<Q5> ある仕事について、「今日中に」するか「明日やる」のどちらにするか迷っている。
<A5> 「明日やる」です。これが標準設定。特別な理由がない限り、変更する必要はありません。迷っているなら「明日やる」にしてください。
この本では、仕事を「いつやるか」で3カテゴリに分けるように強く勧めています。
3カテゴリというのは次の3つです。
- 今すぐ
- 今日中
- 明日やる
そして、「明日やる」を標準設定とし、よほどのことがない限り、「今すぐ」だの「今日中」だのにやることにしてはいけない、というのです。
次のような有名な本とは主張が正反対です。
どういうことでしょうか?
とにかく何であれ「今すぐ!」やれ?
ケリー・グリーソンは、とにかく何であれ「今すぐ!」やれといいます。
これは大事な「心構え」であり、彼が言いたいことは、仕事から逃げる心理を育ててしまうと、それが習慣化してしまって、意味のないことで時間をつぶしてしまう。それに警告しているのです。
たとえば「返信もしないのにメールを漠然とチェックする」とか「書類をパラパラと眺める」といったことを、グリーソンは一切やめるようにいいます。
これはたしかに大事です。
ですが、グリーソンの言うように「とにかく今すぐ片付ける」というやり方では、それで片付く限り強力な方法ですが、それでも片付かない場合、やっかいなことになります。
実際、仕事を「今すぐ」と「後で」の2つにしか分類しない人はたくさんいます。しかし、この分類では「後で」はほぼ「やらない」になります。それを自覚しているから「今すぐ」を手いっぱい抱え込むことになってしまうのです。 「今すぐ」が多すぎるということは大問題。仕事に振り回されて、集中できず、毎日がストレスだらけになるからです。
本当にこれは今日中でなければいけないか?
マニャーナの法則にはもちろん「タスクシュート」は出てきませんが、私は「タスクシュート」で「今すぐ」「今日中」「明日以後」を自然と分けられているので(「タスクシュート」の基本設計がこうなのです)、「デフォルトは明日」の重要性が非常によくわかります。
「本当にこれは今日中でなければいけないか?」
この自問を全行動に対して発することで、「今日使える時間」が増えるのです。そして「増えた時間で計画する」ことによって、「明日以後」の行動が急速に整然としてきます。
まして「今すぐ」できることは、ほとんどないのです。「タスクシュート」は原型がエクセルであるため、当然「1度にできることは1行のみ」という原則に従います。
それが現実です。もちろんやろうと思えば1度に2つ程度のことはやれますが、だからといって大きな仕事を「今すぐ全部」できるわけがありません。
パニックに陥っていると「あれもこれも今すぐ魔法のように片付けたい!」という焦燥感でいっぱいになりますが、焦っているだけでなにもしない間にも時間はどんどん過ぎ去ります。
それがもっとも良くないのです。「今すぐ」と「今日中」から仕事を排除しておけば、「明日以後の計画をしっかり立てられた」はずなのに、その時間をみすみすムダにして、「明日」を「今日」と全く同じ、仕事が山ほど待っている混乱した1日に押しとどめてしまいます。それでは何日たとうが、いっこうに事態が改善されないでしょう。
くり返しますが、すべての仕事を「明日やる」のカテゴリーに入れるのが理想です。そうすれば、仕事の計画が事前に立てられるからです。
毎日が混沌。その状態は、どこかで1度リセットしなければなりません。
そうして「明日以後は混沌ではない」日々を送り始めることが必要なはずです。
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