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予想の内と外の境界線は「行動」で乗り越える

人間はその現実から一歩離れてこそものが考えられる。距離が必要である、刺戟も必要である。愚人にも賢人にも会わねばならぬ。じっと端座していて物が考えられるなどあれはうそだ。

─河井継之助(『峠』


目の前で起こっていることは、目の前だけにとどまるものではない。

そこにいたるまでの無数の伏線があり経緯があるからこそ、そして他でもない今というタイミングだからこそ兆すもの。

例えば、誰かと2人で話をする時、それは自分にとっての意味と相手にとっての意味が混じり合う。それぞれに異なるゴールを見据えながら別のルートで進んできたところでの邂逅は、お互いの予想の内と外に影響を及ぼす。

予想の内では、例えば期待していたことが実現する。相談したいことがある、と一方が他方に声を掛けての対話であれば、相談が成立すれば、解決するかどうかはともかく所期の目的は果たされたことになる。

予想の外では、期待していたことが叶わなかったとしても、思わぬヒントが相手からもたらされたり、自分の方が相手の相談に乗るという立場の逆転が起こることがある。

継之助の「考える」が照らしている先は「予想の外」である。予想の内と外の境界線は「行動」で乗り越える必要がある。

» 峠 (上巻) (新潮文庫)