時間記録を続けていると、それは会計ソフトへの仕訳の入力をしている時の感覚に酷似していることに気づく。
すべての取引は何らかの科目に振り分けられるので「いまの15分はナシで」が通用しない。プロジェクトAが終わり、プロジェクトBに移る際に、少しもたもたしてAでもBでもないちょっとした作業をしてしまったとき(iPhoneをいじって、ついでに設定を少し変えたり壁紙を変更したりなど)、この時間をどう記録するかで悩むことになる。
これがお金であれば、会計ソフトに「雑費」と入れたくないがために「プロジェクトAに転嫁してしまおう」などとする。だから、移管についても頭の中で「すまないけど、これプロジェクトAさんのほうで持ってくれませんか」「え~、どっちか言うたらその作業、Bさんマターでっせ…ぶちぶち」といった架空の会話が頭の中で繰り広げられる。
TaskChuteの場合は、腹をくくって「アイドリング」という「雑費」として“計上”してしまうことが多い(レビューをした時に、この時間が多ければ、減らすための対策を考えざるを得なくなるので、これは良いことである)。
こうして蓄積された記録をもとにプロジェクトごとにかかった時間を集計し、時間の使い方の改善が進んでいく。
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複数のプロジェクトを抱えているというのは、将棋の多面指しのようなものです。普通、将棋は1人で1人としか対戦しませんから、その相手に全力を注ぐことができますし、一局に集中できます。
しかし例えば同時に6人を相手にするとなると、一局に集中できず、頭が混乱するでしょう。その混乱を防ぎ、どうすれば場面が6つあっても1つの場面に集中できるかというと、記録があればいいのです。
記憶が途切れ、他の相手との大局に意識を奪われすぎるから、集中できなくなるのです。相手が変わるたびに記憶内容がぱちっと切り替わり、それまでどういう経緯を経てきたかを鮮明に思い出すことができれば、集中を取り戻すことができます。
プロジェクトもこれと全く同じことです。1つのプロジェクトに関する経緯が時系列順に整然と記載されている記録が必要です。(p.157)
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