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クラウド・アウトライナー「WorkFlowy」で骨子を育んでから、整える。

倉下忠憲
最近「WorkFlowy」をよく利用しています。iPhoneでの一人ブレストに最適なのです。

WorkFlowy

無料
(2014.02.07時点)
posted with ポチレバ

 

「WorkFlowy」は、Webを介して使えるアウトライナーで、今のところ、Webブラウザ・iOS・Androidで利用できます。

ベーシックなアウトライナーの機能はほぼ押さえられており、さらに「タグ」といった独自のアプローチもあります。無料版では、一ヶ月に500トピックスしか追加できませんが、それだけあれば問題はありません。
※ちなみに以下のリンクから登録すると、私と登録者さんの上限が250追加されるらしいので、よろしければどうぞ。
https://workflowy.com/?ref=371205.tw

私はMacで別のアウトライナーを使っているのですが、この「WorkFlowy」も手放せないツールです。iPhoneとMacでシームレスな連携ができるのが、その理由です。

手持ちぶさたな時間の使い方

たとえば、車の中でちょっとした待ち時間を過ごしているとします。

妻が買い物に行って、車内で帰ってくるのを待っているようなシチュエーションをイメージしてください。軽く時間はあるけれども、パソコンを広げるほどではない。そういう時に、iPhoneを取り出して「WorkFlowy」のアプリを起動します。

私のWorkFlowyには、「考えなければならないこと」がいくつか入っています。企画案や、講演の内容など、アイデアを必要とするものです。その中から一つをセレクトし、左側の丸いボタンをぽちっと押します。

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すると、フォーカスがそこに移動し、それ以外のリストは消えます。こうした表示の切り替えができるのがWorkFlowyの一つのポイントです。他の要素が目に入ってしまうと、ブレストの方向性をうまくコントロールできなくなる場合があるのです。

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とりあえず選んだテーマで思いつくことを入力していきます。ここで便利なのが、iPhoneの音声入力です。

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上記のテキストは、すべて音声で入力したものです。漢字変換は見事なものでしょう。

句読点も、「てん」「まる」と発声すれば、きちんと変換してくれます。が、ブレストで放り込むアイデアは文章ではないので、あまり使用しません。音声入力の面倒さが、一人ブレストではひとつ解消されるのです。

入力されたものが多少気にくわなくても__「様々」は「さまざま」がいいですね__、ここでは放置します。

この段階は、思いつくまま入力するだけです。その際、思ったことをバンバン口にするだけで、アウトラインに反映されるのが心地よいのです。

パソコンで「清書」する

パソコンを広げる時間ができたら、ブラウザからWorkFlowyにアクセスします。すると、当然のように、先ほど口述入力した内容が反映されています。

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誤変換や、言い回しで気にかかるところがあれば、この段階で修正していきます。さすがにこういう細かい作業は、キーボードで実施したほうが手間がかかりません。要素の並び替えも、ここで行います。

要素がざっくりと固まってきたら、それらをエクスポートして別のアウトライナーへと移動させます。といっても、コピー&ペーストでの移動です。

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コピペでの移動は、一手間かかりますが、それほど複雑な作業ではありません。他のアウトライナーに移動させたら、そこで肉付け作業を行っていきます。

アウトライナーをあまり使わない人はご存じないかもしれませんが、ツールごとに得意な作業が結構違うのです。その辺りを意識して使い分けると、使い勝手のいいとこ取りができます。

終わるまでは、ブレストを続ける

アウトプットが完成するまで、該当するトピックは「WorkFlowy」に残しておきます。

再び時間があれば、項目を開き、口述での一人ブレストを行うためです。

だいたい時間をおいてやっても、新しいアイデアはなかなか出てこず、同じようなことを思いつくものです。しかし、そういう場合でも、同じことを入力してしまうのがコツです。何度も出てくるのは、それが重要であるか、常識的であるか、自分がどうしてもいいたいことか、何かそういった性質を秘めているのでしょう。それが確認できるだけでも意味があります。

また、同じようなことでも、表現が違ってくることは十分ありえます。表現が違うことによって響き方も変わってくるので、さまざまなパターンの言い回しを、脳の奥から絞り出しておくことは有効です。

さいごに

「音声入力で一人ブレストする」

もしやったことがない方は一度体験してみてください。書き出すのとはまた違った感覚が味わえるでしょう。

これまででも、ICレコーダーで同じことはできたのですが、文字起こしの手間がありました。単に場所を移し替えるだけの手間は、あまりやる気が起きません。なかなかやっかいです。その点、iPhoneの音声入力は精度も高く、クラウド連携も簡単に行えます。
※Android端末は持っていないのでなんとも言えません。

ちなみに、ブレストで入力したものは、テキストエディタではなくアウトライナーに保管されている方が、圧倒的に後から利用しやすくなります。思いつきはもともと断片的なものであり、断片的なものをオーガナイズするのがアウトライナーの役目の一つだからです。

▼今週の一冊:

さまざまな「代替医療」について、科学的な検証を確認していく一冊。

「徹底的」という言葉がぴったりな一冊です。それぞれの代替医療についての評価も興味深いのですが、それよりも「科学的に検証された医療」とは、一体どのようなものなのかをおもしろく読ませてくれます。

本書を読めば、「〜〜の実験結果が出た。だからこれは正しい」という主張に遭遇したときに、「その実験って、適切にコントロールされていたんですか?」と健全な問いかけを持つことができるでしょう。医療実験に限らず、有効な問いです。
» 代替医療解剖 (新潮文庫)

 

▼編集後記:
倉下忠憲



最近、少し前のメディア関連の本を読みあさっているのですが、現代から読み返してみると、その当時の予測通りなこと、予測とまったく違うことが出てきているのに驚かされます。「音声入力の実現はしばらく無理だろう」と悲観している記述に出会ったんですが、iPhoneは、__完璧とは言えないものの__十分に機能してくれます。その機能が実現されていることよりも、気軽に、手軽に使えることのほうが驚きを感じるわけですが。

 

▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。