渋谷にあるシェアオフィス「PoRTAL」で仕事をするようになって1年が過ぎました。
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改めて、このシェアオフィス「PoRTAL」のオフィスとしての不思議さと、「環境」というものが持つパワーついて思うところを書いてみます。
シェアオフィス「PoRTAL」のオフィスとしての不思議さ
「PoRTAL」のオフィススタッフ(運営会社の社員)はレジデント(シェアオフィス入居者)と同じようにシェアオフィス内で仕事をしています。外から見たら、スタッフとレジデントの区別はつきません。
シェアオフィス「PoRTAL」の運営母体は「ひつじ不動産」という会社であり、そのオフィススペースがシェアオフィスを兼ねているわけです。
ひつじ不動産さんにとってみれば、自社のオフィススペースを有償で開放していることになります。
すでに1年以上ここで仕事をしているので特に意識することはないのですが、改めて考えてみるとこれは不思議なことだと感じます。
自社のオフィスに契約者とはいえ社外の人がたくさんやってきて、めいめいの仕事をしている状態が常態化しているのですから。
仕切りがあるわけではないので、オフィス内を歩き回りながら、意図せずして他のレジデントさんの作業内容が目に入ってきてしまうこともあります(別室の固定席の契約もあります)。
これは言ってみれば街中のカフェとほぼ同じ「設定」であり、それだけに秘匿性の高い作業は憚られることになります。
逆に言えば、それ以外の仕事は特に問題なく進めることができます。そしてたいていは自宅など一人で仕事をしているときよりも「はかどる」のです。
「環境」というものが持つパワー
シェアオフィスという「他人の目がある環境」は作業者に一定の緊張レベルを維持させ、仕事以外のことに注意が向くのを抑制してくれます。ちょうど、ホースの先をつまむことで水の勢いが増すかのように。
例えば、YouTubeの動画をえんえんと見たり、仕事に関係のないブログを読みふけったり、ネットショッピングにいそしんだり、といった「仕事以外のこと」がやりづらくなるのです。その結果、自然と意識は仕事に向かうことになります。
スポーツジムでトレーニングの合間にスマホをチェックすることはあっても、1時間以上スマホをいじり続けるのは難しい(やりづらい)のに似ています。
カフェでも仕事ははかどりますが、カフェの場合は仕事以外の目的で来ている人もいるため、なんとなく後ろめたさを感じたり、特にファミレスなどでは家族連れが隣にくるとひどく侘びしい気持ちになったりします。
オフィスであれば、そこに集まっているのは仕事をするための人ばかりなので、おのずと意識を仕事に向かわせる好ましいプレッシャーが得られるわけです。
これはまさに以下の記事でも書いた「環境ドリブン」といえます。
» 『なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか?』から学ぶ、自分にとって望ましい「環境ドリブン」をいかに引き寄せるか
「環境ドリブン」、「自分ドリブン」、いずれも僕の造語です。
人は身を置く環境によってその行動に影響を受けています。静かな図書館であれば、おのずと集中して勉強をする気になりますし、自宅に帰り着けば放っておいてもリラックスするでしょう。
もちろん、例外もあります。静かすぎる図書館よりも、ある程度騒がしいカフェのほうが仕事がはかどるという人もいるでしょうし、神経が高ぶっていれば自宅でも緊張が解けないこともあるかもしれません。
それでも、たいていは環境を変えることで気分が改まり、行動にも変化がおよぶものです。
このように、環境の力を借りて行動を変えようとするアプローチを「環境ドリブン」と呼んでいます(ドリブンとは「駆動」の意味で、ここでは環境の変化がきっかけとなって行動に何らかの変化が起こる、というニュアンス)。
一方、環境に関係なく、自らの意志と努力によって行動を変えるアプローチもあります。こちらを「自分ドリブン」と呼んでいます。
この2つの「ドリブン」を比べた場合、いうまでもなく「環境ドリブン」のほうが「自分ドリブン」よりも楽に行動を起こすことができるでしょう。
例えば、受験生にとっての図書館や、ビジネスパーソンにとってのカフェは、それぞれ自宅という環境よりも何かに集中して取り組むうえでは適した環境といえます。
人が行動を引き起こす背景には外発的か自発的かという対立構造があるわけです。
ともあれ、生身の人間である限りは、放っておけばラクなほうに流れたくなることは避けられません。これを漂流と呼んだりしますが、一度漂流し始めたら、元のコースに戻るのは困難です。
それゆえに、この漂流を元から絶ってくれる環境の力、すなわち「環境ドリブン」は想像以上に大きいといえます。たとえ移動時間が発生したとしても十分にペイします。
「家でやった方が移動時間も要らないし、何でも揃っているから仕事もはかどる」というもっともらしい「家に居るための口実」は、残念ながら欺瞞に満ちていると言わざるを得ないのです。
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