以下の記事(ZONOさんの書き起こし)の続きです。
1月19日(土)に開催した、オウンスタイル養成講座・月例ワークショップは、倉園佳三さんによる「ZONOゼミ」でした。
▼倉園佳三さんのプロフィール
「ZONOゼミ」とは僕が勝手に呼んでる呼称で、倉園佳三さん(以下、ZONOさん)が受講者全員の質問(現在の悩みや課題など)に一人ずつ、対話を重ねながら答えていく形式のセミナーです。
ZONOさんが受講者の一人の質問に答えている間、残りの受講者はそのやり取りを見守ることになるのですが、受講者一人ひとりのバックグラウンドはそれぞれに違えど、ZONOさんの回答は個別具体的でありながらも、ほかの受講者の問題意識にもフックする普遍性を帯びており、決して他人事とは思えず、全員が聴き入る時間となります。
ZONOさんは事前に発表内容を準備して臨むという、いわゆるプレゼンは行わず、手ぶらで会場入りした上で、当日の受講者からの質問にその場で即興で答えていくというスタイル。さながらライブ・パフォーマンスのようです。
昨年8月にこのスタイル(ZONOスタイル)に出会い、魅了され、僕が2015年から続けているオウンスタイル養成講座のゲスト講師としてお招きすることができ、当日を迎えました。
当日の「ZONOゼミ」は、特に示し合わせたわけでもないのに、受講者から寄せられた質問群がお互いに接点を持っており、必然的にZONOさんの回答もその接点を辿るようにして展開され、まるで事前に入念に練られたシナリオがあったかのようでした。
あまりにもマジカルな展開だったため、より多くの方にもシェアしたいと考え、ZONOさんご本人はもちろん、当日の受講者の方にもご許可をいただけましたので、当日の「ZONOゼミ」の内容の書き起こしを本記事にてご紹介します。
録音音声をもとにした書き起こしではありますが、読みやすさを優先し一部加筆修正している部分があります。あらかじめご了承ください。また、受講者の個人名はイニシャルにて表記しています。
「ZONOゼミ」はトータル2時間13分ありますが、今回の書き起こしは冒頭の26分ぶんが対象です。
前回のお話を受け、受講者のTさんからのご質問にZONOさんが答えるところからスタートします。
Tさん:質問です。東西南北などの方向性だけは決めるというお話だったのですが、いつ到達するかは分からないということですね。そうなると、我々が生きている中で、具体的にどの辺までをイメージすればいいのでしょうか。
「ゴールを決めずに方向性だけ決める」の事例
ZONOさん:僕の話には実はゴールがないんですね。大橋さんがいま「一生続けられるプロジェクト」というお話をよくされていますが、それと同じで、行けば行くほど分かってはくるんですが、到達地点はない、という感じなんです。
たとえば、僕の例を言うと、僕はもともと小説家になりたいと思っていたんです。小説家というのはかなり具体的な目標ですよね。でも、それを東西南北で言うと「何か書く仕事」という感じなんです。
最初から小説家になろうとすると、何をするか? 10冊くらい「小説の書き方」についての本を買ってきますよね(笑)。それを読んで、一生懸命小説を書くのですが、その時点では僕に小説を書く才能があるかどうかは分からないですよね。
僕の場合は、何となくものを書きたいな、と漠然と思っていました。なので、「小説家になる」という目標はいったん捨てて、一個ずつ何かをやっていくことにしました。
その最初が、雑誌の編集者になることだったんです。たまたま僕が大好きで読んでいた「インターネットマガジン」という雑誌の求人が出ていたので、「ここに入ったら、文章を書けるかどうかは分からないにせよ、文章に関わることは確かだな」と思って、だから入りました。
実際に入ってみたら、最初の仕事としてCD-ROMを作らされました。文章はまるで関係ない(笑)。でも、その後も編集部に居続けたので、あるとき文章にかかわる仕事が回ってきたんです。6ページの特集記事でした。
そのとき、ピカピカッと光るものを感じたんです。これは僕が目指していた方向のものだな、と。CD-ROMを作る仕事は、そこに至る過程にある、何か試されているものに過ぎない。
もともと「文章を書きたい」という方向に向かっていたので、特集記事を任されたとき、僕は「これは僕の人生を左右する大事な場面だ」と直感しました。
なので、かなり本気で作りました。編集者になりたてだったので、まったくのド素人だったのですが、それでも相当な時間と労力を費やして取り組んだら、僕の特集記事がその号の人気投票で1位になったんです。
こんな風にスムーズに進むこともあれば、さきほど「間違っている場合もある」と言ったとおり、どうも僕は編集者向きではなかったようなのです。なぜなら、編集者というのは筆者の書いた原稿を整えるのが仕事です。でも、僕は書きたかったんです。筆者になりたかった。
それで「違うな」と思って、2001年に辞めて、今度はブログを書き始めました。
…という具合にやっていくと、この本に辿りつく、というわけです。
「ピカピカッ」と光るものを辿りながら進んでいく
ZONOさん:とはいえ、これがゴールというわけではないんです。僕の中ではやっぱり「小説を書きたい」という気持ちがあるんです。
でも、すごく有名な小説家が「小説なんていうものは、人生の仕事の一番最後にやればいい」と言っていたんです。なぜなら、それだけ長く人生を生きてきているので、一番いい作品が書けるから、と。
なので、僕はもっといろいろなことをしながら、文章という北海道的なものを目指していこうと思っています。もしかしたら北極まで行ってしまうかもしれません(笑)。
Tさん:なるほど、ピカピカッと光るものを辿って進んでいくわけですね。
ZONOさん:そうです。そしてそれは僕が立てた計画でも目標でもまったくなくて、突然外からポーンとやってくるんです、思わぬところから。
もし事前に計画を立てていたとしたら、ポーンと外からやってきたものが「割り込み」になってしまうんです。
この発想が僕は問題だと思っています。割り込みに見えるものの中に、実は自分にとってもっとも重要なキーワードが入っていたりするので。
(書き起こし終わり)
オウンスタイル養成講座の特別講師に
ZONOさんには、2019年よりオウンスタイル養成講座の特別講師として、会員専用コミュニティにて受講者からのご質問にお答えいただいています。ZONOゼミ・オンライン版です。
講座内では今回の「ZONOゼミ」の完全版(2時間13分)の音声も公開しています。
オウンスタイル養成講座の詳細については以下のページをご覧ください。
» オウンスタイル養成講座
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