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メモを見返すようになるための、3つの仕組み作り

倉下忠憲
先日、五藤さんがライフログについてのエントリーを書いておられました。

その記事の旨は、”ライフログは「見返してなんぼ」”ということです。確かにどれだけ膨大な記録を残しても、それを一度も見返さなければ、記録した意味は薄れていくでしょう。記録を見返して、自分の中に何かが想起されるからこそ、記録に価値が出てきます。言い換えれば、記憶を記録することで冷凍し、それを再び記憶に解凍するという作業が必要になわけです。

これは、自分の着想を書き留めた「メモ」についても同じことが言えます。メモすることは大切なことですが、メモしっぱなしだけではあまり意味はありません。書いたものを見返して、次の着想を生み出したり、あるいは実際の行動に繋げてこそ、取ったメモが活きてきます。

しかしながら、「メモを見返そう」と思ってもなかなか行動に移しにくいことは確かです。それは一度見返すだけではなく、日常的なフローワークとして__つまり習慣として実施していく必要があります。そして、「習慣」というのは簡単には身につきません。

今回は、少しでも「メモを見返す」行為が促進されるような仕組みを3つ紹介してみます。

1.スケジュールにしてしまう

こういった行為の一番の問題点は、それをやろうとしていた事を忘れてしまう、というものです。「暇になったらメモを見返そう」と思っているだけでは、暇になった時にはもうそのことを忘れ去っています。あるいは、そんな「暇」など3ヶ月先まで訪れないかもしれません。

こういう時は、一週間に一度ぐらい自分自身とアポイントメントを取って、「メモを見返す」というスケジュールを先に組んでしまうことです。そのスケジュールも他の予定と同じように、手帳やカレンダーアプリに入力しておきます。時間は30分ぐらいでしょうか。初めのうちは15分でも良いかもしれません。

こうしておけば、その日手帳を開けば、「あぁ、メモを見返さないとな」と行動が思い出されます。

どのような行動でも同様ですが、「〜〜しなきゃな」と考えたときは、実際に予定を立て、時間を確保しておくのが「現実化」のための手っ取り早い手法です。これは「予算」についての考え方と通じるものがあるでしょう。

2.ふと目にするところに置いておく

スケジュールを立てないアプローチとしては、書いたメモの置き場所に工夫することが考えられます。

例えば、デスクの上に透明の箱を置いておき、そこに書いたメモを放り込んでおく。すると、集中して作業をした後や、気分が乗らないときなどに「ん?」という感じで箱の中身が気になってきます。

これは「メモの見返し」を「やらなければいけないこと」として扱うのではなく、「気分転換の作業」として準備しておく、ということです。試験の前になると無性に部屋の掃除をしたくなるのと同じように、普段は面倒に感じる「メモの見返し」も、他の複雑な作業と比べると「ちょっと楽そう」という感じがしてきます。作業用の机の上に置いておくと、こういう「対比」の効果がうまれます。

メモボックスの置き場所をトイレにしておけば、「あいのり」の効果が上手く使えると思います。

3.必ず見るとこに置いておく

メモの置き場所として、一日に一度以上必ず見る場所に置いておく、という方法もあります。

私の場合は、Evernoteがそれにあたりますが、他の人は手帳がそれになるかもしれません。あるいは家計簿ということもあるでしょう。そういう自分の作業のホームベースにメモを保存しておくと、見返す確率は大きく上昇します。

Evernoteであれば、専用のノートブックを作りそれを一番上に表示されるようにしておく。手帳であれば、アイデアメモを書いたページに目立つ付箋を作っておく。家計簿やノートであれば、最初のページにポケットを付けて、そこにメモを放り込んでおく、というような工夫もありでしょう。

毎日パソコンを使うからといって、テキストファイルにメモを保存しておけばOK、ということにはなりません。その状態だと、「見返す」という行為が思い出されないからです。そのファイルをデスクトップに保存しておく、といった工夫が必要です。

ちなみに、この場合、他に多数のファイルがデスクトップに保存されていると「見返し」を促進させる力はあまり強くありません。50個くらい付箋がはみ出ている手帳を想像してもらえるとわかりやすいかと思います。
※「絶対にクリックしてはいけない.txt」というファイル名にしておくと少しマシかもしれませんが

これは、iPhoneでも同じことが言えるでしょう。毎日持ち歩くツールだからといって、起動しないアプリにメモが入っていては見返しは促進されません。一日に一回起動するアプリ__例えばTwitterクライアントなど__にメモを保存しておくことが必要です。

これらは自分の生活動線の中に「メモの保存場所」を組み込んでいく方法と言えるでしょう。

さいごに

今回は、メモの見返しを促進させるための仕組みについて考えてみました。まとめると

  • 週一回は自分とアポを取る
  • なんとなく手が伸びる場所にメモを置いておく
  • 生活動線の中にメモの置き場所をセッティングする

ということです。

実際の運用は、その人の生活スタイルごとに異なってくるでしょうが、基本的には上の3つのアプローチが有効に使えるのではないかと思います。

▼関連エントリー:

ライフログとかだいたいなんでもいいけど、それよりもなによりも見返してなんぼだと思うよ 

▼今週の一冊:

このエントリー書きながら、思い出したのが次の一冊。「続ける人」になるための方法が50個紹介されています。

個人的には、すでに習慣になっている行動に、付け加えたい行動を上乗せするという「あいのり」というのが好みの手法です。自分の過去を振り返ってみても、そういう手法をよく使っていることに気がつきます。

それ以外にもさまざまな方法が紹介されていますが、具体的な手法から一歩引いてみて、どういう考え方で自分の「習慣」を作っていけば良いのか、つまり行動を修正するには、どのようなアプローチが効果的なのか、についてを俯瞰してみてみるのも面白いと思います。


▼編集後記:
倉下忠憲



ずっと座り作業のせいか、突然腰痛に悩まされていました。今はマシになりましたが、一時期椅子に座っているのもムリという状況に・・・。こういうときにパソコンだと厳しいものがありますね。iPadだと寝転がりながら、けっこういろいろな事ができるので、重宝しておりました。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。