仕事をする上で整理整頓は大切な心がけですが、忙しさにかまけてつい後まわしになってしまいがちです。
そしてふと気づくともはや取り返しのつかないくらいの散らかりようを目の当たりにして、整理整頓の意欲は一気に吹き飛んでしまいます。
一気に片付けをしようとしても、緊急タスクがそれを許しません。
片付けという重要なタスクは緊急タスクには勝てないのです。
そこで、毎日少しずつ片付けるしかないのですが、具体的にこれを進めるためのコツを読んだのを思い出したのでご紹介します。
意気込み不要なのに気づいたら片づいている
『これならできる パソコン書斎整理術』という本から、ちょっと長いですが、引用します。
まず、室内がなぜゴミの山になるかについて考えてみました。ゴミはある日突然、山になるわけではありません。それは「ちょっと置いた」だけのものが、1日1日と積み重なった結果です。つまり、
・「ちょっと置いたもの」の積分値=ゴミの山
という等価式で表現されるわけです。このことに気づいて、私の頭にひらめくものがありました。
・こいつは数学で解決できるのではないか
相手を正確に把握できれば、あとは式を解くだけです。「ゴミの山」という積分値が出るのは
・昨日より今日のほうが、ほんのわずか汚くなった
ということを繰り返すからです。すると当然、その微分値を負値、つまり0以下にすればいいということになります。これを言葉で表現すれば、
・昨日より今日のほうが、ほんのわずかだけきれいになっている
ということを保証すればいいのです。そうすれば部屋は汚くなるはずがないのです。この数学理論に従ったのが次の対策です。
・1.机の前に座るたびに、机上にあるものを何か1つだけ片付ける
あるいは、
・2.室内に入るたびに、室内のものを何か1つだけ片付ける
片付けるのは、どんなに小さなものでもかまいません。とにかく昨日よりほんのわずかでもきれいになっていればいいのです。
具体的にいえば、
・紙を1枚片付ける
・本を1冊片付ける
・放置されているボールペンを1本片付ける
・ディスプレイの周辺に貼ってあるメモを読んで1枚片付ける
・置いてあるものの縦横の耳を揃えるといったことです。
ほんのわずかでいいのですから「さぁ、片付けるか」などと意気込む必要はまったくありません。
負担としては、何もしないのと同じです。
それでも、
・1週間もすれば、もう室内はきれいさっぱり
です。本当にそうなります。
このコツ、「林式微分整理術」というそうですが、これだけでも今すぐに身の回りの片付けができそうです。
先送りが発生するのはある程度仕方がないことです。
であれば、いかに上手に先送りできるか、というところに目を向けようと思い立ち、最近やっているのは、
- 1.今日予定していたタスクを先送りする(せざるをえない)ことが決定
- 2.今日のうちにそのタスクでやるべきこと・考えておくべきことをリストアップする
- 3.2でリストアップした中で今すぐ2分以内でできることがあればやってしまう
です。
ポイントは2です。
仕事には、その大きさに関わらず大きく分けて「段取り」と「実行」の2ステップがあります。
これを一緒くたにしてしまうと、あれこれ考えながら進めることになり、行きつ戻りつの作業が増えて時間がよけいにかかります。
そこで「段取り」の段階で、
- これをするとこうなるから、その前にこれをやっておいて…
- いやいや、ということはそれ以前に彼にこの件を伝えておく必要があるな…
- とすると最初に彼への連絡をしてしまって、返事があるまで別の作業を…
といったシミュレーションをしておくことで先送りされたタスクは「実行」を残すのみとなります。
すぐにできることがあればそれを片づけてしまうことで、確実に仕事が進みます。
毎日、“昨日よりもほんのわずかでも仕事が進んだ状態”を作り続けることによって、文字通り仕事が進みますし、目に見えない先送りを繰り返してしまっているストレスや自己嫌悪といったネガティブな感情を軽減することにもつながります。
「要するに何をしているのか?」に目を向ける
人から何かのコツを見聞きしたら、たとえそれが自分とは異なる分野のものであっても、それを一般化し、自分の身の回りの何かに活かせないかを考えてみると意外と現状を打開するヒントになることが多々あるように思います。
一般化とは、行動を抽象化することです。
例えば、「机上にあるものを何か1つだけ片付ける」を抽象化すると「目の前のものを何か1つだけ処理する」となります。
この形に変換しておくと、この抽象化されたモデルに吸い寄せられるように自分の身の回りの具体的なあれこれが思い浮かんできます。
言い換えると、そのコツは要するに何をしているのか?を読みとる、ということになると思います。
コツを活かすコツの実践
- コツを一般化(抽象化・モデル化)して、吸い寄せられるのを待つ。