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レビューの最適なタイミングとは?

By: Brian Snelson


大橋悦夫前回はレビューの目的について考えましたが、今回のテーマはレビューのタイミングです。いつやるのが最も効果的なのか。結論から言うと、なるべく早く、できればすぐに、ということになります。時間があけばあくほど忘却が進み、思い出すのに時間がかかったり、思い出しきれなかったりという問題が生じるからです。それ以上に「直後」にしか捕まえられないアイデア(の素)というものがあり、これを逃さないようにしたい、というところが大きいのです。

数分以内の振り返りが知識の質を高める

最近読んだ以下の記事に強く共感しました。

» 振り返りは数分以内で | 起-動線

授業や会議が終わってから――あるいは、本や記事を読み終えてから――数分以内に、そのときの重要なポイントを書き留めておく。 (太字は引用者による)

ハッとしたのは「数分以内」というスパンの短さです。たしかに重要なイベント、たとえば初めてのお客様向けのファシリテーションを終えた直後は、すぐに振り返っています。しかし、繰り返しになりますが、それ以外の局面では「時間があったらまとめておこう」と考え、結果として振り返らずじまいになり、結局「まあいいか」で終わってしまいます。一つの経験から多くを学ぶ人とそうでない人の違いはこのあたりにもあるのでしょう。

本番直後のメモは感情がゆれ動いていることもあり、小さな失敗にフォーカスしすぎたり、あれもこれも改善が必要と考えたりしがちで、再度まとめ直しが必要なことも少なくありません。それでもやはり経験の直後にしか書けない内容を含んでいる点で、重要な情報です。

まさに書かれているとおりです。「あとで時間ができたときに」と思ってその通りにできるのはまれでしょう。そうであるならば、あらかじめレビューのための時間を確保しておくか、ほんのわずかの時間でもレビューを欠かさないようにするかのいずれかが必要になります。

上記の記事の後半では、「会議を続けざまに入れない」という話が出てきます。これは「あらかじめレビューのための時間を確保しておく」という考え方ですね。

関連して、僕自身は最近こだわっているのは、読書です。

耳で聴いた内容を、直後に目で読み返す

日々のランニング中はオーディオブックでビジネス書を聴いているのですが、走り終えて帰宅したら足のアイシングのために水風呂に10分浸かります。このとき、ジップロックに入れたiPhoneで先ほど聴いていたオーディオブックの電子書籍(なければ紙の書籍)を読むようにしています。しかも、ランニング中に聴いていたのと同じ部分を読みます。

聴いているときにはランニング中ということもあり、その場でメモを取るのは難しいのですが、それでも「あの辺りでちょっと気になるフレーズがあった」という引っかかりは残ります。ここでいう「あの辺り」には2つの意味があります。音声ファイルの再生位置と、そのフレーズを聴いているときに目にしていた風景の2つです。

常に風景が流れていく中で音声を聴いているため、目で見た風景と耳にしたフレーズとが関連づけられるのです。

「確か、あの木立を抜けたあたりで聴いた」という思い出し方ができるので、電子書籍でそのフレーズを見つけるのは難しくありません。ランニングは毎回30分と決めているので、30分間で聴いた内容を10分で素速くレビューすることになります。

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ちょうど、聴いたばかりの演説の速記録を読み返すようなものです。一度聴いているので、気になった部分だけをじっくりと読み返すことができます。聴いていたときには気づかなかったキーワードが目に入ってくることもあります。ペンキの重ね塗りのように、一度ではムラができてしまうところを二度塗りすることでカバーできるわけです。

聴いているときには「気になる」としか表現できなかった引っかかりについて、ここでじっくりと考えることができます。もしこの時間がとれなければ、「気になる」というだけの、いかにも“揮発性”の高そうなとらえどころないほとばしりは、永遠に失われてしまうかもしれません。

また、一度耳で聴くことによって、「改めてじっくりと読む必要がある本かどうか?」の判断をくだすうえでも役に立ちます。ランニング以外でも、移動中や家事の最中はオーディオブックタイムになります。じっくり読むべき本を見つくろうための時間として活用できるわけです。

むしろ、読むよりも聴くほうが合っているコンテンツというものがあります。

たとえば、自伝のような本は声で聴くほうが味わい深いです。著者本人から語りかけられているようで、ストーリーに入り込みやすいと感じています。

特に以下の本は耳が痛いです…。

» 若き商人への手紙(オーディオブック版)

» 若き商人への手紙(単行本)


本書については、以下の記事で詳しく解説しています。

» 一日の初めにやる気を最大化させるための習慣 

タスクが終わった直後にしかわからないことを捕まえる

タスク管理においても、「直後にレビュー」が効きます。

これについては、佐々木正悟さんが「瞬時レビュー」という名前で紹介しています。その名のとおり、直後にレビューする、ということです。

» 瞬時レビューが教えてくれる「隠れた私」の言い分

ダイエット本というのはほぼ100%が、やせた人のレビューになっている。苦しんだとか、意志の力はあてにならないとか、いろんなことが書いてあって、そこにウソはないのだろうが、記憶は歪曲されるものだ。

一方ダイエット本の読者は未来に思いをはせる。ダイエット中の苦痛は通常は少なめに見積もられているし「今度こそやれそうだ」と思うのでなければ、本を読むのをやめてしまうはずだ。つまり期待が多めになっている。

しかし実行時の言い分は、すくい取りにくいもののせいか、刹那的すぎて役に立たないと思われがちなのか、とても少ない。ダイエットに成功した人(この人は過去にダイエットをしたのである)などは「意志の力などアテにならない」と平気で言い放つ。

しかし「意志力を発揮した」のは「ダイエットを実行したときの自分」なのだ。つまり「あいつのがんばりは取るに足らなかった」と言って小馬鹿にしている「過去の自分」の(意識的な)努力のおかげで、未来の誰それは綺麗になったり本を書いたりしていられるのである。

ここでいうところの「ダイエットを実行したときの自分」の言い分は、揮発性が高いといえます。時間が経つほどに急速に色あせていくために「意志の力などアテにならない」といった誰もが同意するであろう一般論に吸収されてしまうのです。

仕事を1つ終えたとき「ここのところをもう少しこういう風にすべきだった」といった反省が心の中にうずまくことがあります。このときの「こういう風にすべきだった」という次に活かせるであろうアイデアは、終えた直後だからこそ出てくるものであり、そこで捕まえておかなければ忘れてしまうかもしれません。

仮に後から思い出せたとしても、終えた直後に抱いていた残念な気持ちや軽い自己嫌悪といった生々しい感情は失われているために、さほど重くは受け止めないかもしれません。「まぁ、時間ができたときにやればいいかー」ということで片づけられてしまいかねないのです。

まとめ

というわけで、レビューの最適なタイミングは「直後」が良い、ということになります。

まとめも兼ねて、佐々木さんのブログから引用しておきます。

» 「レビュー」は聞こえがいいが面倒くさい | ライフハック心理学

要するに「記録をとってレビューする」など面倒くさいわけです。そんな面倒なことをするなら「すぐさま」成果をものにしたい。そこで私が編み出したのが「瞬時レビュー」です。何しろ「瞬時」なのだから、これより短くすることはできません。

経済心理学の研究から「人はレストランを出た直後と日をおいた後とでは、レストランや料理について違った感想を述べる」事がわかっています。「瞬時レビューなど意味がない」という人は、記憶にだまされています。改善の余地があると思ったら、直後に改善するのがベストであり、直後に改善しないと最悪の場合、まったく「改善」にならなくなります。

・ここはダメだ!もう二度と来ない(直後の感想)
・悪くなかったな。もう一度いきたいな・・・(一週間後の感想)

週次レビューというものは、何か行動を改善するためにやることでしょうが、次回以後の行動を「改善」したければ「やった直後」に改善プランを出してしまうのがいいのです。

瞬時レビュー、ぜひ取り入れてみてください。

できれば、この記事を読んだ「直後」に…。

「瞬時レビュー」に最適なツール

» タスク管理ツール TaskChute2

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» Taskuma — TaskChute for iPhone

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