アップルがノートブック型パソコンを初めて手がけたときのこと。ビジネスパーソンが飛行機内で使用するシーンを想定し、そこに照準を合わせて販売戦略を考えました。そして、飛行機の電気系統との兼ね合いを考慮し、コンピュータが問題なく作動するよう、相当な時間を費やしました。
ところが、ふたを開けてみると、飛行機のなかで使う人はそれほど多くなく、むしろ、飛行機以外のいたるところで使用されていたのです。
「こうなるだろう」という予想はたいてい外れる。しかし、予想があるから行動があるとも言える。予想は期待と言い換えた方がしっくり来るかも知れない。
期待通りになることだけが正解ではなく、プロセスはどうあれ、結果として自分たちの行動が誰かの役に立つことが実現できれば、それは成功と言える。
想定していたのとは異なる使い方で好評を博したり、若者向けに作ったプロダクトが実は高齢者に受け入れられたり、という予想外の結果であっても、それはそういった人々の見えざる期待に応えたことになる。
そう考えると、1つの使い方を押しつけるのではなく、いろいろな使い方ができる自由を提供する方が良いということになる。