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病院の受付管理にタスクシュートを見た



佐々木正悟 最近、娘のインフルエンザだの、自分のジンマシン騒動だので、やたらと病院通いの日々です。

病院の待ち時間というのは、何とも言えず苦痛なものですが、「予約システム」はそれをある程度軽減してくれます。

そういう意味ではいろいろ難しいことはあってもぜひ、すべての病院に投入していただきたいシステムではあります。

いまは5番だから私の順番までは25分

この騒動のさなか、いままで見たことのない光景を見ました。

診察中のお医者さんのデスクの上に、

  • いま 5番
  • 待ち人数 18人
  • 待ち時間 55分

という大判のモニタリングがどん!とあったのです。

この先生は、仕事が早いです。それにしてもこんな光景は、私は見たことがなかったのですが、「まさしくタスクシュートだな」と感慨深く思いました。

こういう言い方はあれかもしれませんが、現実問題として「患者さん」は「タスク」です。

そしてここが肝要なのですが、その順番を勝手に変えることはできません。あるいはできるかもしれませんが、さしたる理由もなく変えてしまうのは、いいことではないはずです。

これが単なるタスクリストなら、自分の好きな仕事からやることもできますが(それは多くの場合、あまりいい結果につながらないのですが)、患者さんは現実にそのとき待っているのですから、そうもいかないはずです。

シンプルな仕組みだから機能する

待ち時間は、予想でしかありません。これが「見積もり」に相当するわけですが、55分後に仕事が終わる、という意味ではない。「このペースを守り、しかも仕事が増えなければ、55分後くらいに終わっていてもいい目安だ」という意味でしかないのです。

実際には「仕事」は増えますし、ペースも変わるのです。大事なのはそれを、目の前の数字に反映させることです。すべてのお医者さんが目の前に「現在の状況」を置いておくべきだとは思いませんが、「受付の人」は知っていてもいい数字です。

つまり私たちについていえば、私たちの中の「受付」はこの数字を把握していて良いはずなのです。

仕組み自体はシンプルです。ある意味では、恣意的に順番を変えたり、「マルチタスク」(複数の患者さんを同時に診る?)にできないことが、仕組みのシンプルさに保証を与えているとも言えます。

そして当然といえば当然ですが、お医者さんは仕事が終わるまでは仕事を勝手に切り上げることもできないでしょう。

だからどこかで線引きをして、「翌営業日以後」の仕事は「翌営業日以後」に回すのです。1日1箱なのです。

原理的にシンプルたらざるを得ないからシンプルであるとしても、このシンプルさによって多忙な職業でも回っていくという事実に注目するべきです。

(※この中で、何かと重視されがちな「見積もり時間」が二義的でしかない点も、注意しておくべきです。私の知る限り、多忙なお医者さんは「営業終了時刻」のずっと後まで仕事をなさっています。

それでも見積もりはするべきなのです。目安をもっていることが必要です。また患者さんにも「あと何分くらい待てば良いのですか?」と聞かれることはあるでしょう。正確でなくても待つ方としては「目安」が知りたいのです)。