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時間の節約は功を奏さない

By: Malinda RathnayakeCC BY 2.0


佐々木正悟 タスクシュートは、ある意味では「時間簿」と言うべきものです。家計簿と同じように、時間を、いつ、何のために、どのくらい使ったかを、漏れなく記入していくからです。

上手にお金をやりくりするためには、家計簿が欠かせないように、時間をうまく使うには、時間簿をつけていた方がいいでしょう。

ここまでは、わりと簡単にご理解いただけると思いますが、時間とお金は、まったく同じではありません。

大きな違いが2つあります。

時間とお金の大きな違い

1つには、時間には「枯渇」がないところ。時間は、枯れることのない水流のように、常時供給され続けています。死ぬまでなくなることはありません。ここがお金と大きく違っているところです。

2つめに、時間は「一気に使えない」ということがあります。

お金であれば、1円でも、1億円でも、同じタイミングで消費したり投資したりできますが、1秒の時間を使うように、100時間を使うことは、決してできません。これができれば、成果が「一気に」手に入るのですけれど。

この2つの要素。「なくならない」けれど「一気には使えない」時間というものを、お金と同じように扱おうとすると、うまくいかないのです。

時間は節約できない

人は、たいていの場合リソース・資源というものを、お金のように扱いたがります。貴重な食料や、限りある資源は「大切に、節約しつつ、無駄なく」使おうとします。

たいていはこれでうまくいきます。しかし時間は、そうはいかないのです。

なぜなら、時間は「なくならない」のですから、「節約する」意味がほとんどありません。同時に「一気には使えない」から「溜める」という発想がうまく機能しないのです。

結果、時間の節約をしたがる人は、苦労するわりに、成果をあまり手に入れられません。時間の節約というのは、お金の節約に似て、なるべく使わず、必要なことに先に使う、という意味になります。これを少し具体的に表現すると、次のようになります。

気乗りのしない「仕事」をどんどんすばやくやって、意義がある、またはやりたいことは、後であまった時間をたっぷり使う

この発想では、まず、うまくいきません。

この発想は、先に挙げた時間に関する2つの基本性質を無視しているからです。

  1. 時間は節約しても貯められないから、どんどん嫌なことを先にやっても、余った時間は休憩(何もしない時間)に消えていく。これが何も買わなければ減らないお金と時間との大きな違い
  2. 時間は、節約して貯めても一気に使えないから、後でたっぷりやろうとしても、その時になってくたびれていたりすると、ほんのわずかな、あるいはまったくできなくなってしまう


では、どうすればいいか?

では、時間をうまく使うにはどうすれば良いかというと、実は、かけられる時間を、惜しみなくさっさとかけてしまう、ということになるのです。

その「かけられる時間を先にかける」ためにこそ、やることのすべての時間を洗い出し、その結果どういう時間の使い方を「してもよい」かがわかる、タスクシュートという仕組みが必要になるのです。

たいていの人は、お金のように時間も、単に「節約して余らせて、それを使う」という発想だけで動こうとします。

しかし、時間は、お金のようには、節約主義がきちんと機能しません。タスクシュートは、節約的な発想の欠陥を補うことのできる時間管理法なのです。