ファーストタスクをいちばん気の進まない依頼から始める
ことを、この記事ではおすすめしています。
「ファーストタスク」というのは、『マニャーナの法則』などの仕事術を書いた、マーク・フォースター氏の用語です。
「タスクシュート」にはもともと「ファーストタスク」はありません。
なぜなら厳密には「タスクシュート」のリストにあるすべての時間はつながっているため、「最初」という概念はないからです。
睡眠から始まり起床へと至るのか、それとも睡眠が終わって起床から始まるのか、両者の差異はとらえかたの違いにすぎません。
そしていずれにせよタスクシュートの「ファーストタスク」は
- 睡眠か、起床
のいずれかに決まってしまいます。
それらを「ファーストタスク」とあえてとらえる意味がほとんどないのです。
ですからあえてタスクシュートとして「ファーストタスク」を決めるならば、
- その日に手がけるいちばん最初の仕事
とするしかないでしょう。
これを、他人からの依頼、中でももっとも気の進まない依頼にしてみましょうというのが、今回の趣旨です。
なぜ「もっとも気の進まない依頼」から取りかかるのか?
やりかたは、次の記事にあるような方法でいいと思います。
私がここで提起したいことは、なぜこうするといいのか、です。
その日のいちばんはじめに手がけることというのは、それが何であっても、
- 大切なこと
と思えてくるものです。
一日がそれによって始まり、その日の印象を大きく左右するようなことは、なるべく「よいもの」にしたいと思うのが人情です。
そこに「最もやりたくもない、中でもやる意義が感じられない依頼」をあてるということは、結果として、相手のことをとても重要視しているという自分へのメッセージになるのです。
たとえばある日、私が新しいiPhoneの設定を早くやりたいと思っていたとします。
しかしたまたま同じ日の朝に、「なるべく今日中に戻してください!」というメッセージの添えられたゲラがバイク便で届いたとしましょう。
私はiPhoneに向かいたい気持ちをグッとこらえ、仕事であるゲラに向かうほか、ありません。
そのとき娘が、「パパ、これ手伝ってくれる?」と、保育園のお楽しみ会で使うという工作を依頼されたら、どうしたらいいでしょうか?
どうしても、いいのです。
しかしここで、iPhoneの開封をこらえ、ゲラまで放り出し、娘の工作に多大の時間をかけたとしたら、自他共に認める大変な親バカだと実感せざるを得なくなります。
これが大事なところだと、思うのです。
こうすることで、私が娘を大事にしていることが間違いなく娘には伝わるし、そのことが私にも、揺るぎない事実として実感されざるを得なくなります。
このようにして自分の身の回りを着実に充実感にあふれた環境にしていくことができるのです。
ですからなるべく、一日の最初のタスクとして、どう考えても価値があるとは言い難い、他人からの依頼に、大量のリソースを注ぐほどよいのです。手間ひまが愚かしいと思えるほど、終わってみれば、ますます報酬は大きくなるのが道理です。