さて、新年です。
去年の知的生産的成果はいかがでしたでしょうか。思うようにできた方、いまいちだった方、いろいろでしょう。時計の針は戻せませんが、過去を教訓に未来の目標を定めることならできます。
というわけで、新年の目標設定です。
インプットの目標
去年のインプット成果はどうだったでしょうか。満足行く量、質でしたでしょうか。仮にそうでなければ、何をどう変えたらよいでしょうか。
書籍は冊数ベースでその成果を計算してもほとんど意味がないものですが、一つの指標として使うことはできます。毎年100冊くらい読んでいるのに、去年は80冊だった。さて、原因は? そしてその対策は?
他人と比べるためではなく、あくまで自分の推移を測るために冊数や回数は役立ちます。
もちろん、言うまでもありませんが、何かを生産するためには、仕入れることが必要です。知的生産のために、情報摂取は欠かせません。なので、インプットの基盤を固めておくことは本当に大切です。
特に、こうしたものは「違い」が具体的には見えにくいものです。一年に50冊本を読んでも100冊読んでも、脳がムキムキになったり、「知性」のパラメータが+10される、といった違いが生まれるわけではありません。しかし、五年、十年と積み重なると、アウトプットの質や量に何かしらの違いは生じてきます(こないはずがありません)。
知的生産の成果を求めるためにも、インプットを適切に維持しておくことは重要です。
アウトプットの目標
続いてアウトプットの目標です。
基本的に「書けたら書こう」という気持ちで何かを生み出せるほど、人間は勤勉ではありません。何かしら、アウトプットの背中を押すルールやレールが必要です。
特に日常的にアウトプットの習慣がない人が、新しくアウトプットをスタートする場合は、より顕著にその傾向が出てきますし、普段アウトプットしている人でも、それとは違った場所や内容について書く場合は、ある程度準備を進め、段階的な目標を設定しておく方が良い結果が生まれやすいものです。
ブログやnoteならば、一週間に一回更新することを目指したり、書籍であれば、一ヶ月で第一章を書き上げることを目標にする方法があります。アウトプットの完成がハードルが高いようなら、「メモを書き貯める」や「関連書籍を読んで、読書ノートをつける」ところを目標にしてもよいでしょう。
なんであれ、まったくの無目的・無目標ではなく、「ちょっとこういう方向で行ってみよう」と決めておけば、そうした行動は生まれやすくなります。
その他の目標
目標は、インプットとアウトプットだけに留まりません。
たとえば、「作業環境を整える」といったことも必要でしょうし、「一緒に作業できる仲間を捜す」みたいなこともあるでしょう。
ただし、こうした要素は、メインでないにも関わらず、延々と時間を使ってしまう危険性を秘めています。「最高のエディタ」を探し回ったり、「ブログのデザイン」に凝ってしまったりして、読むことや書くことに使う時間がなくなってしまう事態です。
これらの要素は、枝葉でしかありませんが、樹木を思い浮かべてもらえばわかるように、枝葉ほど数は一杯あります。そこに注力しはじめると、時間の使い方の主従関係が逆転しかねません。なので、ほどほどの注力に留めておくのが吉です。「最高のエディタ」でなくても、不快なく使えるエディタであれば当面はOK、という割り切りが現実的には必要です。
※もちろん、時間があるなら追求しても問題ありません。
さいごに
こうして目標を設定しておけば、設定しないよりも、対象とする行動は増やせるでしょう。
ただし注意があります。目標をあまりガチガチに捉えないことです。
たとえば「ブログを週一回更新する」という目標を立てたとして、不意の出来事で更新できない週が出てきたとしましょう。そうしたときに、「ああ、だめだ。目標は不達成だ」と諦めてしまい、残りのすべての週での更新をとめてしまうのは、あまり良い目標との付き合い方とは言えません。
最終的な目的は、アウトプットを少しでも増やすことなのですから、残りの週でその目標を目指すのがよいでしょう。
同じように、年始に立てた目標も、時間が経つにつれ現実と合わない状況が何かしら生まれてきます。たとえば、「今年はマーケティングの勉強をするぞ」とインプット目標を立てていても、何かアウトプットしているうちに参考文献が気になりだして、その脇道に逸れてしまうことはよく起こります。そうしたときも、当初の目標に固執せず、当面の気になることを優先した方が、全体的にはうまくいくでしょう。
必要なのは行動であり、その先にあるアウトプットです。目標は、そこに向かうためのめじるしでしかありません。
なので、「目標は立てる。されど、それに固執せず」のスタンスがちょうど良いでしょう。
▼参考文献:
本文で書いたように、目標は立てるけれども、それに固執し過ぎないのではないか、ということを(いろいろな表現で)考察した一冊です。
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毎回書いているような気がしますが、いよいよ原稿の大詰め作業です。もうはっきりタスクリストに終わりが見えてきました。発売までに作業はまだまだありますが、初稿はもうすぐできあがりそうです。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。