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WorkFlowyの入門となる一冊



倉下忠憲クラウドなアウトライナーであるWorkFlowyは、この連載でも何度か紹介してきました。シンプルでありながら、なかなか奥深い知的生産ツールです。

で、このたびその入門書が発売されました。

» クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門 (OnDeck Books(NextPublishing))[Kindle版]


WorkFlowyの基本的な説明と使い方が、重厚に語られております。

概要

目次は以下の通り。

  • 第1編 WorkFlowyと「個人の継続的な知的生産」
    • 第1章 「個人の継続的な知的生産」のために大切な2つの条件
    • 第2章 WorkFlowyの基本
    • 第3章 WorkFlowy基本5原則
    • ☆WorkFlowyの実践講座
  • 第2編 WorkFlowyを毎日の生活の中にある「文章を書く」ことに使う
    • 第1章 WorkFlowyで着想を捕まえ、蓄積し、活用する
    • 第2章 WorkFlowyで本を読む
    • 第3章 WorkFlowyで文章を書く
  • 第3編 WorkFlowyを「自分の道具」に育てる
    • 第1章 「WorkFlowy専用Firefox」で、WorkFlowyを「自分の道具」にする
    • 第2章 「WorkFlowy専用Firefox」のブックマークで、「アウトライン」の中を動き回る
    • 第3章 「WorkFlowy専用Firefox」にアドオンで機能を追加する
    • 第4章 「WorkFlowy専用Firefox」にブックマークレットで機能を追加する

さらに、付録も充実しています。

  • 付録1 読書案内
  • 付録2 WorkFlowyの丁寧な説明
  • 付録3 彩郎版・WorkFlowy用語の基礎知識
  • 付録4 WorkFlowy Proの説明
  • 付録5 MacからキーボードでWorkFlowyを操作するために必要な設定
  • 付録6 「文章を書く」ための道具の変遷(WorkFlowyに至るまで)

本書は、これからWorkFlowyを本格的に使い始める人にとって役立つ情報源となるでしょう。そもそもWorkFlowyについての本そのものが絶対的に少ない状況ですし、ここまで掘り下げた本は(現時点では)他にはありません。「とりあえずこの一冊」くらいは言えるかと思います。

本書の内容は著者のブログで開示されてはいますが、やはり順番と内容が整えられている方が読みやすいものです。特にボリュームが多ければ多いほどそうでしょう。断片的な情報であれば、Googleの検索で十分ですが(おそらく著者のブログがひっかかることでしょう)、統合的に情報摂取したいのならば、「本」の方がいいかもしれません。

知的生産を日常的に

でもって、本書は「個人の知的生産」に関する本でもあります。もう少し正確に書くと、「個人の継続的な知的生産」に関する本です。それはつまり「知的生活」に関する本ということです。

知識労働者にとって知的生産は仕事の一部なわけですが、そうでない人にとっては特別な活動となります。そして、それが特別な活動であるがゆえになかなか取り組めないジレンマもあります。だから視点を変え、日常生活の中に知的生産活動を取り込んでみてはどうだろうか__そして、その上でWorkFlowyが役に立つ。これが著者の主張です。

WorkFlowyの特異性はファイルを作らず、すべてを一つのアウトラインの中に入れ込んでしまう点にあります。つまり、日常的な買い物リストやタスクリストと共に、自分が読んだ本のメモや、あるいは書きかけの文章を入れておける、ということです。そのある種のごちゃ混ぜ感が、知的生産が持つ非日常性をはぎ取ってくれるのかもしれません。

さいごに

究極的なことを言えば、WorkFlowyは何のマニュアルも見ずに使い始めることができます。優れたツールの証左です。

しかし、「使い始められる」からといって、「うまく使える」とは限りません。特に、自由度が高く、さらに既存のツールにはない思想を持つ__ファイルを使わないのはかなり異端です__WorkFlowyであれば、「で、何をすればいいの? これで?」となってしまうことは想像に難くありません。

本書は入門の基礎的な話から、「結構マニアックだけど、これ大丈夫?」と心配するような内容まで一通り触れられています。きっと導入のよき導き手となってくれるでしょう。

» クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門 (OnDeck Books(NextPublishing))[Kindle版]


▼今週の一冊:

おそらく本書と対を為す一冊。WorkFlowyはクラウド・アウトライナーなわけですが、アウトライナーとはなんぞやを解説した本です。

» アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術[Kindle版]


▼編集後記:
倉下忠憲



ようやく、よ~~~~~~~~うやく、初稿を書き上げました。感無量です。でもまだ完了ではありません。が、とりあえずは一段落でふ~と息をついております。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。

» 知的生産とその技術 Classic10選[Kindle版]