しかし、所詮は人間、いかに優れた者でも時には我を忘れます。
─シェイクスピア「オセロー」
我を忘れるからこそ、忘我の境地にいたるからこそ、自分の可能性のカベを突き破って新たなステージに進むことができる。
常に自分をコントロール下に置いていたら(もしそれが可能であれば)人は進歩を忘れたロボットと化す。そう考えると、集中力がない、という描写よりも、我を忘れる力が不足している「忘我力不足」という方が実態がよく伝わってくる気がする。
運動をすることは、この忘我力を磨くうえで役に立つと思う。
定期的に運動すると、体内のストレス物質が減少する。ノルアドレナリン濃度が低下すると、脳内化学物質のバランスがとれ、集中ゾーンにとどまることができる。
私はカウンセリングをおこなう中で、クライアントが運動する習慣を身につけた途端、心の安定と集中力が大幅に向上するのを目のあたりにしてきた。ある女性の言葉を借りれば、「運動した後は頭がすっきりする」のだ。(p.222)
» 最強の集中術