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コツを活かすコツ

折に触れて読み返したり、引用したり、人に話したりしているエントリがあります。

この連載を毎日書き続けられる秘訣を明かそう(英語で読むITトレンド)

毎朝まず目を通すのが、San Jose Mercury NewsとNew York TimesとWall Street Journalである。次に目を通すのが、僕と関心領域が近い頻繁に更新されて質の高いBlogを75個ほど。それ以上はなかなか毎日見られないので、「BLOG一軍」「BLOG二軍」「BLOG三軍」と名をつけた「お気に入り」のフォルダーを用意して、入れ替え戦を始終やり「BLOG一軍」を75個前後に保つようにしている。

一軍のBLOGもつまらなくなったら二軍に落とす。三軍でも面白くなれば一軍に引っ張りあげるわけだ。そうやっていつも「BLOG一軍」の質をキープして時間をセーブする。僕の個人サイトのブックマークには数ヶ月前に作ったBLOGサイトのリストが載せてあるが、そのうちの三分の一くらいはまだ「一軍」に残っている。

(中略)

つまり、この「英語で読むITトレンド」連載の場合、週にだいたい1000個くらいの意味がありそうなものに「目を通し」、それを150個くらいに落とし、さらにそれを50個(1日10個)に落として、最後に5つ(1日1個)にまとめているわけです。

特に上記の引用した部分ばかりを読み返してしまうのですが、1000個ってなんなんだろう、と毎回思います。そういえば、ライブドアの堀江社長はメールを1日に5000通読むらしい(ちょっと古い話…)ですが、この1000という数字について、ちょっと考えてみます。

何でも良いから、1000個の何かを読んだり聞いたり書いたり作ったりする、という活動を想像してみます。

 1.1000個のエントリーに目を通す
 2.1000通のメールを読む
 3.1000種類の講演を聴く
 4.1000冊の本を読む
 5.1000人の人に会う
 6.1000個のエントリーを書く
 7.1000個のWebサイトを作る

こうして1000のあれこれを眺めていると、生きている間にはおそらく無理であろう天文学的な1000もあれば、ちょっとがんばれば手が届きそうな現実的な1000もあるように見えます。

そして、1000に到達しないのは、時間的な問題というより1000に到達する前に別の何かに到達するからではないでしょうか。

例えば、

 「1000回もやらなくても覚えられる。そんなに繰り返すヒマがあったら、とっとと実践の場に出ていったほうがいい」

あるいは、

 「1000個も読まなくても、例えば400個ぐらい読んだところで、書きたくて仕方がなくなってくるネタに出会えるものだ。求めていた必要なものに出会っているのに、それをほったらかしにして読み進んでいくのは手段が目的にすり替わっている」

というような。

いろいろなコツやノウハウは手段に過ぎないということは誰しも十分にわかっているはず。でも、チェックリストや手順リストを見ると、ついつい反応してしまうのは、それを作ることの面倒さがあるからでしょう。でも人の作ったリストは所詮その人のものでしかないので、その人の努力と汗の結晶であるリストだけを真似て目的が果たせたとしても、その人が努力や汗を通じて身に付けた何かには到達できないでしょう。

とはいえ、コツを知ることで努力や汗をショートカットできるのは事実。であるなら、1000個のコツを「試したくて仕方がなくなってくるコツ」に出会えるまで、ひたすらチェックし続ける、という方法もアリだと思います。

このあたり、「知りえたことを行動に移すコツ」でご紹介した「素朴理論をTPOVとして言語化する」に近いものを感じます。

素朴理論とは、例えばリーダーシップなら「良いリーダーというのはこういうものだ」という自分なりの思い込みのようなもの。良い悪いと感じるということは、何らかの基準を暗黙のうちに持っているわけで、それを素朴理論といいます。日常知ともいわれるそうです。

TPOV(Teachable Point Of View)というのは、直訳すると「教えられる視点」。意訳すると「人に語れるちょっとしたコツ」。”Teachable”という言葉が利いていますね。
内省であれば、「こうすればうまくいく」「これぞ○○」というものを、くだらなくてもいいから書き出してみる。
他人と話す機会があれば、どんどん口に出してみる。それを書き留める。

つまり、語れるコツをまとめていく。これが最初のステップ。

既存のコツを参考にしながら、ここから自分だけのコツを派生させる、という感じ。派生させるときに効いてくるのが、どれだけたくさんのコツに(実際にやらずとも)目を通したかというボリューム。目にしたコツが多ければ多いほど、自分のコツとして語るのに必要なバックデータが豊富になり、複数のコツの組み合わせから新しい切り口が見いだされ、自分というフィルターを通した新たなコツが生まれるように思います。

例えば、1000個のコツを自分の仕事に活かそうとするとき、あと何を追加すれば簡単に導入できるか、あるいは何を削ぎ落とせば適用可能か、を考えます。

冒頭の「英語で読むITトレンド」で紹介されているコツの場合、これを読書に適用してみると、

 1.1000冊の、自分にとって関心領域が近そうな本をピックアップし、
 2.その中から150冊くらいに落とし、
 3.さらに50冊に絞り込み、
 4.最後5冊を選定して、その5冊を読む

毎週5冊は厳しいかも知れませんので、毎月5冊とすれば、年間60冊です。60冊しか読めないとなるとおのずと実際に読める本の冊数というのは限られてきますので、本選びに慎重になるでしょう。もちろん、片っ端から買って読む、という方法もありますが、限られた時間を最大限に活かすうえで上記のような手順に従ってみるのも何か意味があるような気もします(ないような気もしますが…)。

<コツを活かすコツ>

既存のコツから自分のコツを掘り当てる。