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よくわかっているアウトライナーRoam Researchの3つのポイント

倉下忠憲現在ベータ版のRoam Researchは新種のアウトライナーです。



Roam Research – A note taking tool for networked thought.

階層構造をベースにしながら、関連性によって階層構造を飛び越えたり、串刺したりできる強さがあります。ある種の継続的な活動や思索には最適なツールだと言えるでしょう。

今回は、このRoam Researchを使っていて、「ああ、よくわかっているな」と感じる点を三つ紹介します。

デイリーベースである

Roam Researchは、基本的にはアウトライナーと呼べるツールですが、他のアウトライナーと違って、デイリーページがベースになっています。

これは4月10日のページで、そのまま下にスクロールしていくと、4月9日のページが出てきます。

これらのデイリーページは私が日付のタイトルをつけて作ったわけではありません。ツールによってその日ごとに自動作成されるページであり、しかも変化させられません。言い換えれば、「April 10th, 2020」のページタイトルは変えられないのです。

で、私の経験を振り返ってみると、これまでさまざまなアウトライナーを使ってきましたが、結局は「その日」のページを毎日作っていました。

「その日」のページを作らずに、inboxと複数のリストで運用しようとしても、どうしてもうまくいかないのです(だいたいはinboxが爆発して破綻します)。

で、結局「その日」のページを作り、そこに思いついたことを色々書き込んでいく使い方になります。

言い換えれば、「その日」ごとにinboxページを設けていくイメージです。

この感覚はバレットジャーナルに近いかもしれません。

一方Roam Researchでは、はじめから「どうせ、デイリーページ作るんでしょ」と見越されているかのように、デイリーページベースで記録を進めていけるようになっています。

しかも、それらがスクロールで過去分を閲覧できるようにもなっています。

実にわかっている感じです。

アウトラインを並べられる

もう一つRoam Researchの面白い点は、アウトラインを「横」に並べられる点です。

長年の不満でした。

アウトライナーは、特に縦に長く伸びるアウトライナーは、ぜひとも横にもアウトラインをさせたいのに、それができないのです。

Aの情報を参照しながらBの情報につて記述をする場面は少なくないでしょう。情報が関連性を持っているならば尚更で、そのような関連性を深めていくことが、思考を深めていくことにもつながっていきます。

Roam Researchでは、項目をshift +クリックすれば、その項目がサイドバーに開きます。

この機能によって、別項目を参照するのが劇的に楽になります。左側のサイドバーにある「SHORTCUTS」にある項目も、同じようにshift +クリックで右のサイドバーに開いてくれるので、頻繁に使う情報を、簡単に横に並べることができます。

実にわかっている感じです。

関連だけでなく関連可能性も提示してくれる

Roam Researchでは、項目内にページへのリンクを作ることができます。Scrapboxのリンクをイメージしてもらえればよいでしょうか。

そのリンクをクリックすれば、そのリンクが含まれている項目が串刺しで表示されます。

この機能によって、継続的な活動の追跡が容易になります。デイリーページに[[プロジェクトA]]といった項目を作り、その下位項目にその日の活動を書き込み、また次の日にも同様に行えば、それらを串刺して閲覧できるということです。

それだけではありません。

以下は、「Roam Research」のページで、その下にページリンクがある項目が一覧表示されています。その一番下に注目してください。

「Unlinked References」という項目があります。これをクリックすると、リンクになっていない(しかし文字列は同じの)項目を含むページが表示されます。

つまり、リンクにしていなかった項目を後から見つけ出すことも容易なのです。加えて、横に表示される「Link」というボタンを押せば、その文字列を自動的にリンクに変えてくれる機能もあります(Link ALLを選べばすべてがリンクになります)。

リンクを作る、つまりページへの言及によって関連項目を串座せるのは便利ですが、さらにリンクにしてなかったものも同一の手順の中で見つけ出せるのもかなり嬉しいポイントです。

実にわかっている感じです。

さいごに

だからといって、WorkFlowyやDynalistに比べて、Roam Researchが圧倒的に優れているというわけでもありません。

特に、リンクによるネットワーク構造を必要としない場合なら、WorkFlowyやDynalistの方が使いやすいことは十分にあり得るでしょう。

逆に、「デイリーページ」を毎日作り、それぞれの日付での行為を継続的に追跡していきたい場合や、あるいは、同一の対象について、断続的に思索・情報収集を積み重ねていきたい場合などは、Roam Researchが圧倒的に便利に使えると思います。

#Roam Research

▼参照エントリー:

これから Roam Research の話をします…

5つのステップで始める、Roam Research


▼今週の一冊:

一番シンプルな「仕事術」の本かもしれません。職場で働いていて「自分って要領がよくないな〜」という人に優しく手を差し伸べてくれる一冊です。



▼編集後記:
倉下忠憲



というわけで、今回は新ツールの紹介でした。今後は、これまで紹介したツールも含めて、いろいろな「知的生産のための道具」を紹介していきたいと思います。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中