「結局、原稿は何を使って書くのがベストか?」という記事が上がっていたので、私も最近の書き物ツール事情を書いてみます。
基本的に、使っているのは以下の4つ。
- WorkFlowy
- Scrapbox
- CotEditor +Bitbucket (Git)
- Scrivener
それぞれ役割は異なります。
WorkFlowy
クラウド型アウトライナーであるWorkFlowyは、書籍の構成を組み立てるときに使います。たとえば、執筆のスタート前に目次案を作るときなどです。
本文の執筆が始まると、いったん出番はなくなりますが、構成を組み立て直したくなったときなどは、再び復活します。全体と部分を共に俯瞰し、それらを整えるためのツールです。
また、〈やるべきこと〉や〈気になること〉で頭がいっぱいになった際に、WorkFlowyに書き出して整える、というやり方もよく行います。この辺は、『アウトライン・プロセッシング入門』や『アウトライン・プロセッシングLIFE』が参考になりますので、そちらをご覧ください。
Scrapbox
Scrapboxは、「連載」的なものを書く場所として使っています(それ以外にも使っていますが、とりあず書き物に話を絞っておきます)。
たとえば、
- シゴタノ!
- スタディウォーカー
- メルマガ
のように、一つのテーマのもとで書き続ける原稿のワーク・スペースです。
こうした「連載」では、かなり高い確率で以前書いたものを参照します。単純に、一つの話題を数回に分けて書くこともありますし、似たような話を関連付けて語るときもあります。で、そうしたときに過去の原稿を「さっと」取り出せるのは重要です。
その点、Scrapboxは実に快適です。検索せずとも、下に関連ノートとして表示されるので、容易に取り出せます。また、「シゴタノ!」「スタディウォーカー」「メルマガ」といったフォルダ分けをしなくても良いのも簡単です。
以下のようにリンク(見た目はハッシュタグですが、Scrapboxではリンクです)にしておけば、
ページの下に、過去に書いた原稿がずらーっと並びますし、この記事の基本的なフォーマットを保存してあるテンプレートも瞬時に見つけ出すことができます。便利 of 便利です。
CotEditor +Bitbucket (Git)
「連載」ではない、書籍の原稿については、通常のテキストエディタで書いたプレーンなテキストファイルを、Bitbucket(Git)で管理しています。
理由はいろいろあるのですが、一つにはコミットログが作業ログ替わりになる点が大きいです。
もちろん、原稿のある時点にすぐにでも戻れるGit本来の機能も十分に魅力的です。ただ、現状の感想だと、ある程度章立ての構想が固まった後の方が良いかな、という印象はあります。
Scrivener
書き終えた書籍の原稿を「一覧」して眺めるツールとして、Scrivenerを使っています。全体の文字数を確認したり、章立てや節などを抽出して確認するのは、Scrivenerが最適です。
さらに、成果物が電子書籍ならば、エクスポート機能も活躍します。Scrivenerはかなり細かいところまで出力を調整できるので、込み入ったデザインの電子書籍を作るのにも適しています。
さいごに
というわけで、最近使っている書き物ツール4選でした。
基本的には「連載」を書くことが日常を構成していますので、Scrapboxは毎日活躍しています。で、書籍の原稿に関してはプレーンなテキストエディタの出番です。
この二つが統合できたら便利そうにも思えますが、分かれているからこそうまくまわる部分もあるかもしれません。このあたりが、知的生産の微妙な(≒単純な合理性で割り切れない)部分ではあります。
もちろん、これは私の好みと環境の話であり、書く物や書き方が違えば適切なツール選択は変わってくると思いますので、参考程度にしてください。
▼参考文献:
アウトライナーに興味があるなら、読んで間違いない二冊です。人によっては、まったく考え方が変わってしまう内容です。
今回紹介したScrapboxの使い方は、あまり「本筋」とは言えませんが、それでもこのツールの可能性の広さを示す使い方ではあります。
▼今週の一冊:
最近話題になりつつありますが、気にせず紹介しておきましょう。とりあえず、2019年の話題をかっさらうのではないか、という一冊です。前向きな気持ちをくれる本でもありますし、ニュース疲れしている人にとっての処方箋にもなるかもしれません。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。