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糸に意図を託す管理ツール

By: Bill SmithCC BY 2.0


大橋悦夫というわけで、昨日ご紹介したタスク管理ツールを使って

  • 1.その日のタスクを作業に分解して、
  • 2.作業ごとに15分単位で時間を見積もって、
  • 3.必要に応じて順番を並び替えて、

という一連(=スケジュール作成)を行ったうえで、これに従って仕事をしています。もちろん、突発的な事態が発生すれば、順番を入れ替えたり予定していた作業を翌日に繰り越したりするなどの調整は発生しますが、原則として自分が描いたとおりのその日の“地図”に従って淡々と仕事を進めていくことになります。

「超」整理手帳で有名な野口悠紀雄氏のサイトにアリアドネの糸についての解説があります(リンク切れ)。

ギリシャ神話において、怪物ミノタウロスを退治にいった王子テセウスを助けるため、ミノス王の娘アリアドネが与えた糸。迷宮からの脱出手段。「超」整理法は、情報洪水時代におけるアリアドネの糸である。「超」整理法においては、「記憶の糸」をたどりながら書類を検索するので、これは比喩以上の意味をもっている。

タスク管理ツールは、1日の中で押し寄せてくる業務の洪水を迷わずに切り抜けるためのアリアドネの糸と言えます。

先日の第6回アカデメディア 「2005年末に『あぁ、今年も何もやってない!』を防ぐ会議」で紹介されていた、Get Back to Work(いま自分が何をやっているのかを一時的に記録しておくWebツール)や Clock Work(取り組んでいる仕事にかかっている時間を記録するWebツール;リンク切れ)が実現している機能はタスク&タイムマネジメントと言えるでしょう。

上記の会議でも言及がありましたが、今後ますます「副業的な働き方」が盛んになってくると、

  • 1.自分がいま何をやっていて
  • 2.どれをいつまでに仕上げなければ行けないか、
  • 3.そのために必要な人にはどこに行けば会えるか
  • 4.事前にやっておくべき作業は何か

などなどちょこまかと発生する派生小タスクを毎日モレなく遅滞なくこなしていくスキルが必要になってくるでしょう。

でも、確かに、タスク管理ツールですべての作業を一箇所にまとめて、これを参照しながら仕事を行えば迷うことなく進められそうですが、足りないモノがあります。

それは、楽しくない、ということです。

例えば、タスク管理ツールに「見積書作成」とか「メールチェック」といった作業項目が並んでいます。これを見て「はい、次は見積書作成ね」「お、次はメールチェックか」といった具合に(口には出しませんが)サクサクと仕事が進んでいくのですが、何というか自分で仕事をしている感じがしないのです。

もしかしたら、多忙を極めるエグゼクティブもこんな感じなのかも知れません。秘書が分刻みのスケジュールを組み上げ、「次は××社のアポです」「次はこちらの見積書の決裁をお願いします」「昼食は15分間です」などなど、言われるままになすがまま。

なんか大変そうですよね。

そこで、『すごい会議』に倣って、

  • どのようにしたら日々の作業が楽しくなるか?

という質問を投げかけてみます。すると、例えば「見積書作成」であれば、

  • 1.お客さんがビックリするような前例のない見積書を作ってやろう!
  • 2.お客さんが上司を説得するときに助けとなるような見積書にしよう!
  • 3.お客さんの視点で作業項目名をつけなおしてみよう!

などなど無味乾燥だった作業にワクワクが芽生えてきます。

3であれば、通常は自社の業務や商品が見積書の項目名になるところを、相手先から見た名前に変えてみる、というアイデアが浮かびます。自社から見たら売上ですが、相手先から見たらコストです。それも、何かの目的を達成するためのコストです。

そこで、単に「ソフトウェア開発費」ではなく「業務改善サポート料」とか「業務スピード向上支援料」といった、シズル感のある名前にするのはどうでしょう?

自分がやっている仕事は確かにソフトウェアの開発かも知れませんが、お客さんから見たら業務の改善だったり、スピードアップだったりするわけですから、仕事をするときもそういう姿勢で臨んだほうがよりお客さんの立ち位置に近づけるでしょうし、仕事にもハリが出そうです。

──手繰るだけの糸から、楽くなる糸へ。

自動車メーカーではありませんが、“SHIFT_the daily work style.”という感じでいろいろと工夫をすると仕事が楽しくなります、きっと。