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「調子の良い日」を意図的に作り出すための15の習慣



大橋悦夫人間ですから、「調子の良い日」もあれば「調子の悪い日」もあります。

「調子の良い日」には淀みなくスムーズに仕事が片付きます。いつもより多くの仕事がこなせたうえにいつもより早く退社できたりします。

一方、そうではない「調子の悪い日」には仕事は停滞し、メールの返信が遅れ、先送りが頻発し、かけた時間に対して著しく乏しい成果を甘んじて受け入れることになります。

この「調子」という代物、一見すると自分ではコントロールできないもののように思えますが、実は自ら作り出すことができます。

いついかなる時でも一定以上のパフォーマンスを発揮するプロフェッショナルがどの世界ににもいる事実を考えれば。

もしそこに、すなわちプロフェッショナルと非プロフェッショナルとの間に境界線があるとしたら、それは「調子はコントロールできる」と信じられるか否かの一線でしょう。

最近読んだ『スランプに負けない勉強法』という本にはそんな一線を乗り越えるための30の習慣が紹介されています。その中で僕なりにしっくり来た以下の15の習慣についてご紹介します。

  1. うまくいかなかった日に学ぶ
  2. 自分のコンディションを知るための習慣を持つ
  3. 不調時のプロトコル(手順)を決めておく
  4. 素直さを取り戻す
  5. 頭の中のもやもやを残らず外に書き出す
  6. 身近な人に甘える
  7. 順番を譲る
  8. 相手の時間を最大限に尊重する
  9. 得意なことだけやってみる
  10. 「あの人だったらどうするだろう?」
  11. 目的を持って本を読む
  12. 始める儀式を作る
  13. 人を巻き込む
  14. 変化を受け入れる
  15. 取っかかりをつける


「調子の良い日」を意図的に作り出すための15の習慣

1.うまくいかなかった日に学ぶ

時間はどこに消えてしまったのだろう? 予想外の電話がかかってきて、それに時間をとられてしまった。今日は時間があると思ったら、かえってゆったりしすぎて、気持ちが盛り上がらなかった。(中略)いろいろあると思います。問題は、それで終わらせないこと。

原因がわかったら、明日から同じワナに陥らないようにするには、同じことの繰り返しにならないためにはどうしたらいいのかを考える必要があります。

同じことの繰り返しを防ぐには、記録が不可欠です。同じことを繰り返してしまうのは、行動する時点で過去に同じことをしでかしていることを忘れているから。手元に記録があれば、過去との比較ができますから、そこで気づいてループから抜け出すことができるのです。

2.自分のコンディションを知るための習慣を持つ

そもそも、今日の自分の調子が良いのか悪いのかがわからなければ手の打ちようがありません。調子が良いかどうかは実際に“テストラン”をしてみることで見えてきます。

僕自身は、最近始めた朝のジョギングが文字通りのテストランになっています。朝起きたらすぐに靴下をはいて玄関に直行、ジョギングシューズを履いて家を飛び出します(着替える時間が惜しいのであらかじめ走れる格好で寝ています)。

このとき、迷わず家を出られれば調子の良い日、ぐずぐずしてしまったら調子の悪い日。走り始めてからも、早く走り終えて仕事に取りかかりたい、と思えれば調子の良い日。その日の仕事のことで気が重くなったら調子の悪い日。

『最強の集中術』という本に、運動の効用について以下のような記述があります。

定期的に運動すると、体内のストレス物質が減少する。ノルアドレナリン濃度が低下すると、脳内化学物質のバランスがとれ、集中ゾーンにとどまることができる。

私はカウンセリングをおこなう中で、クライアントが運動する習慣を身につけた途端、心の安定と集中力が大幅に向上するのを目のあたりにしてきた。ある女性の言葉を借りれば、「運動した後は頭がすっきりする」のだ。(p.222)

ノルアドレナリンとか脳内化学物質とかのことは良くわかりませんが、確かに元気よく走れた朝は、その日もずっと調子良く過ごせることが多いです。

3.不調時のプロトコル(手順)を決めておく

あまりやるべきことが積もり過ぎると、そのプレッシャーで、気持ち悪くなってきます。

このようなときは、ただ「気合いで頑張る」とやってみても、深みにはまっていくだけです。私は、自己防衛策として、精神的にも煮詰まってさらに状態が悪化しないように、次のようなことに気をつけるようにしています。

ということで、著者の「不調時のプロトコル」が紹介されています。たくさんありますので、いくつかピックアップします。

  • 1日にやるべきことを絞る
  • 選んだ仕事は機械的にリストの上から
  • 思い切って遊びをはさむ

などなど。ここで大事なことは、誰かのプロトコル(手順)をそのまま真似るのではなく、自分なりのプロトコルを作って使い込むこと。そうすることで、自分にぴったりフィットした動きやすい仕組みが得られます。

4.素直さを取り戻す

調子の悪いときというのは、意固地になっているとき。意固地になっているときは、たいてい世界が歪んで見えます。人の成功を喜べず、従って人当たりが厳しくなります。自分だけが正しく、自分以外はすべて間違っている、という世界観に支配されています。

ここから抜け出すためには素直になるしかありません。素直とは素(ありのまま)の自分を直(じか)に受け入れること。「あー、オレひがんでるんだなー」とか「目が三角形になってるんだなー」ということを認知するのです。

曲がったスプーンではうまくスープが飲めません。うまくスープが飲めないことにイライラしていても、原因がスプーンにあるとわかれば「曲がってるんじゃぁ仕方がないよね…」ということで落ち着きを取り戻せるはずです。

5.頭の中のもやもやを残らず外に書き出す

何もかもイヤになってしまうときというのは、頭の中がやることでいっぱいになってしまっているとき。机の上にたとえれば、机の上に書類が散乱していて、どれもすぐに対処しなければならないような状況です。

机の上は作業をする場所であって、書類を保管する場所ではないため、ここを書類に占拠されることによって作業ができなくなってしまう。考えてみれば当たり前のことですが、なかなかそのことに気づかないのです。

同様に、頭は考える係であって、貯めておく係ではないのですから、頭の中をクリアにすることが第一歩になるわけです。

僕自身は、もやもやしているときは思いつく限りのやるべきことを1件につき1ノートずつEvernoteに放り込んでいくようにしています。実際には、Stickiesに書き込む → 全選択 → ホットキーでEvernoteに送り込む、という操作を繰り返します。

6.身近な人に甘える

自分のキャパを超えて無理な量を抱え込んだのでは、自分を苦しめ、ひいてはスランプに追いやる結果になるだけでなく、依頼者に迷惑をかける結果となってしまいます。

至極当たり前のように思えるかもしれませんが、当事者になるとこうしたことがわからなくなってしまうのです。責任感の強い人ほどそうなりがちなので、傷が浅いうちに身近な人にヘルプを要請すること。

7.順番を譲る

例えば、車の流れが合流する地点では、運転手のキャラクターがとてもよく表れます。交替交替で整然とお互い譲り合って進んでいく中で、ときどき、なぜか、「俺の前には1台もいれない」といった感じで前の車にぴったりとくっついて進んでいく車がいます。

心に余裕がないんだろうと思います。そのような状態では、身の回りに起こる出来事を素直に受け取ること、それをもとに何らかの啓示を受けることもできなくなってしまいます。

駅の改札、横断歩道、エレベータなどなど、順番を譲るチャンスはたくさんありますね。譲った数だけポイントが稼げるとしたら、ストレスも減るでしょう。実際、譲ってあげることで相手から感謝されるはずです。実際に「ありがとう」がもらえなくても自分の中でカウントアップすればいいでしょう。

譲りまくっていたら遅れてしまう、というならそれを見越して(=ポイントゲットのために)早めに行動を開始すれば、心の余裕も生まれます。

8.相手の時間を最大限に尊重する

自分の周りで成功している人、幸せ感に包まれて生活している人を見ると、みんな相手の立場に立っていろいろと気遣いをしていることがわかります。そのような人に対して、相手はいやな気持ちは持たないでしょうし、むしろ、そのような人には、こちらから積極的に何かしてあげようという気にもなるかもしれません。

仕事をご一緒させていただいている方の中に、打ち合わせのたびに「大橋さん、お忙しいでしょうからさっそく本題に入りますね」と言ってくださる方がいます。あまり多用すると慇懃無礼になってしまいますが、彼はそのあたりを心得ていて、とても気持ちよく仕事が進められています。

思っているだけではだめで、こうして口に出して初めて相手に伝わるのだ、ということを身をもって教えてくださっているのです。

9.得意なことだけやってみる

調子の悪いときでも、得意なことなら何とかなるでしょう。僕の場合、仕事が立て込んだときには、あえて締め切りの迫っている仕事を差し置いてでも、短い文章を書くという比較的得意な仕事から取りかかるようにしています。

心情的には、差し迫っているものから先に片付けて一刻も早く安心したいわけですが、差し迫っているだけにそこに「やらされ感」が生じてしまって、空回りしがちです。しかも、まだ何の成果も得られていないだけに焦りも募ります。つまり、空回りどころかエンジンが逆回転してしまうのです。

そこで、成果は小さくとも得意な仕事から取りかかって確実にポイントを獲得するようにします。こうすることで、その日の仕事に山の取っかかり(=アタックポイント)が得られます。次の一手を繰り出しやすくなるのです。麓(ふもと)で右往左往していたずらに時間を浪費してしまう愚を避けられるのです。

10.「あの人だったらどうするだろう?」

誰しもお世話になった恩師であるとか、目指しているあこがれの人が一人や二人はいるでしょう。窮地に追い込まれたら、そんな「あの人」だったらどうするかを考えてみることです。

「あの人」がどんな風に乗り越えていくかについて想像をふくらませている間に、勇気がわいてきて初めの一歩を踏み出せるはずです。

11.目的を持って本を読む

「毎日必ず1冊本を読む」といったことを自分に課している人がいますが、こういう人はたいてい読むこと自体が目的化しているものです。

そういう意味で、調子の悪い日というのは絶好の読書デーだといえます。「何とかこの逆境を乗り越えたい!」という気持ちでいっぱいなために、そういう時に読んだ本からは多くを学ぶことができるからです。

カラカラに乾いた脱脂綿がどんどん水を吸い取るように、今の自分にとって必要な知識や方法論が猛スピードで取り込まれます。

特に困ってないのに本を読むのは、すでに“たぷんたぷん”なのに尚も“がぶがぶ”水を飲むようなもの。

12.始める儀式を作る

先ほども「朝起きたらすぐに走る」という話を書きましたが、考えなくてもどんどんコトが運ぶようにあらかじめ手順を決め尽くしておくことが「調子の良い日」を作ります。

僕の場合は、前日のうちから走る格好で寝る、靴下を用意しておくなどの準備を整えておくわけですが、この一連の手続きが儀式となっています。

13.人を巻き込む

そもそも早朝のジョギングが続けられるようになったのは、最初にあるきっかけがあったからです。それは、こちらでも書きましたが、一緒に走ってくれる仲間がいてくれたから。

» 走る異業種交流会!月曜早朝スロージョギング

今年2月5日(金)に集まって飲んだのをきっかけに、そこで知り合った3人がお互いに近所だったということで発足した月曜早朝スロージョギングの会。一人ではなかなか続かないところを、時間を決めて集まることで良いプレッシャーをかけあって続けようという試みです。

続けるからには一年で一番寒いこのタイミングに一週間で一番キツイ月曜日に始めようと、さっそく週明けの2月8日(月)に第1回を駒沢公園にて開催。

その後、Twitterでの呼びかけにより、徐々にメンバーも増え、最大6名程度で雑談をしながら駒沢公園のマラソンコースをゆっくりと一周。

最初はみんなが集まる月曜日だけ、何とか無理矢理起きて出かけていましたが、今では月曜日以外も一人で走りに出かけられるようになりました。

14.変化を受け入れる

やったことがないことは、自分の経験がないだけに、不安がともないます。

「ほんとうにできるだろうか」

新しいことにチャレンジしていくと、今まで会ったことがない人の輪に入っていかなければなりません。付き合う人も変わっていってしまうかもしれない。「ほんとうに大丈夫だろうか」(中略)

でも、それは、新しいことに臨んだときに反射的に起こってしまう防衛本能。人間も、生き物である以上、避けられないものだと思います。それを意識の力で乗り越えていくことができるのも人間。湧いてくる不安感に、負けずに新しい世界に進んでいきたいものです。

「調子の良い日」というのは、実は「調子の悪い日」が変化した日とも言えます。逆にいえば「調子の悪い日」があるからこそ、「調子の良い日」が目標として浮かび上がってくるとも言えるでしょう。

変化を受け入れるとは、未体験の「調子の良い日」を迎え入れるということではないでしょうか。

15.取っかかりをつける

自転車をこぎ始めるときは、最初に一番力が必要です。でも、いったん動き出してしまうと、ペダルも軽くなり、さほど力はいらなくなる。

何か新しいものに手を染めようというときも、同じだと思います。

「調子の良い日」はペダルをこぎ続けているプロセスであり、「調子の悪い日」はこれからこぎ出すところと言えるかもしれません。

であるなら、あとはこぎ出すだけです。

まとめ

こうしたリストをきちんと自分のものにするコツは質問に変えること『ライブハックス!』で詳しく書いています)。ということで、今回のリストも<「調子の良い日」の作り方>と題して質問形式に変えてみました。

「今日はちょっと意識してネジを巻かないとネガティブループに巻き込まれてしまいそうだな」という怪しい雲行きを感じた日の朝にチェックリストとして目を通すと良いでしょう。

「調子の良い日」の作り方

  1. うまくいかなかった日から得た教訓を活かしているか?
  2. 自分のコンディションを知るための習慣を持っているか?
  3. 不調時のプロトコル(手順)は決まっているか?
  4. 周りの人に対して素直な態度を取っているか?
  5. 頭の中のもやもやを残らず外に書き出しているか?
  6. 身近な人に甘えているか?(一人で抱え込んでいないか?)
  7. 周りの人に順番を譲っているか?(我先志向に陥っていないか?)
  8. 相手の時間を最大限に尊重しているか?
  9. 得意なことだけやってみているか?
  10. 「あの人だったらどうするだろう?」(「あの人」は適切な人に読み替える)
  11. 目的を持って本を読んだか?
  12. 始める儀式を持っているか?
  13. 人を巻き込んでいるか?
  14. 変化を受け入れる覚悟はできているか?
  15. 取っかかりをつけようとしているか?(完結させようとしていないか?)

今回は、紹介されている30個のうちの15個をピックアップしましたが、残りの15個がイマイチだった、というわけではありません。人によってセレクションが変わるというだけのこと。本書を読んで、ぜひ自分なりの「調子の良い日」のレシピを作ってみてください。

「調子の悪い日」どころか自殺未遂にまで追い込まれた著者による「調子の良い日」の作り方が参考になります。



合わせて読みたい:

途中でもご紹介しましたが、「調子の良い日」というのは集中力が発揮できている日と言い換えることもできるでしょう。集中力を発揮する(=集中ゾーンに入る)ための8つのポイントが紹介されています。事例豊富でわかりやすいです。