないで、めざましい効果が生まれるなどと考えるべきではない。(p.235)

始めることこそが最も痛みの少ない苦痛なのだ。

というわけで、本年もよろしくお願いいたします。

 

参考文献:

読み始めるなら今が最も痛みの少ないタイミングです。




紙版しかありませんが、勇気をもらえる一冊です。特に巻末の孫正義さんと柳井正さんの対談(付録1)が非常に熱いです。創業前後の、まさに「くじ」を引き続けているエピソードが目を引きますし、「世間一般の人間と同じこと」の対極に挑む姿勢にも背中をぐいぐい押されます。

さらに柳井正さんによる「レイ・クロックの金言、私はこう読む」(付録2)も良いです。本編とは違った角度から光が当てられているので、深みが増すのです。「成功者の発想法」、「失敗を乗り越える力」、「自らの仕事の意味を理解する」、「チームの作り方」、「ヒットの作り方」、「ライバルとどう戦うか」、「稼いだお金をどう使うか」、の7編からなります。