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ぜひともアウトライナーを使ってみたくなる一冊



倉下忠憲本書を読めば、間違いなくいろいろやってみたくなるでしょう。

» アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~[Kindle版]


アウトライナー、フリーライティング、シェイク、そしてライフ・アウトライン。

世の中には試してみないとわからないことが結構あって、アウトライナーを使うこともそのうちの一つです。正確に言うと「ダイナミズムを持ってアウトライナーを使うこと」は、体験してみないと掴みづらいものあります。

逆に、少しでも慣れてみると、さまざまなものが自然に腑に落ちて、自動的に指が動く(tabキーやreturnキーを押す)ようになります。

とはいえ、まったくなんのガイダンスがないのも困りものです。そこで本書の出番です。

いわば別の本

本書は、2015年5月にKindleで発売された『アウトライン・プロセッシング入門』の全面改訂版です。目次は以下の通り。

Part1 アウトライナーとアウトライン・プロセッシング
Part2 アウトライン・プロセッシングの技法
Part3 文章を書く
Part4 理解する・伝える・考える
Part5 アウトライナーフリーク的アウトライナー論
Part6 〈文章を書き,考える〉アウトライン・プロセッシングの現場
Part7 アウトライン・プロセッシングの風景

コアとなるテーマは『アウトライン・プロセッシング入門』と同一ですが、補足の情報が大幅に追加されており、またおまけのコンテンツもあります。

たとえばPart6では、アウトライナーを実践の現場で使っている二人の知的生産者のインタビューが掲載されています。でもって、そのうちの一人が私です。

注意深くお読みいただくとわかるのですが、Part5の後半で疑問が投じられている「空間配置」による発想法を、直後のインタビューで私は大いに活用していると告げています。まったく統一性がありません。でも、それでいいのです。というか、そうでなくてはいけません。

知的生産の技法には、相性があります。「これが正解」と呼べるものはありません。その意味において、本書ではうまく相対化が意識されています。全体を通して、この手のノウハウ本にありがちな独善性がうまく回避されていると言ってよいでしょう。

どちらにせよ、相性があるのですから、とりあえずやってみるしかありません。思弁を先行させていろいろ考えるよりも、実際に触って確かめることが肝要です。幸い現代では、WorkFlowyというアウトライナーの新星が無料で使えますし、社会人ならだいたい所有しているであろうWordによるアウトライン・プロセッシングの導入も本書では提示されています。

あとは、とりあえずやってみるだけです。

「考える」ことのダイナミズム

個人的な印象では、本書の白眉は「Part7 アウトライン・プロセッシングの風景」にあります。

このPartで提示されている「買い物リストを<シェイク>する」を眺めてみるだけでも、「考える」という行為のダイナミズムが体感できるでしょう。本書の全体を通して語られてきたことが、この実際例でまざまざと感じられるはずです。

本書では、アウトラインを「生きたアウトライン」と「死んだアウトライン」に大別しています。言い換えれば、dynamicなアウトラインと、staticなアウトラインということです。

staticなアウトラインは、その性質上、最終的な結果を提示すればそれで済みます。1枚のスナップショットで事足りるのです。

しかし、dynamicなアウトラインはそうはいきません。その性質を提示するためには、動的な変化をそのまま提出する必要があるのです。言い換えれば、変化のスナップショットを重ねる必要があります。本書のPart7では、まさにそれが行われています。

こればかりは言葉を重ねても仕方がありません。実際にご覧いただくのが一番です。きっと、「階層を上がる」快楽が一部でも感じられるでしょう。それと共に、これが「思考の方法」であることもわかります。考えるとは、まさにこうした動的な変化を伴うものなのです。それを知るだけでも、大きな価値があります。

そしてきっと、自分でもそれをやってみたくなります。

さいごに

学校では、「解く」方法はいろいろ教えてもらえます。展開したり、掘り下げたりすることも学びます。

しかし、「階層を上がる」方法はほとんど教えてもらえません。不思議なことです。分解や分類だけでは、たどり着けない思考の領域というものがありうるのです。

» アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~[Kindle版]


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▼編集後記:
倉下忠憲



KDPでヒットして、商業出版につながった本はすでにいくつかありますが、ノウハウ本はかなり珍しいのではないでしょうか。書籍の企画が通りにくくなっている現在だからこそ、セルフパブリッシングも視野に入れていきたいところです。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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