前回は、収納は「使いやすく配置すること」、
そのためのコツは、
- どこにどのように配置するか
- 3つの収納の特徴を理解する
- 物が先・収納が後
と、お伝えしました。
今回は実践編。上記の3つのコツをふまえながらどのように収納を決めていくかを、我が家のダイニングテーブル周りを例に説明します。
「ウチならこうかな?」などとシミュレーションしながら読んでみてください。
ダイニング周りに配置したい物を洗い出す
ダイニングコーナーにある家具やテーブルの上を見てみましょう。
出しっぱなしになっている物の多くは「ここで使う物」ではありませんか?
我が家の場合、ダイニングテーブルですることとその時に使う物は下記のとおりです。
- 食事:
箸、フォーク、スプーンなどのカトラリー、コップ、つまようじや箸置き、「取り皿」など
(茶碗や汁椀は、中身をよそってから運ぶのでキッチンの方が便利)。
- 事務作業・勉強・その他書き物:
文房具全般、仕事関連の書類、ノートPCなど。
- 家庭の書類の処理:
学校や習い事のファイル、住所録ファイル、レシート類、料理本、保険・年金、取扱い説明書など。
- くつろぐ:
新聞、雑誌や本、リモコン類など。
- その他いろいろ:
爪切り、ハンドクリーム、印鑑、メガネ、ティッシュペーパーなど。
ダイニング周りに収納したい物が見えてきました。
次はこれらをどう収納するかを、3つの収納の特徴を考えながら決めていきます。
棚収納
棚でも引出しでもOKなアイテムは結構ありますが、棚でなければかなり使いづらいのは「紙類」。
上記の例でいうと、仕事や家庭の書類、雑誌や本などです。必要に応じてブックエンドやファイルケ―スなどで倒れないように収納しましょう。縦に収納するか横に収納するかで、必要なグッズも棚の奥行きも変わります。
棚収納というと手に入りやすい「カラーボックス」を購入される方が多いですが、ご注意を。
いわゆる標準タイプのカラーボックスは雑誌やA4が縦に収納できません。
A4が入るサイズのカラーボックスを選ぶか、費用がかかっても可動式の棚を選んだ方が、その時々に合わせて使い勝手が広がるでしょう。
引出し収納
引出しは「細々とした物」を入れるのに便利な収納スペース。今回の例でいうと、カトラリーや食器、文房具全般やリモコン類、印鑑やハンドクリーム、爪切りなどです(食器は引出しでも棚でもOK)。
細々とした物を収納する引出しは「浅すぎず・深すぎず」がポイント。上記のような物を収納する場合は、10cm~13cm程度の深さが使いやすいでしょう。
置き家具なら大きめの引出しがお薦め。「キッチリ仕切りたい」と、小さな引出しがたくさんあるタイプを選ぶと引出しの中身を覚えるのが大変になりますし、ラベルを貼ると見栄えが悪くなります。
入れたい物に合わせて空箱や100円ショップの箱などで引出し内部を仕切り、上から見て何がどこに入っているかが一目瞭然な状態にしましょう(職場のデスクの引出しのイメージです)。
よく使う物は引出しの手前に、あまり使わない物は引出しの奥に、カトラリーやペンなどの「細長い物」は手前から奥に向かって「縦」に収納。引出しを一番奥まで引き出さなくても中身がわかりやすくなります。
吊るす収納
ダイニング周りは、あまりあれこれと吊るして生活感を出したい場所ではないですね。
吊るすのは絵や雑貨、カレンダー程度にしておきましょう。
コルクボードや郵便物を入れるポケットなどを吊るしているお宅では、ボードもポケットも古いメモやDMではちきれんばかりになっているのを見かけます。
これらの収納グッズを使う場合は、こまめに中身を見直しましょう。
便利なスペース: 「一時避難用」引出し
ダイニングは様々な活動をする場所ですから、食事や来客時に、「やりかけの物を一時的に避難させられる引出し」があると非常に便利です。
お客様のお宅に伺うと、来客の度に他の部屋に避難させた紙袋がざくざく出てきます(笑)、このやり方だと元に戻さない可能性が高くなるのです。
「いつも自分の物をダイニングに置きっぱなしにして!」と家族に腹を立てている方は、引出し1つ分でいいので、ダイニングスペースに家族それぞれの「個人ロッカー」を用意してあげましょう。家族の片づけバトルが解消できます。
理想と現実の微調整
このように「物が先」方式で考えた結果、「我が家はダイニングテーブルの近くに深さ○cm程度の引出しが○個程度、A4ファイルが入る高さと奥行きの棚が○m程度必要」と、欲しい収納が見えてきました。
ここではじめて、ダイニングテーブル周りの収納をチェックします。
- 造り付け収納はある? 欲しいタイプとスペースがある?
- 造り付け収納がない場合、置き家具を追加することは可能?
- 置き家具もおけない場合、この場所に次に近い収納スペースはどこ?
など。
チェックした結果、希望通りの収納があれば万々歳ですが、そうはいかない場合も。
そんな時は、理想に現状を近付けるための微調整が必要になります。
スペースが足りない時には「使用頻度で絞り込む」
十分なスペースが確保できない場合は、「どうしてもここに置きたい物」を使用頻度でさらに絞りこみます。
例えば、
- 家庭の書類:
実際によく使うのは学校関連の書類や習い事などのスケジュール、住所録や「今年の」レシート類ぐらい。年金や保険などの重要書類や取扱説明書はめったに見ないので、廊下収納や書斎に移動してOK。
- 仕事の書類:
現在進行中の書類のみをダイニングスペースに。残りは書斎で保管。
- 雑誌:
ダイニングには今月号のみ。バックナンバーは別の場所へ移動または処分。
収納の形が合わない場合は「工夫する」
引出しが欲しいのに棚しかない、などと理想の収納がない時こそ、収納スキルやグッズの出番。
「棚しかないから、棚に置いて使える引出しグッズを探そう」、「引出ししかないから、書類や雑誌などはもう少しはなれた場所に棚をおこう」、「新たにこんな形・サイズの家具を追加しよう」など、知恵を使って使いやすい収納を実現しましょう。
いかがでしょうか。
整理収納は「与えられた条件の中で大事な物を選び出し、優先順位を決め、工夫をこらして『快適』を作り出す」作業。人生とちょっと似ていると思いませんか(笑)?
整理上手は生き方上手。充実した毎日を過ごすためにも、ぜひ自分の空間から整えていきましょう。
▼橋口真樹子:
家庭から幸せの輪を広げるお片づけカウンセラー。自宅セミナーでは我が家のリアルな収納を公開、お片づけに悩むお宅のカウンセリングでは「片づかない理由」をスッキリ解決。日本プロフェッショナルオーガナイザー協会(JAPO)主催の「お片づけのプロ養成講座」講師も務める。