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「説明する」より「物語る」効用



大橋悦夫最近アップデートした、あるアプリの説明文に目が留まりました。MAMORIO(紹介記事)というアプリです。とりあえず読んでみてください。



これを読んで真っ先に思い出したのは、まさにこういうユニークな「アップデート文」を収集している「Singer Song iPhone」というブログです。

Evernoteにクリップしたはず、と思って探したら、やはりありました(クリックで拡大)。



» これはやられた!説明を全部読んでしまうアップデート文のアプリ – Singer Song iPhone
» Tumblrのアップデート文が素直で面白かった話 – Singer Song iPhone

淡々と説明されているよりも、このようにストーリー仕立てになっている方が断然面白いと感じるわけですが、この「面白い」と感じるということは一体どういうことなのか?

売るために面白がらせる?

絶賛読み返し中の『全脳思考』(言及記事)に、ストーリー、すなわち物語の効用について書かれていたくだりがありました。

ざっくりまとめると以下の通りです。

  • 企業の物語に引き込まれた者は、商品を買うだけでなく、商品の伝道師になっていく
  • 映画『タイタニック』では、観客を100以上のセグメントに分類し、どの観客でも登場人物の誰かに必ず共感できるようにした
  • シリーズドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』では、個性豊かな4人の女性を登場させることで、観た女性の誰もが物語に確実に自己投影できるようにした

とりわけ『タイタニック』の「100以上のセグメントに分類」というくだりは驚愕する(ついでに、もう1回観てみたくなる)わけですが、とにかく共感を引き出し、自己投影をしてもらうことで、有り体に言えば「売れる」というわけです。

では、売るためには物語仕立てにしさえすればいいのか?

「笑って」はNG

当然ですが、「あ、これは売るためにやっているんだな」ということが分かると、とたんに冷めてしまうでしょう。

そんなことを考えていたら、不意に

  • 「そういえば、カメラマンが被写体から自然な笑顔を引き出すテクニックについてのブログ記事があったはず!」

という“閃光”が走り、即座にEvernoteにダイブします。

その記事のタイトルはもちろん、ブログ名さえも失念していましたが、間違いなく含まれているはずのキーワードを2つ指定したら、すぐに見つかりました(クリックで拡大)。



↓以下の記事です。実に見事な、まさにプロのテクニックです。

» 「笑って」と言うのだけはやめて欲しい | 写真家 阿部拓歩のサイト Photographer TAKUHO ABE’s site

なぜこの記事を思い出したのかは、この記事を改めて読み返して理解しました。

「あ、これは売るためにやっているんだな」と感じさせてしまうときというのは、カメラマンが被写体に向かって「笑って」と指示するのと変わらないな、と思ったわけです。

「これは関連しているはずだ」という説明不能な直感が先に来て、時間をおいて「なるほど、こういう風に関連していたのか」という説明可能な理解がこれを追いかける。この“時間差攻撃”が面白いと感じます。

ハッと思ったことはEvernoteに残しておく

今回のような“閃光”が走ることはよくあります。そんなとき、その光を、記憶の海の奥底に向けてまっすぐ当てることができれば、そして、その光の射す先に目指すイメージが見つけられれば、実にピースフルな気持ちになれます。

モヤモヤが一気に雲散霧消し、「あぁ、やっぱりそうだよね」という一致が得られる、実に晴れ晴れとした気持ちが訪れるのです。

この気持ちに値段をつけるのは難しいですが、なかなかに得がたい体験を提供してもらえているので、納得のうえで毎年それなりの代金を支払っています、Evernoteに。

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» 全脳思考[Kindle版]