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記録とふり返りが仕事の役に立つ3つの理由

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大橋悦夫

こと仕事に限っていえば、記録とそのふり返りを続けることは地味ながらとても役に立つ習慣です。

その理由は次の3つ。

  • 「次に何をするか?」を思い出すための時間とエネルギーを節約できる
  • 自分が無意識に続けている良いことや良くないことを再発見できる
  • ラクに続けるための方法が手に入る

11/11(日)に開催したセミナー「スピードハック総決算2012・前編」で詳しく解説した話ですが、改めて簡単にまとめておきます。

「次に何をするか?」を思い出すための時間と手間を節約できる

一晩寝ると「覚えたつもりになっていた」ことの大半は失われます。消えて無くなるわけではありませんが、その日のうちであれば「当然のように即座に思い出せていた」ことが、翌日になると「ちょっと考えないと思い出せない」程度に劣化する、ということです。

この睡眠という「断絶」を乗り越える方法は1つしかありません。

それは断絶の前に記録し(SAVE)、翌朝にこれをふり返る(LOAD)ことです。記録とはつまり「ぼうけんのしょ」というわけです。あるいは、会社における引き継ぎマニュアルといってもいいかもしれません。

引き継ぎは人から人へと行われるものですが、昨日の自分と今日の自分との間でも必要なプロセスなのです。

引き継ぎマニュアルがなければ、どうやっていたのかを思い出す時間と手間が新たに必要になりますし、思い出せたとしても、それが正確なものなのかは確かめるすべがありません。

自分が無意識に続けている良いことや良くないことを再発見できる

具体的にどのように記録に残し、ふり返りを行えばいいか。

これについては、以下でもご紹介した「6つの質問テンプレート」がおすすめです。

» 一日を要領よくふり返るための6つの質問テンプレート(レビュー用) 

  • [1.達成感を感じたことは?]
  • [2.そのために何をした?]
  • [3.課題だと感じたことは?]
  • [4.原因は?]
  • [5.次はどうすべき?]
  • [6.まず何をする?]

こうしたテンプレートを使って記録を行い、翌日に読み返す(=引き継ぎを行う)ことで、次のような効果が期待できます。

  • 「このやり方はうまくいったから明日以降も続けよう」を継続できる
  • 「この失敗から学んだことを明日から活かしていこう」を実践できる

決意したことを無駄にせずにすむ、というわけです。

さらに、記録を続けていると、ある時点の記録と今とを客観的に比較することができるようになります。自分の中の変化に気づくことができるのです。

記憶はどんどん上書きされていくので、ある時点でどのように考えていたのかをあとから正確に思い出すことは困難でしょう。記録に残しておけば、

  • 少なくともこの日まではこういう風に考えていた
  • この日以降は考え方を変えたようだ
  • そのきっかけはこの出来事か

といったことを後から確認できます。

ポイントはこうして文章にして書いてみて初めてわかることがある、ということです。無意識に続けていることがいかに多いか、ということに気づかされます。

良いことであれば、そのやり方を言語化しておくことで別のシーンにも応用することができますし、良くないことであれば、改善のための「次の一手」を翌日の自分に引き継ぐことで、それ以上の悪化を食い止めることができます。

以下、先ほどの記事より。

例を示しましょう。

[1.達成感を感じたことは?]

提出した企画書の決済がおりた。

[2.そのために何をした?]

構成案の段階から課長に見てもらい、コメントをもらっていた。
いきなり最終版を出すより、早い段階から見てもらうほうがいい。

[3.課題だと感じたことは?]

残業で19時からの歯医者の予約が変更になった。

[4.原因は?]

歯医者に行くことは分かっていたのに午後に今日じゃなくてもいい作業に没頭してしまった。

[5.次はどうすべき?]

今日でないといけない作業は15時までに完了させる。
歯医者の予約があろうとなかろうと、これを習慣にしたい。

[6.まず何をする?]

朝一番に「今日でないといけない作業」をリストアップして、15時までに完了できるように見通しをつける。

いかがでしょうか。

慣れないうちは「うーん、何か達成感を感じたことなんてあったかなあ」と頭を抱えてしまうかもしれませんが、徐々に「よし、今日の達成感トピックはこれにしよう!」と、日中のうちに“ネタ”が見つかるようになります。

ラクに続けるための方法が手に入る

記録とふり返りを続けていると、「うまくいくやり方」の素とでも言うべきものが見え隠れし始めることに気づきます。

それはたとえば、「朝の出勤前にはこの順番で身じたくをととのえるのがスムーズだ」といった発見です。

この発見をもとに、自分にとっての最良の手順をまとめておくことで、望ましい結果を意識的に再現できるようになります。

そのためのツールと言えるのがチェックリストです。

» 人生で2回以上起こる事象についてはチェックリストを作っておく 

直後であれば、自分が何をどのような順番でやったのかはある程度は思い出せるはずです。

同時に、本来であればこうすべきだった、という「よりよいやり方」もいくつかは思いついているでしょう。

実際に採ったやり方と、次回に採りたいやり方の「いいとこ取り」をして1つのリストにまとめておくわけです。

こうすることで、次回はイチから考える負荷から解放されます。

たとえば、僕は「スケジューリングでピンチに陥った時のチェックリスト」を持っています。

  • 今日やらなくてもいいことを全て明日に先送りする
  • お金を払ってくださっている方からの依頼をリストアップする
  • 5件以上ある場合は、依頼日が早い順に並び替える
  • リストに沿って作業を行う
  • お金を生み出すことにつながるタスクをピックアップする
  • 5件以上ある場合は、入金日が早い順に並び替える
  • リストに沿って作業を行う
  • 信頼を寄せてくださっている方からの依頼をリストアップする
  • 5件以上ある場合は、関係性が深い順に並び替える
  • リストに沿って作業を行う


パニックに陥る前にこのチェックリストを取り出して、上から順にチェックを入れながら、書かれている通りに行動を起こしていきます。

今までの経験をベースに少しずつ手を加えてきているリストなので、ここに書かれている通りにやる限りは、少なくとも事態のそれ以上の悪化は防止できる、という安心感があります。

逆にいえば、このリストに書かれていないことをやると、それに費やした時間はすべて無駄になり(=現状打破には一切貢献せず)、事態の悪化をも招きかねません。

11月11日(日)のセミナーでは、事前課題として受講者の皆さんに「6つの質問テンプレート」に沿って毎日記録を続けていただき、セミナー当日にそこからチェックリストを抽出するというワークがありました。

誰かが作ったチェックリストよりも自分の記録の中から出てきた自分のためのチェックリストのほうが圧倒的に役に立つはずです。

記録とふり返りは、最終的にはチェックリストというアウトプットのための材料にもなるわけです。