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父から受け継いだ3つの言葉



大橋悦夫私事になりますが、2019年2月28日に父が他界しました(享年77歳)。3月4日に葬儀を行い、今に至ります。

これまでの経緯は以下の通り。

  • 2017年9月にアルツハイマー型認知症と診断された後、
  • 2018年8月に入院、
  • 2018年10月に介護老人保健施設に入所、
  • その後、病院と施設を行ったり来たりしつつ、
  • 2019年1月2日に77歳の誕生日を施設で迎えたものの、
  • 2019年2月28日の朝に体調が急変、病院へ救急搬送するも叶わず。

以下は、父がアルツハイマーと診断された後に書いた記事です。

今年75歳になる父がこの夏、アルツハイマー病であると診断された。両親とは離れて暮らしており、この事実は母からのメールで知らされた。アルツハイマーという言葉は以前から知ってはいたが、認識の“圏外”にあり、自分(および家族)には関係のない話題として捉えていたようだ。それゆえに、最初はこの事実を受け入れることができなかった。


改めて「役割」の重さを実感

以下の記事で佐々木正悟さんが「役割」について解説していますが、どんな人にも複数の役割があり、それぞれの役割をその時々の要求に応えながらバランスよく全うしています。

僕自身も、複数の役割を日々こなしていますが、ここに来てにわかに「息子」としての役割が膨張しています(バランスを著しく欠いています)。

僕には一人っ子のため、父亡きあと家族は母と僕の2人のみ。

「息子」の役割は、“父ロス”状態の母のサポートと事務手続きです。母とともに地元の役所や銀行をまわるため、今月は実家で過ごす日が増えています。

これまでも「息子」の役割はありましたが、目下のそれはまったく異質のものであり、「母サポーター」と呼んだほうが実態に合っています。

父から受け継いだ3つの言葉

そんな現状ですが、改めて「息子」の僕にとって父はどんな存在だったのかを日々振り返っています。

まじめでまっすぐで無駄なことを一切しない父は友だちづきあいからは距離を置き、かと言って趣味も特になく、仕事だけが生きがいだったようです。

呉服の卸売りと小売を生涯の仕事に選び、最初は日本橋の卸問屋に勤め、倒産とともに独立。問屋時代の取引先を頼りに少しずつ事業規模を拡大。

そんな父のおかげで、母も自分も何の不自由なく、それどころか人並み以上の生活を送ることができました。

無駄なことを一切しない父は進路についても放任主義で、自由にさせてもらえました。

でも、あるとき「この3つだけは忘れるな」といつになく饒舌に教え訊かせてくれたことがあります。

その3つとは、

  • ありがたい
  • もったいない
  • すまない

仕事をいただけたら「ありがたい」と感謝し、
指名してもらえたら「もったいない」と初心で受け止め、
力添えが得られたら「すまない」と倍返し。

「仕事がもらえるのは当たり前」、「自分が指名されるのは当たり前」、「自分の代わりにやってもらえるのが当たり前」と、つい都合良く考えてしまう自分に気づくたびに、この3つの言葉が、父の声で蘇ります。

記憶している限り、父からはこの3つ以外に何かアドバイスをもらったことはありません。

それでいて、この3つの言葉の影響力たるや。

本当に無駄なことを一切しない父でした。

そんな父と45年間ともに過ごせたことは僕にとってはまさにありがたく、もったいないことであり、残りの人生を通じて恩送りを通じで返していくしかありません。