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導入部の7つのパターン


unsplash-logoEmma Frances Logan

倉下忠憲前回は、文章を書く際の〈形式〉を紹介しました。文章を書く際には、〈形式〉と〈順番〉について考える必要があり、それぞれは個別に検討した方が思考効率がよい、というお話です。

今回は、文章を書く際の〈順番〉について考えてみたいところですが、コンテンツのボリュームが増えるほどその並べ方の組み合わせ数は肥大化し、全体を詳細に検討するのは難しくなります。

そこで、どのような文章にでも(ほとんどだいたい)存在する書き出しのパターンについてだけ考えてみましょう。

  • 1.自己紹介型
  • 2.執筆理由型
  • 3.問題提起型
  • 4.いきなり結論型
  • 5.全体概要型
  • 6.身近な話題型
  • 7.引き続き型

1.自己紹介型

書き出しは、読み手と書き手の最初の出会いの場です。書き手は、もちろん読み手の素性などまったくわからないままに書いてはいますが、読み手だって同じことです。ですので、冒頭に自己紹介を置いておき、読み手と書き手の距離を近づけようとするのがこの型です。

2.執筆理由型

なぜその文章を書いたのか。依頼されたのか、時節がピッタリだったのか、特に理由もないのか。執筆理由を提示することで、読み手はその文章をどのように受容すればいいのかの見込みが持てます。ただし、言い訳的なものが並ぶ場合は、むしろ読み手との距離を遠ざけてしまう点には注意が必要です。

3.問題提起型

ノウハウ系によく見られるパターンです、冒頭で〈よくある問題〉を提起し、その後に続けるノウハウがなぜ必要なのかを提示します。話の流れとしてはスムーズですが、〈よくある問題〉がとってつけたようなものだった場合、読み手の共感を得るのは難しいかもしれません。

4.いきなり結論型

一番最初に結論を示し、なぜそうなるのかを順序立てて説明していくパターンです。Web系によく見られる書き方で、ビジネス書やノウハウ書でも頻繁に使われます。ただし、提示される結論(メッセージ)が凡庸なものだと、続きが読まれる可能性は激減してしまうでしょう。

5.全体概要型

コンテンツの全体像を示し、それぞれの部品が何を担当しているのかを紹介します。これは他の型と組み合わせて使われることが多いパターンです。

6.身近な話題型

読者にとって身近な話題を提示し、その後に続く本論にパイプラインを繋げる方法です。たとえば、経済学の話をするときに、スーパーで買い物する話を持っていく、というようなパターン。本論が固ければ固いほど、導入としてこの身近な話題は力を持ちます。

また、一見関係なさそうな話題を持ちだしておいて、あとでその関係性を説明するパターンもあります。小説などの伏線の回収と同じで、読み手に驚きをプレゼントできるでしょう。

7.引き続き型

もしそのコンテンツが連載な場合、前回の話はどうだったのかを紹介することで、読み手に話の内容を思い出してもらいます。あえていうまでもありませんが、この記事で使っているパターンです。

さいごに

以上、7つのパターンを紹介してみました。もちろん、これ以外にも類型は存在しているでしょう。その辺は、たくさん文章を読めば研究できます。

また、上記のパターンは単独で使われるだけでなく、組み合わせて使われることも多くあります。「執筆理由型」+「問題提起型」や、「いきなり結論型」+「全体概要型」などはよく見られますし、全体が長ければ、三つ以上の組み合わせも考えられます。

どちらにせよ、こうした導入部をうまくデザインできれば、読み手を本の世界に誘うことができるでしょう。

▼今週の一冊:

本の内容とは直接関係ありませんが、上記のような「書き方」の類型を、ライティング・デザイン・パターンとしてまとめられるのではないかな、なんて考えています。


▼編集後記:
倉下忠憲



あっちでもこっちでも企画が立ち上がりつつ、プライベートでもいろいろやらないことが……。まあ、ぼちぼち片付けていきましょう。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。