※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

今日からはじめる手帳術 第9回 タスクの確保漏れをなくす

倉下忠憲前回は北さんが「情報」や「思考」の3つの扱い方について紹介されていました。

» 今日からはじめる手帳術 第8回 「情報」と「思考」を記録する方法 

今回は少し脱線して、「タスク」について考えてみましょう。

タスク管理の入門の初歩のそのまた一歩手前、ぐらいのお話です。


あなたのタスクはどこから?

「タスクとはなんぞや?」

といった定義の議論は今回は避けておきます。自分がやらなければいけない具体的な行動、というぐらいで認識しておいてください。

さて、そのタスクですが一体どのように発生するでしょうか。これは仕事によってまちまちです。風邪薬のCMをもじれば、

「あなたのタスクはどこから?」
─「私のタスクは、上司から…」
─「僕のタスクは、Faxから…」
─「私のタスクは、顧客から…」

といった感じになるでしょう。もちろん単一ではなく、複数の発生源が組み合わさっている場合が大半だと思います。

発生源が増えれば増えるほど、それを管理するシステムは複雑性を増してきますが、とりあえず注目すべきは「タスクをうまくキャッチできているか」ということです。

私の場合

家に引きこもって物書きをしている私の場合だと、次のようなタスクの発生パターンが考えられます。

  • メール・電話
  • 打ち合わせ(リアル or チャット)
  • 自分の思いつき

比重として多いのは「メール」と「自分の思いつき」の二つ。ただ、打ち合わせが一度でもあるとポロポロと新規タスクが発生してきてあなどれない存在です。

電子データとして残るメールやチャットは、比較的安心です。「あれ?なんかあったかな…」と感じたらメールを読み返せば済む話です。特に編集者さんからのメールはかなりの割合でタスクが含まれており、忘れっぽい私はメーラーだけではなくEvernoteにもそのメールを転送しておいて、いつでも確認できるようにしています。

しかし、電話・対面での打ち合わせ・自分の思いつきの3つは同じようにはいきません。振り返ろうと思っても、データが残っておらず、自分の頭の迷宮の中に迷い込まざるを得なくなってきます。逆に言えば、自分で意識的に記録しておかないと、タスクの取りこぼしが発生しかねない、ということです。

基本的にタスクの取りこぼしには良い点がありません。ミスが発生したり、準備期間が短くなったり、締め切りに間に合わなかったりとダメな要素が満載です。

これは是非とも避けたいところ。

キャッチできるようにしておく

あらかじめそういう事態が起こりえることを知っていれば、事前に対策すればよいだけです。

対策といっても大げさなものではありません。電話を取ったらメモ帳とペンを手元に置いておく。打ち合わせには手帳かノートを持って行く。移動の際はメモできるものを持ち歩く、といった簡単なことばかりです。

小さいメモであっても、きちんと書き付けておけば電子データと同じように「あれ?なんかあったかな…」という時に効果を発揮してくれます。ただし、メモは散らばりやすいので普段持ち歩く手帳に貼り付けておき、紛失を防ぐといった心掛けは必要です。前回北さんが紹介されたように、スマートフォンのカメラで撮影しEvernoteにアップロードしておく、というのも一手でしょう。

肝心なのは、「発生したタスクを確保して、それを後から確認できるようにしておく」ということ。これをやらないのは、「自分の記憶力は完全なんだ」と過信するのに等しい行為です。

さいごに

タスクの扱いについては、まず3つのことを確認してみてください。

  • タスクがどこで・どのように発生するのか
  • 発生したタスクをどのように確保するのか
  • 確保したタスクをどのように確認するのか

さまざまな「タスク管理」の方法がありますが、まずタスクを確保できなければそれを管理することもできません。とびっきり高性能なタスク管理ツールを使っていても、上司からの指示をそこに入力できなければ、それが機能することはないでしょう。

「どのように確保すればよいのか」 の最適解は仕事によって変わってきます。

ただ、普段持ち歩くタイプの手帳であれば、電話・打ち合わせ・移動中といつでも携帯しているでしょうし、記入・参照が簡単にできます。シンプルなタスク管理ツールとして手帳はとても身近な存在と言ってよいでしょう。

▼参考文献:

倉下&北式の手帳の使い方を一冊の本に纏めています


タスク管理の序の序については、次の本も


▼編集後記:
倉下忠憲



ここ一ヶ月ほど、ずーっと本の企画案について考えています。扱うテーマも情報も十分にあるのですが、「切り口」があまりみえてきません。これまでと同じ切り口を使い続けるのも面白みがないので、自分なりの新しい切り口を模索したいところ。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。