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2020年上半期に観て、いろいろと考えさせられたドラマ・映画6選



大橋悦夫2020年1月1日~6月30日までの6ヶ月間で72本のドラマ・映画を観た大橋です。

映画は1本あたり2時間ほど、ドラマはシリーズドラマも1本とカウントしているのでものによっては数十時間に及ぶこともあり、計算するのが恐ろしくなりますが、ざっくり200時間くらいでしょうか。

180日間毎日1時間と考えれば体感値とだいたい一致します。

だいたいお風呂で観ています。

» iPad Pro 10.5インチを6ヶ月間使い続けた感想


とにかく、この半年間の間に72種類の物語に触れたわけですが、改めてその視聴記録(観ながら感じたことや考えたこと)をふり返ってみた結果、以下の6本(あるいはシリーズ)が特に印象に残りました。

  • いだてん(2019)
  • 大空港2013(2013)
  • her /世界でひとつの彼女(2014)
  • 博士と彼女のセオリー(2015)
  • スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019)
  • 億男(2018)

72本のうち6本ということは打率は1割弱(8.3%)。

残りの66本がすべてが(自分にとって)駄作というわけではもちろんありません。

ただ、その物語を観ることで何らかの「発見」が得られ、その後の日常に少なからぬインパクトを与えてくれることを僕はドラマや映画に期待しているようです。

そういう意味では、今回ご紹介する6本は僕にとって何らかのインパクトがあった物語です。

いだてん(2019)

2019年のNHK大河ドラマです。リアルタイムでは観られなかったので年明けからNHKオンデマンド(月額990円)で一気に観ました。

金栗四三と田畑政治と古今亭志ん生という3人のライフストーリーを追いかけながら、明治から昭和にかけての近現代史を複眼的に見渡すことができます。

一部で「分かりにくい」という不評もあった、時系列が行ったり来たりする(今がいつなのかが分からなくなって混乱する)物語構成ですが、個人的にはこれがあったからこそ途中でだれることなく観続けることができたと考えています。

第1話から最終話まで、時系列に進行していくだけでは序盤はどうしても退屈になりがちで(主人公がまだ何者でもない暗黒時代だったり)、制作側からの「後半になったらがぜん面白くなるから、とにかく今はガマンして!」みたいな無言のエクスキューズを受け入れてがんばって観続けるしかないところを、

あえて時系列を崩すことで、そして主人公を3人に増やし、それぞれのタイムラインを交錯させることで、「このあとの展開はいったいどうなるんだろう?」というワクワク感を生み出していました。

こんな複雑なパズルのような物語の脚本を宮藤官九郎さんはいったいどうやって作り上げたのだろうか、とただただ感心させられるばかりです。

いろいろ読んだ中では以下の記事が非常に分かりやすく、かつ愛でるように「いだてん」の魅力を語っていて参考になりました。

» 史上最低だけど最高だったNHKの大河ドラマ「いだてん」に金メダルを贈りたい(木俣冬) – 個人 – Yahoo!ニュース

この記事を書かれた方(フリーライターの木俣冬さん)はこの記事以外にも各話ごとに同じくらいの熱量で記事を書かれています。

» 「いだてん」第一部(第1回~24回)

第二部の各回紹介記事は以下の記事一覧の中に含まれています。

» 木俣冬の記事一覧 – 個人 – Yahoo!ニュース

また「いだてん」を機に古今亭志ん生のライフストーリーをもっと知りたいと思って以下の本を注文。

この本については以下の記事でも触れています。

» 「追い求める」より「逃げ続ける」ほうが生き残りやすいのかも

800ページ近くある大著でしたが、「いだてん」を観ていたこともあり、ビジュアルを思い浮かべながら楽しく読めました。

古今亭志ん生もまた、ひたすら逃げまくる人生。もちろん運もあったかとは思いますが、途上で幾度となく出会ったであろう「楽に成功できる方法」の誘惑をはね除けて、とにかく逃げ続けたからこそ志ん生になれたのでしょう(まぁ、後からなら何とでも言えますが…)。


大空港2013(2013)

すでに以下の記事でも言及しましたが、その後もさらに3回、観ました。

» 行き当たりばったりだからこそ、うまくいく。

要するに、全編長回しの作品、ということです(むろん、ほかにも「全編長回し」の作品は作られていますが、僕にとっては「大空港2013」が最初の作品です)。

  • 観始めてから数分たったところで「あれ、なんかシーンがぜんぜん変わらないぞ?」という不安にも似た違和感を覚え、
  • 観続けるうちに「まさか、このまま最後まで行ってしまうつもりか?」と淡い期待が芽生えるも、
  • 「でも、そんなことをしたら、役者たちはいっさいNGを出せないじゃないか!」と余計な心配までし始めつつ、

そのまま最後まで観続けてしまいました。

そんな全編長回しの「大空港2013」を観ている最中に、ふと気づきました。

生まれてから今この瞬間までというのは長回しのようなものだよな、と。

ということでこれに続けて以下のような話を書いています。

  • 人生はアドリブ(試行)の連続
  • そう考えると、今この瞬間に繰り出すアドリブによって人生はいつでも変えられる
  • 「大空港2013」の2年前に公開された、同じ三谷幸喜さんによる、やはり全編長回しの「short cut」(2011)という作品がある
  • 「大空港2013」に比べると「short cut」は実験作品の要素が強いと感じた
  • つまり「short cut」は三谷監督にとっては最初の“アドリブ”だった
  • しかし、これが足がかりとなって「大空港2013」が生まれたことが窺える

「とにかく思いついたことをやってみる」ことの重要性を再認識させられた作品です。

her /世界でひとつの彼女(2014)

きっかけは、『サピエンス全史』のユヴァル・ハラリさんの以下のツイート(Botですが)。

“21世紀初頭において、最も重要なアートジャンルはおそらくSFだろう。機械学習や遺伝子工学分野の最新記事を読む人はほとんどいないが、代わりにMatrixやHerなどの映画やWestworldやBlack MirrorなどのTVシリーズが、人々が現代の最も重要な技術的、社会的、経済的発展を理解する方法を形成している”

この中で、「Her」以外の「Matrix」と「Westworld」と「Black Mirror」は観たことがあったので、「Matrix」と「Westworld」と「Black Mirror」と同じ系統の映画ならハズレはないだろう、ということで。

何がリアルなのかという問いをぐいぐい押し付けてくる

以下は気になったセリフ。

これって変な考えだと思うけど──
もし人体の記憶を消して人間を見たら(どうなる)?

おかしいの。前は肉体がなくて悩んだけど、今は満足よ。
肉体がないからこそどこでも行きたい場所へ同時に行ける。
もし肉体に縛られたら死んじゃう。

ここだけ読んでもさっぱり意味が分からないとは思いますが、当たり前のように知覚しているあれこれのうち、何がリアル(実体)なのか、について考えさせられます。

ちなみに、主人公の男性はホアキン・フェニックス。「JOKER」(2019)の彼が同一人物とは到底思えません(ジョーカーの役が強烈すぎるのでしょう)。

博士と彼女のセオリー(2015)

スティーヴン・ホーキング博士のライフストーリー。難しい数式はほとんど登場せず、とにかくヒストリーを追いかけます。

物語はケンブリッジ大学での学生時代からスタート。ALSを発症し、徐々に障害が進行していく中でも、心折れることなく研究に打ち込み、その成果は認められ、プライベートでも3人もの子どもをもうける(その後、離婚・再婚・離婚を経験)。

恥ずかしながら、ホーキング博士といえば車椅子のイメージしかなかったので、その「アクティブさ」に驚かされました。

映画だけでは物足りず、以下の2冊を購入。

2冊目の『ビッグ・クエスチョン』のあとがきには娘のルーシー・ホーキングが言葉を寄せています。

父が亡くなってから、生きていたら喜んだであろうことがたくさん起こった。私はそれらを父に教えてあげられたらと思う。

世界中の人たちが惜しみなく注いでくれた親愛の情を見せてあげたかった。会ったこともない何百万という人たちが、心から父を愛し、尊敬してくれていたのを教えてあげたかった。

ウェストミンスター寺院では、科学のふたりの英雄、アイザック・ニュートンとチャールズ・ダーウィンと並んで葬られることになったと教えてあげたいし、埋葬に合わせて、父の声が電波望遠鏡でブラックホールに向けて送信される予定だと教えてあげたい。

とはいえ、父は、これはいったい何の騒ぎかと思いもしただろう。父はびっくりするほど謙遜家なところがあり、注目されるのが大好きな一方で、自分の名声にとまどってもいたようだった。

自らに対する父の姿勢がよく表れている言葉として、本書の次の一節が私の目に飛び込んできた。「もしも私が何か貢献したのであれば」。ここに「もしも」という言葉を添えるのは、父だけだろう。

父が貢献を成したことは、父以外の誰も疑わないと思う。

この後もまだまだ続きますが、映画を見たあとにこのくだりを読むと、「あの幼かったルーシーが!」(実際にルーシー役として登場した女の子の姿を思い浮かべつつ)、などとまるで近所のおじさんみたいな立ち位置で、物語の続きを楽しむことができました。

どうも僕はライフストーリーものに強く惹かれるようです。日記への関心と同一線上にあるのでしょう。

» 忙しい人ほど日記を書いたほうがいい理由と、日記の効用を引き出すための書き方


スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019)

僕自身、スター・ウォーズシリーズにはさほど熱狂しているほうではありませんが、全エピソードは観ていますし、エピソード7から僕が好きなJ・J・エイブラムス(※)が監督として参加していることもあり、エピソード7からは少し熱が上がってきました。

完結編となる今回のエピソード9ですが、僕が観た「購入版・特典映像付」にはその名の通り特典映像として3時間近くのメイキング映像が収録されています。

で、このメイキング映像のほうが本編よりも遥かにふるっているのです。

なんならこのメイキング映像のほうをくり返し観たくらい。

メイキング映像を観なければ一生その姿を見ることはなかったであろう、しかし、作品の完成には欠かせない振付師の存在や(右手にApple Watchを着けていた)、キャストはもちろん、撮影クルーやエキストラなど数百人がロケ地に一時的に逗留するための「町」や「道路」まで造って、毎日ワイワイやっている様子など、こっちの“物語”の方がリアルで面白いのです。

なんというかメイキング・ラブです。

※J・J・エイブラムスは、映画作品としては「スター・ウォーズ/フォースの覚醒(=エピソード7)」、「スター・トレック」、「ミッション・インポッシブルIII」などを、シリーズドラマとしては「LOST」、「FRINGE/フリンジ」、「パーソン・オブ・インタレスト」などを監督しています。

億男(2018)

始まりは、ある人と交わした「宝くじで7億円当たったらどうするか?」という雑談でした。

‪宝くじで7億円当たったらどうするか?‬‪当たっても、引き続き今の仕事を続けるなら、今の仕事は今の自分がやりたいことである、ということになるね。‬‪僕の場合は当たっても今の仕事は続けると思います。ただし、価格は下げるかも。‬※追記:絵を描いた。ボンカレーのような的。

大橋 悦夫さんの投稿 2019年10月21日月曜日


「宝くじに当たった人はその後不幸になる」という話はよく耳にします。シリーズドラマの「LOST」でもロトくじに当たって大金持ちになった人物が、その後に次々と不幸な出来事に見舞われる、という話が出てきます。

わずかながらも一定確率で定期的に億万長者が生まれているはずですから(1等当選の確率は1,000万分の1、200kgの米袋の米の中に1粒だけ当たりが混じっているイメージ)、これをモチーフにした物語がほかにもあるはず、と思ってリサーチを続けていました。

そこで見つかったのが「億男」です。

主人公は兄の借金3000万円返済のため、昼は図書館の司書として、夜はパン工場で働きますが、完済までにはまだ数十年かかる見込み。そんな折、宝くじで3億円を当ててしまう。

まさに見てみたかった物語です。ぐいぐい引き込まれながら、最終的には3回ほど観ました。

「お金が人を変える」のではなく「人がお金を変える」というくだりが良かったです。

そして、実はこのブログでも「宝くじ」について書いていました。

» お金で苦労したくない人のための一冊

ある本の内容を紹介している記事なのですが、その本では宝くじを引き合いに出しながらお金というものについてやさしく解説しています。

ほとんどの人は、お金をもっと欲しいと思っている。もっと儲けたい。もっと手に入れたいというようにね。

それと同時に、お金のことで悩んでいる人もたくさんいる。そういう人たちは、もっとお金があれば悩みが解決するのに、と思っている。

だから、ラッキーで大金を手に入れた人に対して、「妬む」という特別な感情をもってしまうのかもしれない。

でも、妬みはけっしていい感情ではないよ。妬んだからといって、自分に幸せが訪れたり、お金が舞い込んでくるわけではないから。むしろその逆だと思うな。妬みの感情をもつことで、何かが逃げていってしまう。お金に対して、できるだけ平常心でいられるようになりたいものだね。

引用元は以下の本です。



まとめ

「いだてん」と「スター・ウォーズ」以外は現時点でプライム対象ですので、気になるものがあればぜひ観てみてください。

いだてん(2019)

大空港2013(2013)

her /世界でひとつの彼女(2014)

博士と彼女のセオリー(2015)

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019)

億男(2018)