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いつも早く帰る人の秘密



大橋悦夫いつも定時で帰るのに、締切は落としたことがない。あの人はいったいどんな仕事の仕方をしているのだろうか?

会社員時代は残業まみれでしたが、そんな職場でも、ほとんど残業せずに定時でサッサと退社していく先輩がいました。ここではTさんと呼ぶことにしましょう。

何か特別な秘訣があるのではないか。

もしあるのなら、社歴1年上の先輩でしたから、教えてもらえればすぐに真似ができるはず。

そう考えて、質問してみました。

Tさんは快く応じてくれました、
コーヒー1杯で。

教えてもらったことは「確かにそれなら早く帰れそうだ」と思えることばかり。

理解できているのに実行できない理由

『スピードハックス仕事術』の「はじめに」で、Tさんから教えてもらった「早く帰るための3つのポイント」をご紹介しています。



でも・・・、なかなか実行に移せませんでした。

「理解できているのに、なぜ実行できないのか?」

当時はこの疑問に答えられずに悩んでいました。

あれから16年たった今ならわかります。

当時は、

  • 仕事を早く終わらせる
  • 残業せずに早く帰る

という「最終結果」のみに意識が向いていて、そのために何をすればいいのか、という「プロセス」には関心が向けられていなかったのです。

そして、この「プロセス」は、実に地味で地道なものであり、

「これをしたからといって、何が変わるというんだ?」

と言いたくなるようなことばかり。

食事にたとえれば、

  • 毎日三度の食事を同じ時間に欠かさずとり、
  • バランスの取れた食材と適切な分量を守り、
  • 寝る前3時間はいっさい食べものを口にしない。

こういった規律を守ることは、実に地味で地道なものです。

でも、この積み重ねが「健康」という最終結果につながっています。

病気になってから、こうした規律を守り始めても手遅れなのです。

注射を打つなり、薬を飲むなり、あるいは手術を受けるなり、何らかの「対策」が必要になります。

それは多くの場合、普段の規律を守るのに比べてお金の面でも時間の面でも割高になります。

そういう意味では、

  • 仕事を早く終わらせる
  • 残業せずに早く帰る

これは仕事にとっての「健康」という状態といえます。
普段から規律を守っているからこそ実現できる「最終結果」なのです。

もし、いつも終電間際まで仕事をしている人が、いきなり翌日から定時で退社しようとすれば、必要なのは「規律」ではなく「対策」であり、難易度が上がる、あるいは実行できない、ということになるわけです。

これが「理解できているのに実行できない」理由です。

では、どんな「規律」を守ればいいのか?

結論から言うと、そこに正解はありません。

どんなものであれ、それが自分にフィットしているかどうかが重要です。

Tさんにとって最適な規律が僕にとっても最適であるとは限りません。

その内容は人それぞれなのです。

それゆえに、記録を通して、自分にとって最適な規律のモトを見つけ出していく必要があるのです。

タスク管理を突き詰めていくと

  • 自分にとって最適な規律を作り、そして守ること

ということになるでしょう。

最初は誰かのマネから入ったとしても、です。

規律を作るためのヒント

では、自分にとって最適な規律を作るにはどうすれば良いか?

これについては以下の記事が参考になると思います。

» 「調子の良い日」を意図的に作り出すための15の習慣

人間ですから、「調子の良い日」もあれば「調子の悪い日」もあります。「調子の良い日」には淀みなくスムーズに仕事が片付きます。いつもより多くの仕事がこなせたうえにいつもより早く退社できたりします。

一方、そうではない「調子の悪い日」には仕事は停滞し、メールの返信が遅れ、先送りが頻発し、かけた時間に対して著しく乏しい成果を甘んじて受け入れることになります。

この「調子」という代物、一見すると自分ではコントロールできないもののように思えますが、実は自ら作り出すことができます。いついかなる時でも一定以上のパフォーマンスを発揮するプロフェッショナルがどの世界ににもいる事実を考えれば。

もしそこに、すなわちプロフェッショナルと非プロフェッショナルとの間に境界線があるとしたら、それは「調子はコントロールできる」と信じられるか否かの一線でしょう。

最近読んだ『スランプに負けない勉強法』という本にはそんな一線を乗り越えるための30の習慣が紹介されています。その中で僕なりにしっくり来た以下の15の習慣についてご紹介します。

ここで言う「調子のコントロール」に欠かせないのが規律だと思うのです。
つまり、コントロールの実態は「規律を守る」ということです。

  • 規律は自分で決めるものです。
  • 規律がきちんと守られているかどうかは自分で確かめることができます。
  • 規律が守られている限りは、それをもって「今日も調子が良い」と判断することができます。

規律がないと、その時その時で判断基準が変化してしまうかもしれません。

誰かの意見によって考えを翻してしまうかもしれません。

常に軸が定まらないために、判断が必要になる都度、イチから悩み、考え、消耗します。

勢い、誰かの考えに沿ってしまおう、ということになりがちです。

「調子のコントロール」どころではなくなってしまうのです。

規律については、オーディオブック『野心を抱け』のセッション3で詳しく語られています。



規律の特徴として、次の3つが挙げられています。

  • 1.たとえ小さくとも規律をもった行動は次に何をすべきかを自然と示す
  • 2.そこから新たな規律が生まれる
  • 3.1つの規律が破られたことが他の規律に影響を与えることもある


『野心を抱け』については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

» 望んでいることを実現に近づけるための3つの問い

» 自分を奮い立たせる目標を設定するための4つの問い


アイデアマラソンで有名な樋口健夫さんはその著書『「金のアイデア」を生む方法』という本の中で次のように書かれています。

これを続けるのだ。そうすれば、必ず宝物を見つけることができる。これが本書のメインテーマである。

事実、私は23年間、アイデアマラソンを継続してきた。この経験を通して確信を持って言えることがある。それは感じたことを毎日、少なくとも一個、ノートか、手帳に(場合によっては、パソコンかブログに)、書き続けたおかげで自分の求めていた貴重な思いや、発想を見つけ出すことができた。また、多くのことを実現することができた。

「アイデアマラソン」という規律によって人生を切りひらいているさまが窺い知れますね。



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» 残り時間を意識し、早く寝るための工夫

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