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電子書籍作家としての路上ライブ

倉下忠憲
あなたは無名のミュージシャンで、これから知名度を獲得していこう、と考えています。

そんなとき、どのような手段が考えられるでしょうか。

たとえば、何かのオーディションに応募する手段がありそうです。もし優勝すればプロへの道が開かれますし、そうでなくても誰かの目に止まる可能性が生まれます。

もちろん、手段はそれだけではありません。

たとえば、路上ライブをやる手があります。そこでファンをつかみ、自分で作ったCDを買ってもらい、少しずつ知名度を大きくしていく。そういうやり方もあるでしょう。そして、どちらか一つだけではなく、両方を並行して行うこともできるでしょう。

きっと、電子書籍作家への歩みも同じようなことが言えそうです。


コンテストに応募する

すでに、電子書籍のコンテストはいくつか生まれています。

たとえば、__1月31日までですが__「ライトなラノベコンテスト」というコンテストが開催されていますし、「小説家になろう」というサイトでも、書籍化にむけたコンテストが紹介されています。今後、もっと数は増えていくことでしょう。オーディション的なものが増えるのは、作家志望者にとってはありがたいことです。

ただし、大半の募集が「小説」なので、自分の書きたいことをうまくそこに載せられるとは限りません。また、勝ち残れる人の数も限られているので、競争率も厳しいものがあります。

そこで路上ライブです。

ブログという路上ライブ

といっても、街に出て文章を書くわけにはいきません(それはそれで面白そうですが)。

そこでブログの登場です。

自分の持っているコンテンツを、Webという路上に出していくのです。

もちろん、それはその段階ではタダです。お金にはなりません(アフィリエイトは別として)。

しかし、路上でライブをしているミュージシャンは、「タダで聴かれている」とは思っていないでしょう。むしろ、「聴いてもらっている」という感覚の方が強いはずです。

作品を買ってもらう前に、存在を知ってもらう。

ごく当たり前の話ですが、そういう途中経過をすべて飛ばして「出版」できてしまうセルフパブリッシングでは軽視されているかもしれません。しかし、それだとなかなか販売には結びつかないでしょう。

必ずしも「ファン」を獲得する必要はありません。しかし、「こういう人がいて、こういうコンテンツを持っている」と知ってもらうことは大切です。

情報を出す場所

たとえば、小説であれば、小説投稿用のサイトを使うこともできます。先ほど紹介した「小説家になろう」やpixivに作品を公開していくこともできます。

しかし、それでも自分のブログを持つことは必要です。

セールに関する情報、リアルイベントの告知、新しい企画についての紹介……

ブログでは作品以外の情報を発信することができます。

路上ライブでも、たとえばCDの発売時期やコンサートの情報がアーティストの口から告知されることがあるでしょう。あれと同じです。

同様に、TwitterやFacebookのアカウントを持っておくのも有効です。それはいわば、聴いている人がアーティストに話しかけられる環境を作る、ということになります。

さいごに

「自分なんかがブログを書いても、誰も読んでくれない」

もしかしたら、そう感じるかもしれません。だからこそ書くのです。

そんな状況で「本」を発売しても、なかなか売れないでしょう。せっかく発売するのだから、少しでも売れて欲しいところ。

ブログを読んでくれる人が増えれば、「本」を知ってもらうことも可能になります。

というわけで、路上ライブの感覚で、ブログでコンテンツ発信していくとよいでしょう。もちろん、「宣伝のためだから仕方なく」という感じで演奏していたら、聴いてくれる人なんてまったく集まらないだろう、ということは言うまでもありません。

▼参考文献:

第五章にてマーケティングの重要性が書かれています。書かれていますというか、書いたの私ですが。

電子書籍に関する「電子」の部分ではなく、「書籍」の作り方を丁寧に解説しました。本作りをまったくやったことがない人の助けになるはずです。


▼関連エントリー:

Kindle本で食っていくために2014年は『作家プラットフォーム』を育てよう | きんどるどうでしょう

▼今週の一冊:

たまたまTwitterでタイトルを見かけて購入した本。漫画です。

「再上映(リバイバル)」という奇妙な能力を持つ主人公。その能力が、彼自身が抱える過去の事件と向き合うきっかけに……。

時間軸の使い方が非常にうまく、「おそらくこうなるだろう」という読みを発生させないテンポで話が進んでいきます。ひさびさに続きが気になる漫画に遭遇しました。


▼編集後記:
倉下忠憲



自分一人でやっている企画は、「あれも、これも、それも」と手が伸びていきます。ダメだなと思いつつも、なかなか抑止が効きません。まあ、最初のうちはいろいろやってみて基準となる線を知ることが大切ですね。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。