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本を見据えてブログ記事を書く



倉下忠憲4月に入りました。新年度です。さまざまな方面で、新しい試みが始まる季節でもあります。私のこの連載でも、それに倣って新しい試みをスタートさせてみようと思います。

簡単に言えば、「本」というアウトプットを目指した記事連載です。

ブログは続くよいつまでも

ブログはとても「楽」なメディアです。もちろん、Twitterに比べればいくぶんのしんどさがありますが、本一冊を書き上げることに比べれば、お茶の子さいさいと言えます。

1日にちょっとした時間をかけて記事を書く。たったそれだけのことを毎日続けていくだけで、どんどん記事は増え、総文字数は書籍一冊分に迫っていきます。あるいは、それを追い越すことすらあるでしょう。

実際この「R25の知的生産」という連載は、すでに500以上の記事を持っています。一記事1500文字として計算しても、75万文字というちょっとよくわからないボリュームになります。10万字で本が一冊書けるなら、すでに7.5冊分もの原稿がこの連載にはあるわけです。

私は毎週一度記事を書く、というただそれだけの労力でこれだけの原稿を書き上げたわけですし、今後も同じように記事を書き続けていくでしょう。どんどん、どんどん記事は増えていくわけです。

しかし、一方で何かが薄まっていくような感覚もあります。薄まるというか、光が分散していくイメージが近しいでしょうか。記事数があまりにも多すぎるので、「結局言いたいことは何のか?」という焦点が絞りにくいのです。

その点、一冊の「本」は、それがぐいっと絞り込まれています。虫眼鏡で光を集めるようなイメージです。もしある程度ボリュームのある「言いたいこと」があるなら、やはり「本」を書くべきなのでしょう。

どんな風に進めるか

新年度の私が目指したいのは、このギャップを埋めることです。つまり、片方で7.5冊分もの原稿を悠々と生み出していながら、もう片方では、「本」は一冊も生まれていない、という溝のある状況を変えたいのです。

方法の一つとして、過去原稿を編纂し、それを「本」に仕立て上げるというやり方があります。非常にベーシックというか、誰にでも思いつくやり方ではあるでしょう。

しかし、500以上の記事はかなり「バラバラ」に書かれています。いくつか連続した記事もありますが、それらでも「本一冊分」には足りません。このような状況の中から、コンセプトを立て、一つの本として切り出すのはなかなか苦労が伴います。

もちろん、そうした「過去原稿を編集して本を作る」アプローチを捨てるわけではありませんが(実際に構想は練っています)、それとは別に考えたいのは、これからの記事の書き方です。

簡単に言ってしまえば、最初から「本」にまとめることを想定して、毎週の記事を書いていけば、後からの編集はもっと楽になりますよね、ということです。

本を文節化して書くわけではない

とは言え、最初に目次を作り、章を立て、項目を練ってから、その一つひとつを記事として書き下ろしていく、というやり方をするつもりはありません。それは結局「本」を書いているのと同じだからです。結構な苦労が待っていることでしょう。

そうではなく、あくまでブログとして記事を自由に書きながら、しかしそこに一定の指向性を持たせることで、後からまとめやすくしておく、という程度の「縛り」を設けるわけです。そうすれば、ブログが持つ自由さを維持しながらも、バラバラに散らばりすぎる状態を抑制できるでしょう。

こうすれば、書いていくうちにコンセプトが変わることも許容できますし、さらに読者さんからの反応を織り込むこともできます。注目される記事、感想がよくもらえる記事などを中心に据えて編集することも可能になるでしょう。事前マーケティングというわけです。

とりあえず、ブログの自由さと本のまとまり感をハイブリットさせながら執筆を進めていく。そんなことを新年度からは試してみたいと思います。

何を書くか

想定しているテーマは以下の三つです。

  • (1)知的生産の風景
  • (2)知的生産の道具箱
  • (3)その他(新刊紹介、告知、etc…)

(1)知的生産の風景

『知的生産の技術』が書かれた時代の知的生産と、現代の知的生産の違いとは何か。これからの知的生産の課題とは何か。過去から現在、現在から未来へと視点を移していくエッセイ。

(2)知的生産の道具箱

知的生産においてよく用いられるアナログツール・デジタルツール・メソッドを紹介する。さらに、古典とも呼べる書籍も併せて紹介する。実用に重きをおいた連載。

(3)その他(新刊紹介、告知、etc…)

新しく発売された本の紹介や、自分の新刊の告知記事など。その他雑多なものは、すべてここに入ります。

このテーマ設定もあくまで暫定的というか「仮決め」でしかありませんが、とりあえずしばらくはこの辺を見据えて、半年ほど記事を書き続けていきたいと思います。

さいごに

おそらく、こうしたアウトプットのスタイルが取れるのが、「現代的な」知的生産の特徴でもあるのでしょう。

一見、雑誌連載と似ていますが、それとは違って型どおり毎週同じテーマで書く必要はありません(なにせブログなのです)。つれずれなるままに、しかしある程度方向性を共有した記事を断続的に書き下ろせる。そんな強みがあります。

そうした強みを生かしていくのもまた、現代的な知的生産の風景の一つなのでしょう。

▼今週の一冊:

実行すること、予定表が仕事でいっぱいに埋まっていること、暇な時間などなくすべての時間が「有効活用」されていること。そのような時代において見過ごされている、「暇」や「退屈」や「無為」の価値を改めて見返す一冊です。インターネット中毒になっている人には、耳の痛い話が多いかもしれません。



▼編集後記:
倉下忠憲



今回の記事は、ずいぶん見切り発車でスタートさせました。具体的にどんなことを書いていくのかは、まだ輪郭線すら描けていない状況です。それでも一つの記事を書いて公開できる、というのがブログの良さでもありますね。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中