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Scrapboxで原稿を書くと便利なこと

倉下忠憲最近、Scrapboxで原稿を書いています。

Scrapboxは、執筆専用ツールではありませんが、汎用的に設計されているので、文章を書くこともこなせます。

今回は、その良さについて書いてみましょう。

日報からのシームレスな執筆

私は一週間の予定とプランを整理するページ(Sprintページ)を毎週作成しており、それとは別に日ごとのページ(デイリーページ)も作成しています。このデイリーページは、ようするに簡易の作業日報のようなものです。

まず固定してあるSprintページを開き、当日のデイリーページ(オレンジリンク)を開きます。設定してあるテンプレートの埋め込みで、フレームを入力すれば準備はOK。



その日に関する作業メモを書き起こします。



で、「さて、とりかかるか」と思った項目を、リンクにしてクリック。



さあ、執筆に取りかかりましょう──という感じで、大きな移動なく、スムーズに執筆作業に移れます。ツールを切り替える必要もありませんし、新規ファイルの作成といった手間も必要ありません。それでいて、データはその単位ごとにきちんとまとめられています。Feel so good。

デイリーページに戻りたければ、関連ページにリンクが表示されているのでそれをクリックすればばっちりです。

知識のCall

で、たとえば今回のようにScrapboxについて書こうと思っているならば、そのキーワードをリンクしてみると、自分の作ってきたScrapbox関連のページがずらずらと表示されます。過去との邂逅です。



もちろん、同種のことは現在のデジタルツールであればたいてい問題なくこなせます。全文検索したり、タグをクリックしたりと、さまざまな手段があります。

が、それらは常に「検索」という一手間を掛けなければいけません。そして、検索結果を表示するページに移動することになります。これが心理的にヘビーなのです。

その点、Scrapboxは、文章を書いているそのままの状態で、下にそれらのページが表示されるのです。ここでは、心理的な移動の感覚がまったく発生しません。それが大変良いのです。

あるいは、誰かの言葉を引用したくなれば、とりあえずその人の名前をリンクにしておくことで、該当の発言が見つかるかもしれません。



もちろんそのためには、そうした言葉をページに書き留めておく必要があるわけですが、既存のツールで書き留めておいた情報をこれまでどれだけ使ってきたのかを考えれば、こうしてひょっこりと表示されるのは非常にすばらしい状態だと言えます。

私はこのような利用を見越して、1ページ1発言かつ、ページタイトルに発言内容、という形でページを作成していますが、もちろん「梅棹忠夫の発言」というページを作っておいて、そこを覗いて必要な発言を探す、みたいなやり方でもよいでしょう。

ともかく検索行為による一手間を省いて過去情報を参照できるのは、なかなかアンビリーバボな体験です。

関連情報のCall

で、原稿をとりあえず書き上げたら、原稿の下の方にでも「#シゴタノ!」と追記しておきます。

これで、過去のシゴタノ!原稿が関連ページに表示されるのですが、それだけでなく、投稿時に使うテンプレートを保存したページも表示されます。



これも既存のツールだといちいち検索して見つけ出す必要があったわけですが、一つのリンクの追加だけでそれが呼び出せてしまうわけです。簡単ですね。

さいごに

あとは、ページのタイトルをそれらしいものに改変すればOKです。



改変してもScrapboxがリンクを書き換えてくれますので、デイリーページの方もそれに揃います。よって、最初のタイトルづけは「だいたい」でOKです。この辺の緩さもScrapboxのうれしいところです。

もう一つ、たとえば数日後にこの原稿を保存したページにアクセスしたとしましょう。すると、その原稿を書いたのがいつなのか、というのが「関連ページ」から確認できます。もちろん、他の情報整理ツールでも、「作成日」と「最終更新日」くらいはメタ情報として保存されているわけですが、たとえば、数日以上連続でコミットしている原稿であれば、以下のようになります。



苦労の跡が、残っているわけです。

これは案外面白いメタ情報だなと思います。

ちなみに、Scrapbox上で原稿を書くために設定したことは以下の記事で書きました。

» Scrapboxで原稿を書くために設定したこと – R-style

参考になれば幸いです。

▼今週の一冊:

毎日1セクションずつ読み進めています。たいへん勉強になります。独学&コピペプログラマーはこういう内容を学ぶ機会がほとんどないので、実にありがたい本です。そういえば、執筆という行為も、多少「独学&コピペ」に近い部分はあるので、執筆における似たような本の需要もあるのかもしれません。


▼編集後記:
倉下忠憲



ようやく終章に取りかかっています。というか、もうこれを書いている時期には仕上がっていないとマズイ予感もあるのですが……。7月下旬をお楽しみに。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中