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早く終わったことにしたい、でも何が起こるかわからない

前回は、まるまる先送りをしてしまうタスクについて、「小口注文」に分けて取り組む、という方法を考えてみました。

そこで、最近なんとなくやってみて、それなりに効果を実感できているのが、次のようにざっくりと分解してしまうという方法。

 □C社向けシステムの概要設計書作成( 0% → 25%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(25% → 50%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(50% → 75%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(75% → 100%)

要は、分解したそれぞれのタスクごとに到達目標をパーセンテージで示すようにするのです。

今回は、その実践にまつわるあれこれについて見てみます。

小口注文をさらに細分化する

実際にこの方法で仕事をしてみると、次のような「さらなる細分化」が発生します。

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 ■C社向けシステムの概要設計書作成( 0% → 25%)
 ■C社向けシステムの概要設計書作成(25% → 50%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(50% → 75%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(50% → 60%) ← ★

↑今日はここまで
────────────────────────────────────
↓ここから明日

 □C社向けシステムの概要設計書作成(60% → 75%)
 □C社向けシステムの概要設計書作成(85% → 100%)
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 □:未完
 ■:完了

これが行われるのは、

 「だいたい半分くらいまでは終わったかな」

という実感が得られた(=50%まで完了した)時に、ふと時計に目をやると、とても今日中に75%まで終えられる自信がない、というケースにおいてです。

75%は無理でも60%までなら何とかできそうなので、到達目標をさらに刻んで、今日のうちに進められるところを少しでも進めようとしているわけです(上記の★の部分)。

こうすることで、実際に厳密な意味での10%分(50% → 60%)を完了できたかどうかはともかく(検証する時間がもったいないので)、「しぶとく仕事に張り付いて、進捗を稼いでいる」、すなわち、「がんばっている自分」を実感できます。

こうして、少ないながらも「リード」を稼ぐことができれば、翌日は

 「昨日はがんばって、さらに10%分だけ前倒ししたから、今日は残り40%だ!」
 
という、たとえ錯覚であったとしても、よい気分で一日のスタートを切ることができます。

早く終わったことにしたい、でも何が起こるかわからない

もちろん、終盤に近づくほどに、実はやっかいな課題をはらんでいたことに気づいて、前半の「ざっくり勘定」や「進捗の過大評価」を恨めしく思うことも出てくるかもしれません。

でも、慣れてくれば、

 「今日の作業は、多く見積もっても5%というところだな」

という慎重な評価ができるようになります。変な話ですが、このように序盤で進捗を「温存」しておくことで、全容が見え始める後半にさしかかったときに、「実はもう半分以上終わっている!」ということに気づいて、一気に進捗できることもあるでしょう。

これは株取引における「利益確定」前の心境に似ています。少しでも含み益が出れば、すなわちある程度の進捗が認められれば、「30%まで終わった!」などという完了確定をして、早く楽になりたい衝動にかられます。残作業を減らしたい、もっと言えば、残作業が減ったという実感を一刻も早く得たいからです。

一方で、

 「もう少し待てば利幅が膨らむかもしれない」

という期待を胸に踏ん張ることもあるでしょう。株取引の場合は、実はこの期待を抱いたタイミングが最高値で、以降は利益確定の売りに押されて株価は下がる一方、という残念な展開もありえます。

仕事の場合は、実はほとんど完了しているのに、「何が起こるかわからないから」ということで、完了確定を先延ばしにすることが「踏ん張り」に当たります。踏ん張っている間は株取引と同様に、

 「いやいや、もう確定しても大丈夫だろう」

という楽観論とのせめぎ合いに陥ります。ただ、株取引と異なるのは、「踏ん張り損」があまりないことでしょう。なぜなら「元本保証」だからです。

実際にこの方法で大きなタスクをスケジューリングしてみると、

 「あ、今日は10%だけやればいいんだ。ツイてる!」

という自分で立てたスケジュールながら、テンションが上がることがたびたびあります。そして、勢いがあれば、「もうあと5%だけ前倒しできそうだな」ということで、「信用買い」的な消化もできるでしょう(後から事情が変わって、前倒しした分が無駄になるというリスク含みです)。

何にしても、タスクを大きなカタマリのままに放置しておくことは、「全株を一気に買い占める」ことを自分に課しているようなものですから、どだい無理な話であると言えます。

▼関連:
イヤなタスクを翌日にまるまる先送りするのを防ぐ方法 

ここで大切なことは、到達目標に確実ににじり寄っていることを実感することです。これによって、タスクが抱えている様々なサブタスクを1つ1つ検討するよりも効率よく進められる場合があります。特に、この検討作業がわずらわしく感じられるために、先送りをしているのなら、なおさらです。

「気の進むタスク」と「気後れするタスク」 

ゲームと違い、仕事の場合は“敵”の出現パターンをこちらですべてコントロールすることができます。「はぐれメタル」ばかりを連続して倒し続けることもできますし(その結果、終盤はひたすら強敵ばかりを相手にしないといけない状況に追い込まれることもありますが)、硬軟バランス良く配置することで、一日をなだらかに過ごすこともできます。

「長期計画」とは何か 

今回のように、何らかのゴールが明確になっている作業においては、やるべきことをツリー形式で整理することで、

 1.たくさんの小さなタスクがグループごとに束ねられる
 2.見通しが良くなる
 3.何をすれば良いかが大づかみで掴めるようになる

わけです。

始めるのが苦痛な仕事対策 

先送りしがちなタスクの特徴には以下の2つがあります。

 1.始めるのが苦痛(でも終えられたら嬉しい)
 2.終えても嬉しくない(始めるのは比較的簡単)

つまり、先送りをしたくなる理由が、始める段階にあるのか、終えた先にあるのかのいずれか、ということです。

先送りしがちタスクに「早割」を 

仕事が楽になりさえすればよいのですが、これとは別にポイントを設けているのは、自分の仕事ぶりを数値化することで、「今月はプラスに転じた」(=前倒しで仕事ができた)とか、「先週は4アンダーだったので、今週は少なくともゼロにまでは引き上げたい」(=遅れ気味な状況を改善したい)と言った目標の設定と評価がしやすくなる効果が期待できます。

日々の先送り対策は10分あれば十分 

「1分で確認を済ませる」という手軽さと、毎日必ず目を通すことがポイントのようです。確かに、見えなくなると「他にも何かあったような気がする」という余計な不安を抱えることになりますので、すべてを「見える化」することは効果がありそうです。