「なかなか取りかかれない仕事対策」について、これまでにたくさんの記事を書いてきました。結局のところ結論は「毎日少しずつ進める」ということになるのですが、「それは十分に分かっているのだが、とにかく続かないのだよ」という方のために、改めてそのメリットと注意点をまとめます。
まず、「毎日少しずつ」を続けることで得られるメリットは以下の4つです。
- 1.小さいうちにやっつけておくと後でラクができる
- 2.場数が増えるので上達が早まる
- 3.接触頻度が増えるので自然と取りかかるハードルを下げられる
- 4.後回しにされがちな「重要なこと」がきちんと進捗する
それぞれについて詳しく書きます。
「毎日少しずつ」を続けることで得られる4つのメリット
1.小さいうちにやっつけておくと後でラクができる
話を単純化すると、100個の仕事を抱えているとき、
- 締め切りが翌日の場合 → その日のうちに100個すべてを一気に終わらせる必要がある
- 締め切りまで100日ある場合 → 毎日1個ずつやればOK
つまり、早く取りかかれば、それだけ“距離”を稼げるわけです。仕事の“勾配”をゆるやかにできる、とも言えるでしょう。仕事が手に負えなくなる前にやっつけられるということです。
2.場数が増えるので上達が早まる
少しずつ取り組むということは、その仕事を取り組む回数が増えるということです。
» 確実に成果をあげたければ「短期間に一気に」よりも「時間をかけて少しずつ」取り組む、そのための頭の切り替え方
回数が増えるということは、“打席”に立つ回数が増えるということです。場数を多く踏むことができるので、上達スピードもアップします。
たとえば、資格試験の合格を目指すなら、「まとまった時間のとれる土日に一気に進める」のではなく「平日の昼休みに10分ずつ毎日取り組む」ようにします。
もちろん、論述問題など10分ではキリが悪い場合もありますので、勉強の種類は選びます。
それでも週に一度まとまった時間を取るより、短い時間でも毎日その資格試験に向き合うほうが、早くなじむことができるはずです。
続けるほどに、1回あたりのスピードもアップするので、かかる時間は毎回同じでも、進める“距離”は少しずつ伸びていきます。
ちょうど複利で増えていく積立貯金のようにです。
3.接触頻度が増えるので自然と取りかかるハードルを下げられる
場数が増えるということは、接触頻度が増えるということです。
» 確実に成果をあげたければ「短期間に一気に」よりも「時間をかけて少しずつ」取り組む、そのための頭の切り替え方
たまにしか会わない人より毎日会う人のほうがより早く親しくなれるのに似ています(社内恋愛や結婚が多いのはそういうことですし)。
資格試験と早く“親しく”なれれば、勉強の敷居も下がり、短い時間でも集中できるようになります。当然、成果も上がるでしょう。
取りかかるときの抵抗がどんどん下がるので「落とす」ことが少なくなります。至極当たり前のことですが、続ければ続けるほど続けやすくなるのです。
4.後回しにされがちな「重要なこと」がきちんと進捗する
特に締め切りのない「重要なこと」ほど、この「少しずつ進める」が有効です。忙しさの日々から抜け出すカギは「重要なこと」が握っているからです。
「重要なこと」とは、「すぐには役に立たないが、後からじわじわ効いてくる」ような仕事や習慣です。
すぐには役に立たないために、時間に追われているとついついスキップしてしまいます。「すぐには役に立たない」とは「その場ではメリットもデメリットも実感できない」という意味です。快も不快もないので、「やるのは今じゃなくてもいいでしょ」という判断をためらうことなく下せてしまうのです。
その判断に対する結果がずっと後になって現れるので、そのまま放置していると最終的には「こんなはずじゃなかったのに」という“夏休みの宿題における8月31日状態”に陥ることになります。
逆に、すぐには役に立たなくても、その場ではメリットもデメリットも実感できなくても、重要な仕事に毎日欠かさず小さくとも確実な一撃を加え続けることで、気づいたら終わっていた、という日がやってきます。
あらゆることに先手を打てるようになるので、緊急対応もおのずと減ります。
この「すぐには役に立たない」というマイナス要素にめげることなく、「とにかく割り当てた分量だけやればOKなのだから」「今日も取り組めれば連続記録を更新できるのだから」を心の支えに取り組むようにします。
「毎日少しずつ」進めるときの注意点
このように多くのメリットのある「毎日少しずつ」メソッドですが、1つだけ注意点があります。
それは、以下です。
- 1日の割り当て作業量を決めて、これをきっちりと守ること
多すぎても少なすぎてもダメなのです。
上級者向けのアドバイスとして、
- 落とし穴:1日の割り当て作業量以上はやらないこと
- 翌日分を前倒しで消化したことにしてはならない
というものがありました。原文にこれ以上の説明がないため、ここからは推測なのですが、毎日の分量をきちんと守り続けることで、一定のペースをキープすること、あるいは、前倒しをすることで「極端に楽な日」を作ってペースに乱れを生じさせないようにすること、を意図しているのではないか、と思います。
個人的には、いつもより調子がいい場合は、前倒しで進めてしまった方が最終的には楽になるように思います(これが落とし穴なのかも?) 逆に、どんなに調子が悪くても、割り当て分はきっちりとこなすようにすることで、全体としてはスピードアップが図れるはずです。
調子の良し悪しに関わらず、とにかく毎日一定の「少しずつ」をキープするようにしましょう。
まとめ
要するに、失敗しようがないくらいの安全なペースを決めてこれを守るということです。
その仕事の完了までにいたる全工程のどこを切っても失敗しようのない“線分”が得られるならば、毎日の割り当て作業量を不安なくこなすことができます。
もし、抱えているすべての仕事についてこの方法で進めることができれば、理論上は先送りは生じ得ないことになります。
これを続けることで「今日一日の区切りで生きる」の実現に近づくことができます。
「今日一日の区切りで生きる」ために「一日を6つの区切りに分ける」
『道は開ける』の中に以下のような問いかけがあります。
過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよう。
あなた自身で、次の5つの問いに答えてみていただきたい。
- 私は、未来に不安を感じたり、「水平線のかなたにある魔法のバラ園」に憧れたりして、ともすると現在の生活から逃避していないだろうか?
- 私は、過去の出来事──すでに決着のついたことがら──を後悔するあまり、現在をも傷つけていないだろうか?
- 朝起きる時に「今日をつかまえよう」──この24時間を最大限に活用しよう──と心に誓っているだろうか?
- 「今日一日の区切りで生きる」ことによって、人生をもっと豊かにできるだろうか?
- 以上のことをいつから始めるべきか? 来週から?……明日から?……それとも今日からか?